見出し画像

ノリさんってやっぱりすごいんですね――長柄高校馬事文化研究部活動記録㉝

璃子「宮姉ずるい! シンザン記念の日、ひとりで中京競馬場に行ったんだって?」
宮子「ずるいってなによ。前の日に仕事で出張の予定があったから、せっかくだし指定席ネット予約の抽選に申し込んでみたら、うまいこと席が取れただけよ。言っておくけど、宿泊費はちゃんと自分持ちですからね」
璃子「にしてもさあ、ネット予約なら1回でチケット2枚まで取れるんでしょ? だったら私の分もチケット取ってくれたらよかったじゃん!」
宮子「なに言ってるの。あなただけ連れていったら、置いていかれるほかの部員の子たちがかわいそうでしょ? 顧問としてそういう不公平はできないの」
璃子「ちぇ、わかったよ。それで、どうだったのさ? ひさしぶりの現地参戦は」
宮子「もちろん、存分に楽しめたわよ。取れた席がちょうどウィナーズサークルの目の前でね。シンザン記念の口取りや表彰式なんかも観覧して、感激したわ。晴れて真冬にしては寒さもさほどじゃなかったし、本命サイドで手堅く当てられたしね」
璃子「おっ、ということは、出張現地参戦はプラス収支で帰ってこれたんだ?」
宮子「さっ、シンザン記念の表彰式の写真はあとで送ってあげるから、今日も張り切って3歳戦の回顧を始めちゃいなさい」
璃子「華麗にごまかしたってことは、あっ……(察し)」

1/4中山5R ダ1800m 1着:エクセスリターン
評価☆6

璃子「宮姉のシンザン記念の馬券の結果はのちほど問いただすとして……お正月開催の新馬戦から振り返っていこうか。2022年新馬戦『一番福』を射止めたのはエクセスリターンだったね。前半1000m67秒1と超スローペースに落ちるなか、向こう正面で外目からじわじわと押し上げ、4角を回った時点で完全に先頭を奪った。そこからは後続を寄せつけず2馬身半差でゴールイン」
ハヤタ「馬体重542キロの大型馬で、パドックでもとにかくフレームの大きさが目立ってた。ダート馬らしく肉付きも良いんだけど、それでいて脚さばきに重苦しさはない。まだ粗さも目立つ走りだけど、ストライドは大きいし、ダートの中長距離では結構おもしろい馬なんじゃないかな」
璃子「なるほど。距離が持ちそうなら、うまくいけばJDDも目指せるかもね。今回はスローペースだから時計が出なかったのは仕方ないとはいえ、課題はやっぱり時計面かな。早い時計にも対応できるようになれば評価はもっと上げられるね」

1/5中京5R 芝2000m 1着:チュウワダンス
評価☆5.5

姫「西の中京、芝2000mの新馬戦はチュウワダンスが制したわ。無難なスタートを切るとじわじわと追い上げて好位を確保。直線までしっかりと脚を溜めて最後はしぶとく抜け出した。セレクトセール出身のハーツクライ産駒よ」
ハヤタ「胴に伸びがあってやや重心が低く見える体型だけど、タイプ的には中距離馬だね。追い出されてすぐは少し粗削りなフットワークにも見えたけど、走りが整ってくるとさらによくなるかもしれない。今後の成長にも期待だね」

1/8中山3R ダ1200m 1着:サザンエルフ
評価☆5.5

恵麻「前半は中団で少し置かれるかたちになったサザンエルフだったけど、直線でエンジンがかかってからは1頭だけ違う脚色。上がり36秒7で先行勢をまとめて蹴散らしたよ」
ハヤタ「すこし小柄だけどなかなか機敏なところがあるよね。距離は短いところ専門って感じだけど、体が成長してくれば上のクラスでもおもしろんじゃないかな」
姫「血統的にもなかなか期待が持てる1頭よ。まず現役のきょうだいには中央と地方でダート重賞を立て続けに3勝しているメイショウカズサがいる。ほかのきょうだいもキアロスクーロやピアシングステアなど上級クラスまで勝ち上がってる馬が複数いるわ。父はダートで堅実に走る産駒を出すパイロだし、この馬も着実に力をつけていける素地はあるんじゃないかしら」

1/8中山6R 芝1600m 1着:リヴォリ
評価☆5.5

姫「この馬も良血よ。兄は昨年重賞2勝、暮れのGⅠ香港カップでも2着と健闘したヒシイグアス。このリヴォリは父がダイワメジャーに替わってマイルでスピードを見せたわね」
ハヤタ「うん。平尻ぎみでいかにもスピードと先行力がありそうだよね。芝のマイル前後で力を発揮できるタイプと見ていいと思う」
姫「デビューは遅れたけれど仕上がりの早いダイワメジャー産駒だし、スムースなレース運びが叶えば連勝も狙えるかもしれないわね」

1/8中京4R ダ1200m 1着:カネトシブルーム
評価☆5.5

璃子「スタート後は少し抑える感じで外目の好位を追走していたカネトシブルームだったけど、3コーナーあたりではいつのまにか内に潜り込んでいた。直線ではまた外に持ち出し、先に抜け出しをはかった1番人気マスキエッタをとらえて1着。変幻自在のコース取りだったね」
ハヤタ「筋肉量が豊富でやや詰まり気味の馬体。いかにもダートの短距離が合いそうだね。弾むような走りもできたし、クラスが上がっても楽しみはありそう」
璃子「2着のマスキエッタも後続に7馬身差。この馬も未勝利クラスならすぐに勝ち負けになりそうだね」

1/8中京6R 芝1600m 1着:ショショローザ
評価☆6

姫「ショショローザは上にワールドエースやヴェルトライゼンテ、ワールドプレミアといった重賞・GⅠ級の兄を持つ良血馬よ。レースでは楽に2番手を追走。直線も難なく抜け出して後続の追撃も振り切った。軽快なスピードを見せたわね」
ハヤタ「うん。父がロードカナロアに替わって牝馬に出た影響もあるのか、兄たちよりもすっきりとした体つきで脚も長めに見せるね。追われてからさらにストライドを広げるような走りだったし、やっぱり素質は高いと思う。牝馬同士なら重賞でも上位に食い込めるだけのポテンシャルを秘めてるんじゃないかな」
姫「この馬も含め、今回は『遅れてきた良血馬』の活躍が目立つわね。ここからクラシック戦線にどこまで近づけるか、楽しみだわ」

1/9中山6R 芝2000m 1着:マイネルニコラス
評価☆6

恵麻「マイネルニコラスは中団で折り合い、3、4コーナー中間あたりから徐々に前へ進出。直線入口で先頭に並びかけて、最後は3頭での追いくらべを制してぐいと抜け出した。中山の芝中距離戦でのお手本のような、見事な勝ち方だった」
ハヤタ「長く良い脚を使ったよね。典型的な持続力タイプ。キングカメハメハ産駒で筋肉量はやや多めなんだけど、体の使い方がうまくて全身運動ができてる。良い馬だよ」
恵麻「走りを見てると中山の2200m戦も合いそうだし、中山の芝中距離戦では常にマークしたい1頭だね。ポンポンと勝ち上がってクラシックの伏兵として名をつらねるかも」
ハヤタ「2着のレイヴンズコーもどっしりとした体つきの芝馬で、1800~2000mくらいでおもしろそう。1番人気のヒシハイドラは最後の坂で苦しくなった。体型的にも平坦コースのほうがよさそうだね」

1/9中京6R 芝2000m 1着:アスクオンディープ
評価☆5.5

ハヤタ「能力的には上位拮抗かなといった印象だった。そのなかで仕上がりや気性面で総合点が高かったアスクオンディープがスローの逃げに持ち込んでそのまま押し切った。直飛で無駄なく脚を使えそうな体型。1コーナーでは物見をして少し危うかったけど、逃げにこだわる必要もなさそうだし、着実に力をつけていけるタイプじゃないかな」
宮子「現地で見てたけど、混戦模様はひしひしと伝わってきたわ。新馬戦ってこともあるし、血統馬のモーダルジャズのほうに人気が集まったのもむべなるかなね」
姫「GⅠ2勝馬ラブリーデイの全弟ですね。同じ配合のボッケリーニも重賞を勝ってます。生産牧場は替わってますけど、みんな金子HDの所有馬ですね」
ハヤタ「仕上がりはまずまずだったし、兄同様、体型的には芝のマイルから2000mくらいで良さそう。ただ、クロス鼻革をつけてるように、ちょっと扱いが難しいところもあるのかも。能力的には未勝利クラスの馬ではないだろうけど、気性面の成長が課題になりそうだね」
璃子「2着のニシノクレセントも重賞勝ちの母を持つ馬で、人気ほどの差はなかったと見てよさそうだね。ニューヴァージョン、ブレイズアウトといった人気どころも巻き返しはありそう」
姫「血統的にはフライシュッツにも注目だわ。父は凱旋門賞を含むGⅠ4勝の名馬ゴールデンホーン、母はフランスの1000ギニーとオークスを勝ったラクソニエールというワールドクラスの超良血馬よ。POGでも話題になっていたわね」
ハヤタ「まだ太目で仕上がりひと息だったけど、身のこなしが柔らかくてこれも良い馬だなと思った。わりと好きなタイプの馬かもしれない」
璃子「あとは日本の馬場への適性がどうかといったところか。いずれにせよ今後の変わり身に期待といった馬が多いレースだったね」

1/10中山4R ダ1200m 1着:ラブリネスオーバー
評価☆5.5

恵麻「好スタートから2番手をキープ。直線では脚が止まった逃げ馬を難なくとらえて完勝だったね」
ハヤタ「牝馬ながら500キロを超す雄大な馬体。脚が長くてなかなか機敏さもある。距離の融通もある程度ききそうだし、コース替わりしてもおもしろそうだね」

1/10中山6R ダ1800m 1着:キングスソード
評価☆6

璃子「ここは終始、人気の2頭のマッチレースといった様相になったね。最後は逃げたキングスソードが3/4馬身競り勝った。3着馬とは大差だし、上がり3ハロンの時計もこの2頭が抜けてる。後ろとは力差が大きかった感じだね」
姫「勝ったキングスソードは父シニスターミニスター、母父キングヘイローで、いまトレンドの血統背景ね。兄も重賞勝ち馬キングスガードよ」
ハヤタ「少し重心が低いところなんかお兄さんに似ているし、この馬も1400mくらいまで距離の融通がききそうな印象を受ける」
璃子「それならダート路線で幅広い活躍が見込めそうだね。2着のレッドラパルマも能力的に遜色ないと見ていいかな?」
ハヤタ「うん。イスラボニータ産駒にしては脚が長めで、筋肉の収縮力も感じさせた。次走も相手次第になるだろうけど、未勝利クラスなら勝ち負けは必至と見ていいんじゃないかな」
璃子「加藤征弘厩舎だし、ルメール騎手が継続騎乗なら期待大だね」

1/10中京4R ダ1800m 1着:ハピ
評価☆5

恵麻「やや混戦模様だったこのレースは、好位を追走したハピが直線でしぶとく脚を伸ばし、先に抜け出した2着馬をとらえた。キズナ産駒」
ハヤタ「460キロ台でダート馬としては体格は大きくないけど、首をうまく使って地面に張り付くようなフットワークはダート向きだね。次は馬群が密集した際の立ち回りも見てみたいね」

1/9中山1R 未勝利 ダ1200m 15着:ルナエルモッサ

璃子「POG指名馬のルナエルモッサが4戦目に挑んだものの、15着と惨敗……。初ダートの今回も先行するスピードは見せたけど、外から競られて結果的に差し追い込み決着を演出する役割も果たしてしまったかな。ただそれにしても直線ではばったりだったし、やっぱり芝のほうが向くんじゃないかな。次走は小倉の芝1200mを狙うってことだから、あとは少し時計のかかる馬場になってほしいところだね」

1/9中京5R 未勝利 芝1600m 12着:クリノマジン

姫「POG指名馬クリノマジン。前走2着からの連戦で初勝利の期待もかかっていたけど、ここは相手が揃っていたこともあり、12着と大きく後退。初のマイルも影響したのかもしれないけれど、距離が替わっても使える脚はそう変わらなかった印象ね。条件もあるけれど、勝ち切るにはもう一皮剥ける必要があるかもしれないわ」

1/10中山5R 芝2000m 6着:フィルクローバー

恵麻「ここもPOG指名馬の参戦。ここまでなかなか期待ほどの走りができていないフィルクローバーだけど、ここは勝ち馬と0秒5差の6着で、少し前進できたかな? ただ、馬群に入っていけないとか、まだ精神面で難しいところもあるみたい。優先出走権がなくなって今後は除外の可能性も大きくなるけど、この馬ももう一皮剥けて初勝利を目指してほしいね」

1/5中山5R 1勝クラス 芝2000m 1着:アスクビクターモア 修正評価☆6
6着:ウン

恵麻「9頭立てながら飛躍を狙う関東の精鋭がそろってなかなか見ごたえのある1勝クラス戦だったよね。勝ったアスクビクターモアはジオグリフが制した新馬戦で3着だった馬。このときの1番人気はむしろこちらだったんだよね。その後も未勝利戦でアサヒを破り、前走はドウデュースの0秒1差3着。強い相手と戦ってきた経験が生きて、ここは首差でもきっちり勝利をもぎとった」
ハヤタ「首をうまく使った走りが印象的だった。体も柔らかいし、やっぱり力のある馬だね。馬体重が増えてきた点も好感が持てるよ」
姫「ディープインパクト産駒だし、これから春にかけてとんでもない成長曲線を描くかもしれないわね」
ハヤタ「2着レヴァンジル、3着ヴァーンフリートは血統的にも少し筋肉に硬さがあるぶん、アスクビクターモアの決め手に屈したかな」
璃子「あとはウンだよね。いや、運じゃなくて、ウンね。我々のPOG指名馬。川崎・河津厩舎所属になってふたたび中山に遠征してきたんだけど、力及ばず8着」
姫「序盤で少し折り合いを欠いたこともあって、4コーナーからのペースアップについていけなかった感じかしら。それでも最後までよく粘ってはいるんだけどね。中央競馬で好結果を残すのはなかなか大変だけど、クラシックを目指してチャレンジは続けてほしいわ」

1/5中京6R 1勝クラス 芝2000m 1着:グランディア
評価☆6

恵麻「中京の1勝クラス戦も芝2000mだったね。先手を主張したアランヴェリテにテーオーソラネルとデリカテスが絡んでいったことで前半1000mは58のハイペースに。飛ばした3頭はさすがに4角で苦しくなって、直線は差し勢が台頭した。先に抜け出したのは内目から馬群を縫ってきたグランディアで、逆に外目からスムーズに脚を伸ばしたマテンロウスカイにかわされそうになりながらも、しぶとく粘ってアタマ差残してゴールに飛び込んだ」
璃子「グランディアはもともと私たちも素質を高く買ってた1頭なんだよね」
姫「良血馬よ。母のディアデラノビア自身、重賞3勝の実力馬だし、子どもにも重賞勝ち馬が複数いる。このグランディアもゆくゆくは重賞戦線での活躍が期待されるわね」
璃子「もちろん、一族悲願のGⅠ制覇もね。今回はアタマ差の辛勝だったとはいえ、ちょっと特殊なレース展開でもあったし、混戦をしのぎきった点を評価したいね」

1/8中京7R ダ1800m 1着:デシエルト
評価☆6

璃子「中京のダート1800m1勝クラス戦には新馬戦で良い勝ち方をしてきた期待馬が顔をそろえた。そのなかで値千金の1勝を挙げたのはデシエルト。前半はやや引っかかり気味で2番手。オーバーペースも懸念されたけど、直線で先頭に躍り出ると、しぶとい末脚で2着ジュタロウの追撃を振り切った」
恵麻「ペースを考えると着差以上にしぶとさを発揮した内容と言えるかもしれないね。このあとは芝路線に挑戦すると表明もされたけど……」
姫「新馬戦の段階で私たちとしては芝でもやれるとジャッジしてたわね」
ハヤタ「あらためて馬体も見直してみたけど、うん、体型的にはやっぱり芝でも走れそうな印象だね。芝でも先行力を生かすレースができれば、おもしろいよ」
璃子「皐月賞トライアルに向かうということだし、クラシック戦線の伏兵になるかも。次走で先物買いすることも検討しておこう」

1/8中山9R 黒竹賞 ダ1800m 1着:ホウオウルーレット 評価☆6.5
15着:コスモルーテウス

恵麻「これも注目の1戦だった。ホウオウルーレットは新馬戦圧勝で将来性を高く見込んだ1頭。メンバーがそろった今回も2番手キープから直線に入ってぐんぐんと後続を突き放し、あらためて能力の高さを見せつけた」
ハヤタ「外枠で立ち回りやすかったのもあるにせよ、強い勝ち方だったよね。胸が広くて心肺能力が高そうだし、勢いはまだまだ止まらないと思う」
恵麻「これで1勝クラスの特別戦をクリア。少しかかり気味だったレース振りから見ても、ペースが上がって時計が早くなっても対応できそうだし、まだ底が見えない。今後も楽しみだね」
璃子「なお、ここはPOG指名馬のコスモルーテウスも出走したけど、15着。ここでは敷居が高かったかな。まあ4か月ぶりの実戦でプラス16キロでもあったし、叩いて良化を期待したいね」

1/9中山9R 朱竹賞 芝1200m 1着:リトス
修正評価☆5

ハヤタ「中山の1勝クラス特別は芝1200mのスプリント戦。ここは夏場から短距離戦で経験を積んできたリトス、シゲルファンノユメ、ジョーブリッランテの3頭で決まった。能力的にいっても順当な決着といえるんじゃないかな。リトスはハイペースで飛ばしながらも最後まで頑張ったし、逃げる形が良さそうだね。逆に今回はシゲルファンノユメとジョーブリッランテは展開的にここまでが精一杯だったかな。着順は流れ次第で入れ替わっていてもおかしくなかったと思うよ」

1/10中京6R 1勝クラス 芝1200m 1着:エテルナメンテ
修正評価☆5

ハヤタ「中京の1勝クラスも芝1200m戦で逃げ切り決着。パドックからリズムよく歩けていて体調の良さそうだったエテルナメンテがスピードを生かす競馬ができた。減量51キロの恩恵もあって、短距離の先手で勝負を決めたね」

1/5中山10R ジュニアカップ 芝1600m 1着:インダストリア
修正評価☆6.5

宮子「気持ちいいわね、1等賞!」
恵麻「と、宮子先生がはしゃいでいるのは、このレースでインダストリアの単勝を買っていたからです」
璃子「前回言いそびれたけど、NHKマイルカップの最有力候補はこのインダストリアだからね。そう思うと、今回の単勝2番人気3.1倍はたしかにおいしいオッズだったかもしれない」
姫「レースも好内容だったわよね。道中は好位の後ろでじっくり脚を溜め、直線は外に出して最後は一気の伸び脚で突き抜けた。2、3着馬が先行勢で脚が鈍っているぶん、見た目の派手さを割り引く必要はあるけど、それにしてもここは力が違うといった勝ち方だったわ」
ハヤタ「変則開催のせいか、馬体重プラス10キロで、体つきとしては皮一枚余裕があるかなという見た目だった。それでいてレースであれだけ動けるのはたいしたものだよ」
恵麻「しかもノーステッキだったし。NHKマイルカップに向けて好発進を切れたよね。オープンを勝ったし、次はいよいよ重賞挑戦かな? 相手もさらに上がるだろうし、今回の反動が出ないかも気になるところだけど、晴れの大舞台目指して着実にステップアップしていってくれるといいね」

1/10中山11R フェアリーS GⅢ 芝1600m 1着:ライラック
修正評価☆6.5

璃子「今回は重賞が2鞍だね。まずは中山でおこなわれた牝馬限定のGⅢフェアリーステークスからいこう」
恵麻「馬券的には荒れ傾向のあるレースだけど、今年は5番人気、1番人気、7番人気の決着で、まずまずのところにおさまったといえるかな? 勝ったのはM・デムーロ騎手騎乗のライラック。スタートは出遅れ気味で後方からになったけど、デムーロ騎手らしく勝負所から気風よく進出。4コーナー手前から馬群がぎゅっと詰まったこともあって、直線に入ると外から一気に前を飲み込んだ。最後は内からスターズオンアースに迫られたものの、瞬発力は1頭際立ってた」
姫「デビュー戦は1800m、前走は重賞京都2歳Sで2000mに延ばしたけれど、距離短縮のマイル戦でむしろ切れ味を発揮できたわね」
ハヤタ「うん。デビュー戦から能力の片鱗は見せてたし、やっぱり体にもバネがあるね。ただ馬体が減ってきた点は気になるから、春に向けて回復をはかれるといいかも。それが叶えば桜花賞でも無視できない存在になりうるよ」
璃子「スターズオンアースも惜しい競馬だったよね。最後は良い脚を見せたけど、かなり乗りにくそうだった。内にササッて、見た目でわかるほど石橋騎手が追いづらそうからね」
ハヤタ「馬体的にはこちらのほうが評価できるくらい。ササリ癖を春までに修正できるかだね」
姫「あとはエリカヴィータにも触れておかなきゃいけないわね。この馬は以前、牝馬クラシック路線の期待馬の1頭として挙げさせてもらったんだけど……」
恵麻「4コーナーで態勢を崩した内の馬に寄られ、トモを滑らせたのが致命的だったね……。あれはかなり大きな不利だったでしょう」
ハヤタ「そうだねえ……。最後は流すじゃないけど、無理に追わない感じだった。脚色から見ても、まともだったらもう少し良い勝負ができていたと思うよ。ただ、上を狙うなら馬体はもう少し成長してきてほしいかな」
璃子「なるほど。もともと混戦模様でもあったし、評価は少し難しい1戦になったかもしれないね。ただ昨年の勝ち馬ファインルージュもその後クラシック戦線で活躍してるし、このレースも今後重要度を増していくかもしれない。特に上位勢の今後の動向には要注目だね」

1/9中京11R シンザン記念 GⅢ 芝1600m 1着:マテンロウオリオン 修正評価☆6.5
3着:レッドベルアーム

恵麻「最後は伝統のGⅢシンザン記念。近年はのちの超一流馬を続々輩出する出世レースにもなってる。そんな1戦を今年制したのは、マテンロウオリオン。前走は未勝利の身で1勝クラスの千両賞を勝利。そこから中1週の『変則ローテ』で一気に重賞をもぎ取った」
璃子「前走の時点で私たちも能力を高く評価していて、ここでも注目してたんだよね。その前走は最後方からの追い込みだっただけに今回はどんなレースになるかと思っていたら……まさか3番手につけて抜け出すとは」
姫「騎乗した横山典弘騎手によると、馬が競馬を覚えてやる気になっていたらしいわね。そこで引っ張り殺さないギリギリのところで折り合いをつけたのだと」
ハヤタ「たしかにあらためてパドックを見ると、二人引きでハミも取る感じで、やる気を見せてるね。ダイワメジャー産駒で実も詰まっていて、もともとスピード能力は高い馬だしね。前走の1400mから1ハロン延長したここなら前の位置を取れたとしても不思議ではなかったとはいえる」
璃子「とはいえ実際、ノリ騎手だからこそできた芸当じゃないの、これ。普通、前走追い込みでいい競馬をした馬が今回かかり気味になったら焦るって。馬の能力の高さももちろんだけど、横山典騎手の手腕もあらためて思い知らされた1戦だった」
恵麻「武史騎手は言わずもがな、和生騎手もこのところ馬券によく絡んでいるし、息子たちに父の威厳を見せる格好にもなったよね」
姫「昆厩舎で『マテンロウ』の寺田オーナー、そして横山典騎手。このラインは厚いわよ。以前から陣営も素質を高く評価するコメントを出しているし、高いチーム力を発揮してGⅠ戦線でも脅威になるんじゃないかしら」
璃子「うむ。シンザン記念の歴史に新たな1ページを刻んだね。そして2着はソリタリオ。この馬もデビュー以来2着を外してない。安定感があるね」
ハヤタ「うん。この馬も筋肉の発達が目立つし、現時点での完成度が高いね。これは春先まで大きな武器になると思うよ」
恵麻「3着はレッドベルアーム。私たちのPOG指名馬で、重賞制覇の期待もかかってたんだけど……」
ハヤタ「決して悲観する内容じゃないんだけどね。道中も折り合い重視で慎重な乗り方に見えたし、まだ競馬を教えてる段階なんじゃないかな。脚は長いし体格も恵まれているし、馬体のスケール感はこのメンバーでも抜けてるように感じた。大化けする可能性を秘めてるからこそ、陣営もじっくりと腰を据えて育ててるんじゃないかな」
璃子「できればPOG期間中に大化けの瞬間が訪れてほしいもんだけど……それはまあこっちのワガママなんだろうね。ゆくゆくは『この馬をPOG指名してたんだ』って自慢できるようになってほしいです」
恵麻「あとはラスールかな。これも牝馬クラシック戦線の期待馬として挙げた1頭だったけど……」
姫「新馬勝ち以来、3ヵ月ぶりのキャリア2戦目。スタートでアオリ気味だったし、道中では少し引っかかるそぶりも見られた。直線でこの馬なりに脚は使ってたけど、伸び切れなかったわね」
宮子「現地でパドックも見てたけど、ラスールは隊列の最後方に回されていて、チャカつき気味だったわよ。レース前からテンションは上がっていたと言えるわね。おかげで馬券も……(ブツブツブツ)」
ハヤタ「あっ、ラスールから買ってたんですね……(察し)。まあ耳の動きも少し激しめでしたし、はじめての競馬場で周囲を警戒してたのかもしれないですね」
璃子「つまり、ラスールに関しては今回、キャリアの浅さが露呈したってことでいいかな。逆に輸送競馬で牡馬に混じったこの1戦は良い経験になったと見たい。さっきも言ったように直線はそれなりに脚も使って上位に接近してたし、レース振りは悲観するものじゃなかった。この馬も見限るのはまだ早計だよ」
恵麻「というわけで今回は、宮子先生のシンザン記念現地情報もまじえてお送りしました。いやー、お正月開催プラス3日間開催の振り返りはやっぱり長くなるね。来週からは小倉開催も始まってまた大変になるけど、頑張っていこう。POG指名馬の好結果ももっとお届けできるといいな。それじゃあ、また!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?