全部ヤツのせいだ(朝日杯FSジオグリフの敗因)――長柄高校馬事文化研究部活動記録㉚

12/19阪神11R 朝日杯FS(GⅠ)芝1600m 1着:ドウデュース
修正評価☆8

宮子「誰が粗〇やねん!」
璃子「うわ、前回の最後とつながっちゃったよ……。というか、恐れていた事態が……」
恵麻「私たちが本命に推したジオグリフが、追い上げ及ばず5着に負けちゃったんだよね……。田村先生も単勝馬券を買ってくれたんだけど……」
璃子「いや、むしろ宮姉が馬券を買ったからこそジオグリフは負けたとさえいえると思うね。まったく、とんだ逆神様だよ。申し訳ないけど、宮姉のことは今後、そし姉と呼ばせてもらうよ」
そし姉「誰が〇品やねん!」
姫「早くも受け入れちゃってるじゃないですか……。でも実際のところ、ジオグリフの敗因はなんだったのかしらね」
ハヤタ「うーん……。GⅠになってライバルのレベルが格段に上がったことももちろんだけど、初のマイル戦で流れに乗れなかったっていうのが大きかったんじゃないかな」
恵麻「たしかに、ジオグリフはスタートしてから4コーナーまでほぼ最後方の位置取りだったもんね」
璃子「最後の直線も大外ぶん回しで、よく伸びてきてはいたけど、こりゃ物理的に届かんだろって感じだった」
姫「上がり3ハロンのタイムを見ると、ジオグリフは勝ったドウデゥースと並んで34秒5でメンバー最速なのよね。さらにいえば、この2頭を含めた上位入線の5頭の上がり3ハロンタイムは 34秒5~34秒8とほとんど差がない。つまり道中での位置取りや直線での進路取りの差がそのまま結果となってあらわれたともいえるんじゃないかしら」
璃子「上位5頭の力差はほとんどなかったと見ていいってことか。そんな中で見事勝利したのがドウデュースだったね」
ハヤタ「馬体重はマイナス10キロ。全身運動で推進力のある歩様を見せていたし、前走よりもさらに良化してたよ」
璃子「中団からじっくり進めて直線は馬群の外。坂でも脚色は衰えず、セリフォスを力でねじ伏せたわけだから、これは強い競馬だった」
ハヤタ「マイルの流れにも対応できたし、もちろん距離が延びても問題ないからね。来年のクラシック戦線でも主役の1頭になることは間違いないよ」
恵麻「セリフォス、ダノンスコーピン、アルナシームも差のないレースだったし、クラシック戦線は今回の上位勢を中心に回っていくと見てよさそうだね」
姫「セリフォスあたりは血統面からもNHKマイルCを狙ってくるかもしれないわね。そうなるとある意味鉄板だけど」
璃子「もちろんジオグリフの巻き返しにも期待したい!」
ハヤタ「本来は2000mくらいがベストの馬体をしているしね。喉鳴りの心配もあるみたいだけど、皐月賞を目標に頑張ってほしいよ」
璃子「あとはそし姉に目をつけられなければ……」
そし姉「あがり奉り給え! 逆神様を!」
ハヤタ「受け入れちゃった……」
璃子「神棚! 神棚持ってきて! 逆神様を納める神棚を!」

12/18中山5R 芝2000m 1着:ブリンディジ
評価☆5

璃子「さて、傷心の逆神様にお暇いただいたところで、ここからはいつもどおり新馬戦の回顧にいくよ」
姫「有馬記念でそし姉を返上してもらいたいけど、どうなることやら……。まあ、気を取り直して。土曜中山5Rは芝2000mのレースだったわね。ここは行きっぷりよくハナを奪ったブリンディジの逃げ切りで決まったわ」
恵麻「3ハロン目から13秒3、13秒9、13秒0のラップで、さすがにペースが緩みすぎたよね。かなり先行勢に有利な流れにはなった」
ハヤタ「胴と背中が長い体型で持続力に長けたタイプ。今回は自分が得意とする展開に持ち込めたよね。パワフルな馬体に反した軽く弾むような走りだったし、調子も良かったんだと思う」
姫「人気になっていたゴーシェナイトやマイネルメサイアは逆に展開に泣かされた面もあるわね。次走以降の巻き返しが期待されるわ」

12/18中山6R ダ1800m 1着:タヒチアンダンス
評価☆6

姫「続いてのダート1800m戦は、1番人気のタヒチアンダンスが2番手から難なく抜け出し大差勝ち。上がり3ハロン38秒0で、2着馬の上がりとは2秒以上の差をつけている。まさに完勝ね」
ハヤタ「牝馬限定戦で相手関係にも恵まれたとはいえ、序盤からスッとスピードに乗る感じで、大人びた走りだった。胴に伸びもあるし、中距離向きの体型だよね」
姫「母のミラクルレジェンドは川崎のエンプレス杯をはじめ地方交流重賞でも活躍したダートの女傑よ。母は430キロくらいだったけど、タヒチアンダンスは472キロと母よりも馬格に恵まれているわ。兄グレートタイムと同じキングカメハメハとの配合がうまくハマっているわね。今後、相手は強化されるでしょうけど、この馬も当然オープンを目指すべき逸材よね」

12/18阪神5R 芝1400m 1着:パンドレア
評価☆5.5

恵麻「土曜阪神5Rの新馬戦は牝馬限定の芝1400m。1番人気のパンドレアが差し切りを決めたよ」
ハヤタ「胴の詰まった体型だけど脚は長い。距離はマイルくらいまでかなあ」
恵麻「父ロードカナロア、母は秋華賞とジャパンカップを制した名牝ショウナンパンドラという良血馬だね。血統面からは本格化は先になりそうな印象も受けるけど、ここからクラシック戦線に食い込んでいけるか見物だね」

12/18阪神6R ダ1200m 1着:クレア
評価☆5.5

璃子「クレアは新種牡馬ビッグアーサーの産駒。二の脚でハナを奪うと、マイペースの逃げに持ち込んで直線でも軽快に脚を伸ばして後続を封じてみせた」
ハヤタ「500キロを超す大型の牝馬で、お父さん譲りの筋肉質な馬体だね。まだ水っぽさも残る体つきにも見えるけど、体の柔らかさがあって大きく走れてた。これから厳しい流れの競馬も覚えていければ、短いところでは楽しみもある馬だと思う」

12/18中京5R ダ1800m 1着:フロンタルジェダイ
評価☆5.5

璃子「レース序盤は先行勢と後続がやや離れた隊列になったものの、向こう正面で後続勢が追い上げてきて馬群はひとかたまりに。ただその間も12秒台のラップが続いてて、決してペースが緩んだわけでもないんだよね。結局、並列して逃げを打っていた1頭、フロンタルジェダイがじわじわと抜け出して押し切る決着になった」
ハヤタ「大きな骨格に前後バランスよく筋肉がついた、ダートの中距離向きの馬体だよ。直飛なのもパワフルさを感じさせる。この馬体だし、着実に力をつけていけそうな雰囲気はある。直線ではちょっとふらつくような素振りも見せていたから、成長に伴ってそのあたりが矯正されてくればいいね」

12/19中山5R 芝1600m 1着:アオイモエ
評価☆5

姫「日曜に移って、中山5Rの新馬戦は芝1600m戦だったわ。このコースはディープインパクト産駒が勝率14%、単勝回収率102%の好成績。アオイモエは今回の出走馬中、唯一のディープインパクト産駒で、ここは血統の力が騒いだわね。好位から直線の坂も苦にせず抜け出したわ」
ハヤタ「うん。やっぱり皮膚の薄さは目立っていたし、俊敏に動けそうな気配だったよ。404キロの小柄な馬体だけに、もう少し成長もしてくるといいかな」

12/19中山6R ダ1200m 1着:スコラーリ
評価☆5.5

ハヤタ「スコラーリは実が詰まったパワフルな馬体。父のトゥザワールドというより、母父サウスヴィグラスの血が濃く出ているのかな。いかにもダート短距離向きの馬体だよ」
璃子「序盤はハナ争いに加わるそぶりも見せつつ、ペースが上がる場面ではぐっと抑えた。これが直線でのひと脚につながった感じだね。横山武史騎手のリードもさることながら、馬自身の操縦性も高そうだ」
ハヤタ「良い馬だよね。あと、負けた中ではキタサンドライバーという馬に注目したいんだ」
璃子「スタートで大きく出遅れてた馬だよね」
ハヤタ「うん。でもそこから巻き返してきて、直線では大外から3着争いの一角にまで食い込んできた。さすがに6着が精一杯だったけど末脚は目についたよ。500キロに迫るヘニーヒューズ産駒でお尻の肉付きや胴の伸びは申し分ない。スタートさえ決まっていればもっときわどい勝負になってておかしくないと思ったんだよね」
璃子「なるほど。スタートのロスがなければ時計ももっと詰まるだろうしね。父ヘニーヒューズに母父エンパイアメーカーで気性面は心配だけど、ダート向きなのは確実か。たしかに次走注目してもいいかも」

12/19阪神5R 芝2000m 1着:エアアモネイ
評価☆6.5

恵麻「好スタートからハナを切ったエアアモネイが、最初の3ハロンを40秒0と超のつくスローペースに落としたこともあって、直線は馬場の良い外目の進路で脚を伸ばして逃げ切り勝ち」
ハヤタ「これはかなり良い馬だね。筋肉が前後にバランスよくついてるし、体も柔らかくて歩幅が大きい。今回のメンバーではちょっと抜けた存在じゃなかったかな。上のクラスでも十分通用するし、重賞も意識できる逸材だと思うよ」
恵麻「次走以降は時計の短縮が課題になるだろうけど、素質の片鱗は示したと。1番人気のイスラグランデは4コーナーで少し外へ張るような動きを見せたこともあって3着」
ハヤタ「これも迫力のある馬体の大型馬で、素質はあると思うけどね。モタれ癖を矯正できればすぐに勝ち負けに持ち込めるんじゃないかな」
恵麻「私たちがひそかに応援してる高橋義忠厩舎のメイショウフィガロも2着と頑張ったね。内をうまく立ち回れたし、次も期待できそうだね」

12/19阪神6R ダ1800m 1着:デシエルト
評価☆6

姫「日曜阪神6Rのダート1800m戦は7頭立ての少頭数となり、祖母にアドマイヤグルーヴを持つ良血馬、デシエルトが圧倒的な1番人気を背負ったわ。レースもこの馬が逃げて7馬身差の圧勝ね」
ハヤタ「筋肉の付き方はあまりダート馬っぽくないね。脚の長さや胴の長さ、体の柔らかさでストライドを稼いでるし、脚さばきも軽快。芝でもやれるというか、芝でこそという馬体にも見えるよ」
姫「安田調教師も次走は芝のレースも見据えているみたいね。きょうだいも芝で走っているし、血統面からもコース替わりは心配なさそう。まだフラフラ走って幼い面も多分に見えるけど、今後が楽しみな1頭だわ」

12/19中京5R ダ1400m 1着:モズゴールドバレル
評価☆5.5

ハヤタ「最内枠からうまくスタートを切り、前を譲る感じで道中は3番手に控えた。うまく脚も溜まって、直線は狭くなりかけたところもしっかりと割ってこれたね。均整の取れた馬体でミスがない。距離はマイルくらいまで十分にこなしそうだね」

12/19中山3R 芝1800m 11着:フィルクローバー

璃子「POG指名馬フィルクローバーの2戦目。初勝利を目指したけど、11着と惨敗……。鹿戸調教師が言うほど『全然』ではなかったようには思うけど……」
ハヤタ「いちおう、道中は控えて3、4コーナーにかけて仕掛けていって、という競馬はできたんだけどねえ。直線に入ってからもギアが上がらず、ちょっとふわふわしてる感じだったかな。鹿戸先生のおっしゃるとおり、気持ちの問題かもしれないね」
璃子「次走はブリンカーなどの矯正馬具をつけることも検討してるみたい。それで変わり身があることを期待したいね」

12/19中京4R 芝1400m 2着:クリノマジン

璃子「次もPOG指名馬の出走レース。ここは3戦目のクリノマジンが手応えよく最後の直線を迎え、早々と先頭に立つも、最後内から鋭く差し込んできた1着馬にかわされ2着。いやあ、惜しかった!」
姫「積極的に勝ちにいった結果だから、こればっかりは仕方ないわね。でもこれで未勝利脱出のメドは立ったわ。優先出走権の兼ね合いもあって、次走は年明け1月9日の中京芝1600m戦を目指すみたい。今回でベストは1400mという感触も得ただけに距離延長が課題になりそうだけど、初勝利を目指してほしいわね」

12/18中山9R ひいらぎ賞 芝1600m 1着:ティーガーデン
修正評価☆6

姫「ここからは特別戦よ。中山芝1600mのひいらぎ賞はティーガーデンが好位追走から力強い末脚で差し切ったわ」
ハヤタ「馬体重プラス12キロは完全に成長分だったね。腹目はむしろすっきりして見せてたくらいで太め感は全然なかったし、500キロを超してパワーが増した感じ。胴の長さがあるし、ハイペースのタフな展開で持続力を発揮するレースが合ってる印象だね」

12/18中京10R 中京2歳S 芝1200m 1着:ジャングロ
修正評価☆6.5

璃子「おっそうか、中京2歳ステークスは去年から芝1200mだったっけ……。どうも芝1600mのイメージがあったんだけどな……」
恵麻「中京のレースは施行条件変更が多い印象あるよね。ベテランさんほど予想の時は注意が必要かも。さて、今年のこのレースを制したのはジャングロ。好スタートからハナを切って、直線でもさらにリードを広げた。ここはスピードの違いを見せつけた感じかな」
ハヤタ「そうだね。曲飛で後ろ脚の踏み込みが自然と深く入って、ピッチも速い。短距離のスピード馬らしい体のつくりだよね。皮膚も薄めで筋肉の収縮力も見せてる。これは良い素質を秘めてると思う」
恵麻「前走はマイルで結果が出なかったけど、その前は1400m戦で強い競馬で勝ってるしね。やっぱり1200m、1400mがベストの条件と見ていいかな。となると、来春のファルコンステークスあたりでもおもしろい存在になるかもしれないね」
璃子「ファルコンステークスはさすがに芝1400mでおこなわれるよね……よね?」

12/19中京10R 寒椿賞 ダ1400m 1着:グットディール
修正評価☆6

姫「ダート1400mの寒椿賞は、2ハロン目と3ハロン目のラップが10秒6、10秒9と厳しい流れになった。先行集団にいた人気のサンダップルド、ワールドコネクターあたりはさすがに直線で苦しくなったわね。勝ったグットディールは対照的に中団待機から差し脚を伸ばして勝利をもぎとった」
ハヤタ「ダートに替えてこれで2連勝だね。5ヵ月ぶりの前走が馬体重プラス16キロ。今回も同じ496キロで、これは馬体に実が入ったものなんだろうね。飛節も伸びるし、ストライドを広くして走れてたよ。展開が向いたのもたしかだけど、差し戦法を持ってることは今後、ペースが上がる上級クラスになって生きてくるんじゃないかな」

璃子「さて、朝日杯FSも終わって、今年の中央競馬も残すところあと3日だね。年末の一大イベント有馬記念はもちろん注目だけど、2歳戦の大一番は最終日におこなわれるGⅠホープフルステークスだ。私たちのPOG指名馬コマンドラインも出走予定だから、ますます楽しみだよ。レース展望については前日までにまた特別編でお送りするつもり。回顧のほうは土日火3日分まとめて出す予定。各馬の評価シートも比較しやすいようにまとめ直したいと思ってるし、年末年始も我々の部活に休みはなさそうだ……。最後に逆神様ー。ここまでお付き合いしてくれてるみなさんのために、有馬記念での狙いを教えてくれる?」
そし姉「当然、エフフォーリアとクロノジェネシスの2頭軸よ!」
璃子「そうだろうなとは思ってたけど……やめてぇっ!」

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