ラスカルスズカの話をしてました――長柄高校馬事文化研究部活動記録⑨

 この日の部活が始まる直前、こんな話題になった。
恵麻「そういえば私たちが新馬戦回顧で出してる評価値だけど、あれ、いったい何点でどのくらいの評価なんだ、って上から訊かれたの」
姫「それってつまり、採点基準みたいなこと?」
恵麻「そこまで厳密じゃなくてもいいけど、目安みたいなものを示したほうがわかりやすんじゃないかって」
璃子「ああ、それはたしかに。まあ、わかりやすく示すと、こんな感じかな」
 そう言うと室谷さんは、ルーズリーフにこんなリストを書いてみせた。

☆4→いいっすねえ
☆5→すごいっす
☆6→やばいっす
☆7→ハンパねえ
☆8→やばくてハンパないっすねえ
☆9~→やっばぁ~

姫・恵麻「なるほど、わかりやすい」
ハヤタ「いやいやいやいや」
 ニュアンスをニュアンスに翻案されたところで、なにも明確にならないって。
 ていうか、みんな意外と見てるんだ、オリン〇ック……。
 その後、もし競馬が五〇競技に採用されたら、という話題でひと盛り上がりしてから、僕たちはいつもどおり先週の新馬戦を回顧した。その結果がこちら。ビッタビタにハメられたかどうかはわからないけど、自分たちとしては頑張ったつもりなので、ご笑覧いただけると幸いです。

7/24 函館5R ダート1700m 勝ち馬:カズラポニアン 
評価☆4

ハヤタ「筋肉質な馬体でいかにもダート向きって感じ」
姫「ヘニーヒューズ産駒だし、ダートでコンスタントな活躍を期待できそうね」

7/24 新潟5R 芝1600m 勝ち馬:オタルリバー
評価☆4

恵麻「このレースはPOGでの評判馬も出てたわけだけど、結果は五番人気のオタルリバーがゆうゆう逃げ切り。スローペースもあったけど、あっと言わせたよね」
ハヤタ「かなり曲飛の馬だけど、リオンディーズ産駒はこういう馬体でいい先行馬を出すのかもしれないね」
璃子「一番人気で二着だったコリエンテスはどうなの? これがPOGでも人気になってたわけだけど」
ハヤタ「皮膚の薄さや関節の柔らかさは目立ってて、評判どおり良いなあと思ったよ。まだ緩いのかもしれないけど、近いうちに順当にチャンスは来ると思う」

7/24 新潟6R ダート1200m 勝ち馬:アネゴハダ
評価☆3

ハヤタ「芝向きの短距離馬かと思ったけど、ダートでもしっかり走れてた。仕上がりもよかった」
璃子「外目の枠からすんなり二番手につけられて、理想的な展開になったね」

7/25 函館5R 芝1800m 勝ち馬:トップキャスト
評価☆3

恵麻「トップキャストはスタートもよくて楽にハナに立つと、直線でも後続を寄せつけずに逃げ切り。レース後のコメントを見ると、ほかの馬はいろいろうまくいなかったところもあったみたいだから、恵まれた面もありそう」
ハヤタ「筋肉は柔らかい感じだったし、スピードの乗りは悪くなかった」
璃子「じつはここに出たコスモルーデンスをJRA‐VANのPOGで指名したんだよね。二着から大差の三着だったわけだけど……ハヤタ、これはどうだった?」
ハヤタ「うーん、体格はもう少し大きいかなあと想像してたんだけどねえ。直飛で素軽さもなかなかあったし、仕上がりもよかった。それだけに三着とはいえ前とかなり差をつけられたのは……ちょっと心配だよね」
姫「……前々から思ってたんだけど、ハヤタって自分たちの馬の評価になると結構辛口よね。普段は基本褒め口調のくせに」
恵麻「……ひょっとして身内に対して当たりがきついタイプ?」
璃子「え……怖くない?」
ハヤタ「あの……聞こえてるからね?」

7/25 新潟5R 芝1800m 勝ち馬:レディバランタイン 
評価☆4

姫「勝ったのは新種牡馬サトノアラジンの産駒、レディバランタイン。逃げて直線では一旦並びかけられる場面もあったけど、スローペースで行けてたこともあって最後まで脚は衰えなかったわね」
ハヤタ「トモに筋肉がついててスピードはあるし、蹄の感じからも軽い良馬場が合うんだろうね。二着のサトノジークも皮膚が薄くて良い馬。マイルが得意そう。あと、グリーンバローズも良く見えた。こっちは2000mくらいあってもよさそう」
璃子「グリーンバローズは六着とは三着とは0秒1差だからね。着順から次走人気にならないようなら、条件次第で狙ってみてもおもしろいかも」

7/25 新潟6R 芝1400m 勝ち馬:ファンデル 
評価☆3

恵麻「先行勢がハイペースで飛ばしたこともあって、最後は差し追い込み勢での決着になったよ。ファンデルは道中は中段埒沿いを進み、直線で外に持ち出して差し脚を伸ばす理想的な競馬ができたって感じかな」
ハヤタ「肩が立った体型で、前後の肉付きもバランスが良いね。距離はこのくらいがベストだと思う」
璃子「今回は得意条件で流れが向いた分、コース替わりでどうかってところだね」

7/24 新潟2R 未勝利 芝1800m 勝ち馬:グランシエロ
評価☆5

恵麻「未勝利戦で注目したいレースがこれだね」
姫「圧倒的な人気に推されたグランシエロが、一頭だけ33秒台の末脚を繰り出して三馬身差の圧勝。見た目にも強い勝ち方だったわね。直線で内に切れ込んだ時はちょっとヒヤっとしたけど……」
ハヤタ「ああいう動きになるのは、まだ体に緩いところがあるのかもしれないね。ただ、首や脚も長くて格好いい体型だし、高い素質を感じさせる馬体だよ」
璃子「というわけで、評価値も修正させてもらいます。この馬、すごいっす」

 そうそう、それから7/27の門別12Rブリーダーズゴールドジュニアカップに出走したウンについても触れておこう。netkeiba.comのPOGダービーで僕たちが指名している一頭だ。ナイター開催だったので僕たちも生配信で応援していたわけだけど……結果は残念ながら十頭中の十着。レース前半はしっかりと先行集団について追走できていたけど、三コーナーあたりから手ごたえがあやしくなり、直線ではスピードを上げることができなかった。まあパドックでの歩様を見ても体の使い方が柔らかくて明らかに芝向きと思えたし、乾いたダートに足を取られたってところかな。この馬は芝に使ってきたら本当におもしろいと思う。身内にきついとかあらぬ疑いをかけられたから言うわけじゃないけど、僕だって「自分たちの馬」には頑張ってもらいたいと心から願っているのだ。中央競馬に乗り込んだウンが鬼ヤバい走りを見せてくれることを期待しつつ、今週はここまで。ではまた来週。

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