迷ったら買え!――長柄高校馬事文化研究部活動記録㉖

11/27東京5R 芝1600m 1着:コウキ
評価☆5

姫「さて、先週から東京と阪神の2場開催になって、新馬戦の数も減ったわね。まずは土曜東京5R芝1600m戦。ここは好位4番手から進めたコウキが直線で最内から抜け出し、追い込んできた人気馬2頭を振り切ったわ。エピファネイア産駒よ」
ハヤタ「パワーもありそうな筋肉を備える一方、歩様には鋭さも感じさせた。仕上がりも良かったし、マイルは最適の舞台だったんじゃないかな」
姫「今回は終始内を回ってロスのない競馬をできたことが勝因かしら。あとはクラスが上がってもっと馬群がタイトになったときにどういう競馬ができるか、ね」
ハヤタ「あと注目馬はやっぱり2、3着の2頭かな。3着のヴィアルネッサンスはいい切れ味を持ってるし、もっと早い上がり時計が要求される条件ならもっと走れそう。3着のデコラシオンはダートでもいいかもしれない」
姫「それぞれ、条件替わりで注目ということね」

11/27東京6R ダ1600m 1着:サクセスローレル
評価☆5.5

ハヤタ「続いての第6R、サクセスローレルはまだ余裕がある体つきにも見えたから、4馬身突き放しての逃げ切り勝ちはちょっと驚いた。ただ、あらためてパドックを見返すと、腹目は少しぼてっとして見えるけど、トモや肩なんかはむしろすっきり仕上がってた。腹目が太く見えるのはこの馬の体型なのかもしれない。背中が長い体型で、徹底先行が持ち味の馬かなと思う。距離も2000mくらいまで持つイメージもある」
璃子「出走馬のなかでは唯一、関西から遠征してきた馬だったよね。陣営のレース選択も見事だったってことか」
ハヤタ「ほかに馬体が目立ったのはセブンダートオーとケイアイグラビティかな。ともに大型馬だし、叩いて上積みがあれば、中山1800mに替わっても勝ち負けに加われそう。ララエフォールも馬体のイメージどおり差してきた」
姫「ニシノコニャックは血統のイメージどおり、1400mに短縮して先行できればおもしろそうね。タービンホールも母ゴールドティアラ譲りの追い込みを見せたわね。東京の長い直線が良さそうだけど、個性派として注目してもいいかもね」

11/27阪神5R 芝1600m 1着:サク
評価☆4.5

恵麻「土曜阪神は2鞍、新馬戦が組まれてたよ。まずは5Rの芝1600m戦だね。勝ったのは8番人気のサク。2番枠からハナも狙えるくらいの好スタート。そこから一旦好位に控えて、直線は最内の進路を確保して先頭に。しぶとい脚で逃げ馬を競り落とすと、迫ってきた後続も振り切ってゴール。立ち回りの上手さで勝利を引き寄せたけど、1分37秒7、上がり3ハロン34秒9の勝ち時計はちょっと平凡かな」
姫「ただ、兄はオープンまで出世したサイモンラムセスだから、血統的にはこの馬も成長を期待したいところよ」
ハヤタ「そうだね。馬体はよく仕上がっていたし。筋肉が硬くなってこなければ、少しずつ力をつけていけるタイプじゃないかな」
姫「1番人気のセルケトは少し伸びあぐねたかしら」
ハヤタ「最後まで脚を使ってる感じはしたし、これで競馬を理解すれば次走以降巻き返せそうだよね。馬体の印象では未勝利は十分に抜けられるレベルにあると思う」
恵麻「2着のレオンバローズも末脚が目立ったね」
ハヤタ「体つきにまだ少し余裕があったから、叩いて上積みがあればいいね」

11/27阪神6R ダ1800m 1着:フーリッシュホビー
評価☆5.5

璃子「6Rはダートの1800m戦。前半1000mを65秒6で入るスローペースになって、出走8頭がひとかたまりの馬群になって直線へ向いた。こうなると案外、馬群の外を回した馬に展開が向くんだよね。フーリッシュホビーは4コーナーで先頭に並びかけていく勢いそのままに、内から詰めにきた1番人気のシェイリーンとの追いくらべを譲らず、1着ゴール」
姫「逆にシェイリーンのほうは内に入って少し進路を切り替えるロスがあったかしら」
ハヤタ「どちらも牝馬だけど、この2頭の力は遜色ないと思うよ。フーリッシュホビーは少し前かがみの体型で、首と前脚をうまく使って走れてる。ダート向きの走り方だよ。胴伸びもあって中距離向きだね。シェイリーンのほうも脚が長くて先行力を感じさせる馬体。今回は展開に泣かされた面もあるし、未勝利ならすぐに勝ち負けになるよ」
姫「上位2頭はくしくも同じアロゲート産駒なのよね。さすがはアメリカのチャンピオンホースというべきか、日本でも今後、ダートの中距離路線で続々と勝ち馬を輩出しそう。注目の種牡馬だわ」

11/28東京6R 芝1800m 1着:サリエラ 5着:フィルクローバー
評価☆5.5

恵麻「日曜日の東京ではここが唯一の新馬戦だったよ。勝ったのは2番人気のサリエラ。横並びのスタートから自然な流れでハナへ。マイペースで進んでレース終盤を迎えると、直線半ばで2着のサイルーンとマッチレースの様相になったけど、最後は突き放して3馬身差の快勝だった」
璃子「前半1000mの通過が1分1秒7のスローペースで、上がり3ハロンのラップが10秒7、11秒3、11秒9と尻上がりになってるね。こういうラップ構成はめずらしいかも」
姫「勝ち馬の上がりは33秒9でメンバー中唯一34秒を切ってるし、最後はそれだけ余裕もあったと考えていいんじゃないの?」
ハヤタ「最初から最後まできれいなフットワークで気持ちよさそうに走ってたしね。小柄だけど背中や胴の伸びはあって、距離が延びても対応できそうな体型だよ。ディープインパクト産駒で、もちろん筋肉の質も上々。素質馬だよね」
姫「さすがはサリオス、サラキアのきょうだいだけあるってことね。見た目はやっぱり父が同じサラキアのほうに似ているかしら。その姉よりも早い時期に新馬勝ちしたことだし、春の牝馬クラシック参戦を目指す1頭になるでしょうね」
璃子「牝馬クラシックといえば、じつはここ、フィルクローバーをPOG指名に入れたんだよね。指名馬のラインナップをにらんで、オークスを狙える馬が欲しいってことで指名したんだけど……」
恵麻「結果は5着だね。なんとかポイントは取ったけど、上位馬とは少し差があった感じだったね」
ハヤタ「まだ芯の入った走りができてないみたいだね。ただ、エピファネイア産駒らしく中距離向きの体型に出ているし、筋肉の感じもなかなか良いものがあると思うよ。目つきが鋭くて性格がきつそうな面も見えるから、気性面の課題もあるかもしれないね」
璃子「ラフィアンの馬で、鹿戸厩舎に横山武史騎手だから、クラブのほうでも期待はしてると思うんだよね。あとは6月生まれなだけに、POG期間中にどこまで成長できるか。クラブの先輩、ユーバーレーベンの背中を追って、なんとか上位戦線に加わってほしいね」

11/28阪神4R ダ1200m 1着:ティントリップ
評価☆5

璃子「ティントリップはポンとスタートを切って、内からハナを叩いたクールココナヒメを追って2番手。道中は追いかけてきたルクシアを加えた3頭で後続を離す展開に。ティントリップはハミが抜ける場面もあって遅れかけたり、4角では口向きの悪さを見せてスピードに乗り切れなかったりもしたものの、直線で追われると、脚が鈍ったクールココナヒメをきっちり差し切って2馬身半差をつけた」
ハヤタ「少しだけ後ろ脚が長めの体型で、ロードカナロア産駒らしくバランスの良さが目立つね。スピードもあるし、マイルくらいまで対応できそう」璃子「まだ随所に幼さを見せるレース振りだったけど、それだけに伸びしろも十分だよね。今回は牝馬限定のダート短距離戦だっただけに、つぎからはメンバーレベルが上がるだろうけど、案外軽視はできない1頭かもしれない」

11/28阪神6R 芝2000m 1着:メイショウラナキラ
評価☆5

姫「バラッとしたスタートになったけど、隊列は案外すんなりと決まったわね。ゲートを出た直後、頭を上げてよれ気味のスタートになったメイショウラナキラは後方のグループから。前半5ハロン65秒9とかなりのスローペースに落ちたこともあって道中は外目で少し出入りが激しくなったけど、メイショウラナキラはラチ沿いから追い上げて先団にとりついていった。4コーナーではもう勢いが違う感じで難なく逃げ馬をとらえ、抜群の手応えのまま抜け出して4馬身差をつけたわ」
ハヤタ「まだ走りが荒っぽいというか、推進力が上に逃げている感じもあったけど、ストライドの大きさは目を引いたよね。背中や胴に伸びのある体型を生かした走りができてたと思う」
璃子「少頭数の1戦だったとはいえ、内をさばく器用さも見せたあたり、馬券的な妙味を感じたよ。内枠差しを武器として磨ければ、穴馬として存在感を発揮していくかもしれないよ」

11/27東京9R カトレアS ダ1600m 1着:コンシリエーレ
修正評価☆6.5

璃子「さて、土曜日の東京ではダートオープンのカトレアステークスがおこなわれたね。すでに1勝クラスや芝の重賞を戦ってきた面子に加え、新馬、未勝利を良い内容で勝ち上がってきた馬たちも顔をそろえた好メンバーになったわけだけど、ここは断然の1番人気を背負ったコンシリエーレが支持に応えた。新潟ダート1800mの新馬戦を2着に1秒9の大差で勝った馬だね」
ハヤタ「550キロの超大型馬で骨量豊富。筋肉もしっかりとついた典型的なダート馬だけど、それでいて関節に柔軟さがあって身のこなしに柔らかさもあるんだよね。距離も2000mまで延びても問題なさそうな体型だし、素質はかなり高いと思う」
璃子「外目の好位で脚を溜めて早め先頭から押し切る競馬。最後は2、3着馬に詰め寄られたとはいえ、迫られたぶんだけ伸びる感じもあったし、たしかに能力を感じさせる内容だった」
姫「この馬もドレフォン産駒かあ。芝だけでなくダートでも大物候補を輩出してきたわね。本当に今年はドレフォンの年だったわね」
璃子「このぶんだと次走以降もまだまだ人気になりそうだけど、馬券的にも当然注目の1頭だよ!」

11/28東京8R ベゴニア賞 芝1600m 1着:レッドラディエンス
修正評価☆5.5

恵麻「いったん日曜日に飛んで、東西2鞍の1勝クラス戦を取り上げるよ。まずは東京8Rのベゴニア賞。出走8頭中5頭が単勝10倍を切る混戦メンバーで、レースもそのとおり直線は各馬ずらりと横に並んでの追いくらべになったけど、最後はムーア騎手騎乗のレッドラディエンスが外からぐいと抜けて、昇級2戦目で2勝目を上げた」
璃子「この馬は札幌の芝1800mで未勝利勝ちのあと、前走は3ヵ月ぶりの実戦となった東京の芝2000m、百日草特別で3着。今回は距離を縮めて初のマイル戦となったけど、ハヤタの見立てではもともとマイル適性ありって評価だったもんね」
ハヤタ「体型から判断するに、バリバリのマイル馬ってわけじゃないけど、2000mくらいまでが守備範囲の馬って感じかな。長く脚を使えるから直線の長い東京コースは合っているよね。最後は少し外に寄れていたからまだ中身ができあがってはいないのかもしれないけど、楽しみはある馬だと思う」
璃子「グランアレグリアを育てた藤沢和雄厩舎所属だし、『藤澤イズム』で幅広い距離で走れるようになれば楽しみも増すよね」

11/28阪神9R 白菊賞 芝1600m 1着:ルージュラテール
修正評価☆6

恵麻「続いては阪神9Rの白菊賞。こちらは牝馬限定のマイル戦で、8頭での争いとなったよ。勝ったのは競った3番人気だったルージュラテール。後方からの競馬になったけど、直線は大外から豪脚を繰り出して、併せて伸びた2着のサウンドビバーチェに競り勝った」
姫「ルージュラテールもレッドラディエンスと同じ東京HR所属のクラブ馬で、結果的に東京RHが東西の2歳特別を席捲したわね。こちらは西の名伯楽・矢作芳人調教師の管理馬よ」
ハヤタ「牝馬ながらなかなか骨太なところが良いよね。バネも感じさせるし、まだ走りが荒っぽい面はあるけど、伸びしろは大きそうだよ」
璃子「手綱をとった坂井瑠星騎手も『ここでは力が一枚上』とコメントしていたし、阪神JFに出てくるようならマークが必要な1頭じゃないかな」

11/28阪神11R 京都2歳S 芝2000m 1着:ジャスティンロック
修正評価☆6

璃子「それじゃあ最後は、土曜日の阪神でおこなわれたGⅢ、京都2歳ステークスを振り返ろう。いろんな意味で評判になってた馬が複数いたわけだけど……、勝ったのは『楽天』三木オーナーのジャスティンロック」
姫「デビュー2戦目で初勝利を上げた阪神の未勝利戦から中6週での参戦。ゲートの出がもさっとして後方からの競馬になったけど、残り800m過ぎから楽に追い上げていき、直線に入って前に並びかける。最後、3頭での追いくらべを制してぐいと抜け出し、2連勝で重賞初制覇を決めたわ」
ハヤタ「曲飛なところは父リオンディーズに通じるところがあって、こういう飛節で中距離も走れるタイプの産駒が出世していく印象があるよね。長く脚を使ったし、心肺能力も高いんだと思う」
璃子「デビュー戦ではここにも出走してきたトゥデイイズザデイに遅れをとったけど、重賞の舞台で見事に雪辱を晴らした格好だ。逆にトゥデイイズザデイは1番人気で6着と、明暗を分ける結果に」
恵麻「3コーナーで前を走っていたキャンディセントがつまずいた煽りを受けて、ハミが抜けちゃったみたいだね」
璃子「ただ、同じ位置にいたジャスティンロックはその直前から動き出してたわけだし、今回は控える競馬を試す意図はあったにせよ、機動力の差があった印象は否めないなあ」
ハヤタ「パドックでも、結果的に気負いすぎだったのかな。デビュー戦が楽な展開になったこともあるし、これから経験を積みながら力をつけていくんじゃないかな」
姫「2着のビーアストニッシドは逃げて展開が向いた面もあったし、3着のフィデルも含め、世代最上位の馬たちにどこまで食い込んでいけるか、ってところじゃないかしら」
璃子「ちなみにこれは余談なんだけど、勝ったジャスティンロックの妹にあたるダンカーク産駒の1歳牝馬が、ノルマンディーOCで募集されてたんだよね。わりと最近まで満口になってなかっただけど、このレースの当週11/23をもって晴れて完売。ジャスティンロックが重賞に出走する影響もあったのかな。ちなみに、この馬の出資に迷ってた宮姉の知り合いが、後で血統に気づいて『買っときゃよかった!』ってほぞをかんでいたらしいよ」
姫「まさに後悔先に立たずじゃない。一口馬主も『迷ったら買っとけ』が案外正解なのかもしれないわね……」

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