見出し画像

進撃から来たライトファンの皆様、なんだかよくわからないかもしれませんがすみません――長柄高校馬事文化研究部活動記録㉞

璃子「2021年中央競馬のJRA賞が決まったね」
姫「年度代表馬は皐月賞、天皇賞(秋)、有馬記念とGⅠ3勝のエフフォーリア。そのほかの受賞馬もほぼ予想どおりで、順当な結果といえるんじゃないかしら」
恵麻「いっぽうで日本馬としては初めてアメリカのブリーダーズカップを制したマルシュロレーヌが受賞を逃したことにはファンのあいだでも疑問の声が上がってるみたい」
璃子「たしかに、マルシュロレーヌは特別賞くらいはあるかなぁとは思ってたから、少し意外ではあった」
姫「まあ国内では地方交流含めまだGⅠ級レースの勝利はない馬だし、賞を与えることで箔をつけるっていうのは順番が違うんじゃないかという意見も一理あると思うわ。かわりといってはなんだけどNARグランプリ特別顕彰馬には選出されたし、決して実績が軽視されているわけではないことは知っておいてほしいわね」
恵麻「NARグランプリといえば、昨年3月に亡くなった岡田繫幸さんにも特別賞が与えられたね」
姫「我らが総帥ね。JBC競走の創設に尽力するなど地方競馬の発展に多大な功績を残した点が授賞理由に挙げられていたように、所有馬を地方所属のまま中央のクラシック戦線に挑戦させる試みをずっと続けたとか、私たちファンに対しても夢や楽しみを提供してくれた人なのよね」
璃子「我々も微力ながら総帥のスピリッツを引き継いでこうやって部活を続けてるわけだから、これはやっぱりウ〇娘とともにJRA賞を狙っていくしか……。ってことでライトファンのみんな、猛プッシュよろしくお願いします!」
ハヤタ「いやいやいや……、ライトどころかディープなファンもいない気がするんだけど……。まあ数少ない読者さんに向けて今回も新馬戦を中心に回顧していくので、よろしくお願いします」
璃子「続けることに意味がある!」

1/15中山4R ダ1800m 1着:グリューヴルム
評価☆5.5

璃子「8頭立てでやや低調なメンバー構成になった感もあるけど、ここは圧倒的1番人気を背負ったグリューヴルムが力の違いを見せた」
ハヤタ「ダート馬にしては体つきにすっきりした印象もあって、機動力がある。上のクラスで相手が強くなってどうかという心配はあるけど、この馬自身の上積みは見込めると思う」
璃子「控える競馬で勝ち切れたのは今後につながるし、時計を短縮できてくればおもしろいよね」

1/15中京4R ダ1400m 1着:ナパージュケイク
評価☆5.5

姫「中京のダート1400mは一転して16頭立てで混戦模様だったわ。ナパージュケイクは大外16番から中団待機。3コーナー過ぎから進出を開始して直線一杯しっかりと脚を使って勝ち切った。ダイワメジャー産駒らしく、完成度が高そうね」
ハヤタ「そうだね。1200m、1400mがベストの短距離馬といった体型だし、条件もぴったりだった印象。胸も深くてまだ上を目指せそうだね」
姫「祖母のリトルブレッシングの仔にはカペラSを勝ったダンシングプリンスがいるわ。ダンシングプリンスも3歳夏の遅いデビューながら重賞まで駆け上がったし、そのひそみに倣ってでもないけど、このナパージュケイクもここからどんどん力をつけていけるといいわね」

1/15中京6R 芝2000m 1着:マテンロウボンド
評価☆5.5

恵麻「このレースも出走12頭中6頭が単勝10倍を切る混戦模様だったね。勝ったのは2番人気のマテンロウボンド。1000m通過64秒のスローペースで流れるレースを、好位追走から力強く差し切ったよ」
ハヤタ「お尻がほんの少し後ろについた体型で、そのぶんストライドを伸ばせる感じだね。首も十分に長さがあって、やっぱり2000mくらいが合いそうなタイプ。仕上がりもよかった」
姫「冠名からわかるとおり、オーナーは先週のシンザン記念を勝った寺田氏よ。勢いがあるし、中京とも好相性ね。こういう流れは注目してみてもおもしろいんじゃないかしら」

1/16中山4R ダ1800m 1着:チャプリ
評価☆5.5

ハヤタ「すんなりと好位をキープして脚を溜めたチャプリが、直線であっさりと抜け出して5馬身差の楽勝。強いね。470キロ台で牝馬にしてはしっかりと肉が付いている感じ。体型的には首がやや短め、胴回りにも幅があるように見えて、父ヘニーヒューズよりも母父クロフネが濃く出ている印象かな」
姫「そうなのね。母のホワイトフーガは交流重賞7勝の女傑よ。そこにヘニーヒューズをつけたわけだし、やっぱりダート路線での活躍を見込んだ配合と見てまちがいないでしょうね。今回は牝馬限定の新馬戦で相手も軽かっただろうからまだ真価は測れないけど、ゆくゆくは母同様交流重賞を狙っていきたい1頭ね」

1/16中山5R 芝1600m 1着:ウインエクレール
評価☆6

璃子「このレースは注目の良血馬が出走したんだよね?」
姫「ええ、勝ったウインエクレールよ。兄に中山記念連覇、香港で国際GⅠを2勝したウインブライトがいるわ。姉のウインファビラスも素質を高く評価されていたし、コスモヴューファームが誇る優良血統よね。父がディープインパクトに替わったこのウインエクレールも、デビュー前から松岡正海騎手が素質の高さを絶賛しているわ」
ハヤタ「パドックを見た印象では、冬毛は出てるし体つきもまだ厚ぼったさが残ってて、正直仕上がりはひと息かなと思ったんだよね。でもレースに行くとしぶとく伸びてきっちり前を競り落とした。丸みを帯びて芯の強そうな体つきは兄を彷彿とさせるし、父が替わっても血筋がよく出てるね」
璃子「なら中山での活躍は約束されたようなものだね。マイルも問題なさそうだし、2000mくらいまでこなせればかなりおもしろいよ。兄たちの主戦もつとめた松岡騎手と、この馬もいいコンビになりそうだ。太めで初戦を勝った反動は気になるところだけど、先々の活躍はもちろん、ウイン軍団の筆頭格としてクラシック戦線にも殴り込みをかけてほしいね」

1/16中京4R ダ1800m 1着:ウィングヘヴン
評価☆5.5

恵麻「中京4Rのダート新馬戦も牝馬限定の1戦だったよ。ここはウィングヘヴンが2番手追走から直線あっさりと抜け出して、6馬身差の楽勝劇。日本でも順調に産駒が勝ち上がっているアロゲートの産駒だね」
姫「こういう産駒の活躍を見ると、アロゲートの早逝もかえすがえす惜しまれるわね……」
ハヤタ「本当にねえ……。このウィングヘヴンもそうだけど、ダート馬にしては脚長ですっきりと見せるタイプが多いのがアロゲート産駒の特徴かな? ダートの中距離でスピードや機動力を生かせるタイプが多いと思うよ」
恵麻「このレースの勝ち時計1分54秒4も優秀なものだよね。同じ日の古馬1勝クラスのダート1800m戦の勝ち時計1分54秒1と遜色ないし、むしろ斤量面では新馬のこっちのほうが重かったくらいだからね。もちろんだからといって現時点で古馬以上の能力があるとは断定できないけど、早い時計の決着には難なく対応できると考えていいんじゃないかな」
姫「ただ残念なことにレース三日後の18日に、骨折が判明してしまったわ……。故障の程度はわからないけれど、牝馬ダート路線で楽しみのある馬だし、復帰に向けて頑張ってほしいわね」

1/16小倉5R 芝1200m 1着:ゼットレヨン
評価☆5

璃子「小倉1200mの多頭数。一筋縄じゃいかなそうな条件だったけど、ここは荒れに荒れたねえ。勝ったゼットレヨンは10番人気。2着、3着も8番人気と15番人気が突っ込んで、3連単は130万円超の高配当!」
ハヤタ「人気面ではアスクチャンプガイが1倍台で抜けてたとはいえ、どれが勝ってもおかしくないようなメンバーだった。好スタートから前でうまく流れに乗ったゼットレヨンが勝機をつかんだって感じかな」
姫「父はモーリスで、母父にサクラバクシンオー。母父サクラバクシンオーといえばキタサンブラックが有名になったけど、この馬は素直に短距離でのスピードを受け継いだようね。モーリスはスプリントチャンピオンも出したわけだし、短距離路線での産駒の活躍にも期待したいわ」

1/15中京5R 未勝利 芝1400m 3着:クリノマジン

璃子「ここはPOG指名馬の動向だよ。先週も中京で出走したクリノマジンが、ここで連闘をかけてきた。前走大敗で人気は落としてたけど、乗り替わった武豊騎手が内枠から上手にレースを進めてくれたこともあって、3着と巻き返した! やっぱり中京の芝1400mはこの馬にとってベスト条件だね」
恵麻「武騎手によると『手応えほどは伸びなかった』ってことだけど、これは連闘の影響なのかなあ?」
璃子「いちおう、厩舎コメントでは連闘でも疲れはなかったってことだけどね。レース後はソエの徴候もあって外厩調整に出されたみたい。ソエは気になるところだけど、陣営としては続戦も見込んでるみたいだね」
ハヤタ「勝ち切るには好走条件が限られそうな馬だけど、未勝利レベルなら勝ち負けになることは示してきてるからね。体調を整えてメンバーレベルも下がってくるようなら勝機は十分にあると見ていいんじゃないかな」
璃子「ちなみに宮姉は、先週取り損ねた応援馬券をとれたんだよね?」
宮子「まあ複勝だけどね」
璃子「次は『単まであるねえ!』でお願いします!」
ハヤタ「そのネタは細かすぎてライトファンには通じないと思うよ……」

1/15中京7R 1勝クラス ダ1200m 1着:ペプチドヤマト
修正評価☆6

ハヤタ「このペプチドヤマトはデビュー戦のときからダートでの素質があるなあと思っていたんだよね。未勝利クラスで少し勝ちあぐねていたけど、ここにきて連勝。1200m戦で結果が出たけど、距離の融通はもう少しきくと思う。この先もこつこつ勝ち上がって、ゆくゆくはオープン入りも狙えそう。いい馬だよ」

1/15中山9R 菜の花賞 芝1600m 1着:サウンドビバーチェ
修正評価☆5.5

恵麻「牝馬限定の1勝クラス特別戦は、スタートを決めて好位で脚を溜めたサウンドビバーチェが快勝。直線での末脚は力強くて、坂上で前をとらえてみせた。芝も荒れてきて少し時計のかかる決着だったかな」
ハヤタ「牝馬にしては筋肉質な馬体で、こういう時計を要する馬場は得意そうだね。マイルも合うし、今回はバッチリ条件がはまったと思うよ」
恵麻「マイルが合うなら、とりあえず桜花賞は目標にできそうだね。ここからどこまで飛躍できるか注目だ」

1/15中京10R 紅梅S 芝1400m 1着:フォラブリューテ
修正評価☆6

姫「こちらも牝馬限定戦。オープンクラスのリステッド競走ね。1番枠のフォラブリューテはスタートひと息だったけど、直線で外に持ち出すと、長く良い脚を使ってきっちり差し切った。後方からの競馬になることは織り込み済みだったようで、ルメール騎手の手綱さばきに迷いは見られなかったわ」
ハヤタ「2着のダークペイジも結構いい馬だし、なかなかレベルの高いデュエルだったんじゃないかな」
姫「フォラブリューテのレース振りを見ていると、直線の長いコースは合いそうね」
ハヤタ「現状はそうだね。距離も1400mがベストだとルメール騎手がコメントしてるけど、新馬戦はマイルで勝っているし、桜花賞でも思い切った競馬ができれば穴候補になるかもしれないよ」

1/16小倉7R 1勝クラス ダ1700m 1着:タイセイドレフォン
修正評価☆6

ハヤタ「タイセイドレフォンは2ヵ月半ぶりの出走でプラス14キロと馬体重を増やしていたけど、太め感はさほどなかったし、これは成長分と見ていいんじゃないかな。大外枠から積極的に2番手を確保。4コーナーあたりから鞍上の手が動いてムチも入ったけど、直線では我慢強く脚を使って混戦を断った」
璃子「騎乗した鮫島駿騎手によると、『返し馬では元気が良すぎたけど、レースではずるさを見せて……その分、3~4コーナーからビッシリ追ってこれました』とのこと。つまり、レースでは自分からやめようとするところがあって、気合をつけていったってことかな?」
ハヤタ「そういうことじゃないかな。気性面の難しさはともかく、見た目以上にレースでの余力はあったってことだと思うよ」
璃子「前走の未勝利戦もハイペースで7馬身差だし、今回もハイペースの消耗戦を制した。こういうレースを得意とするタイプなんだろうね」
ハヤタ「うん。馬体は良いし、得意なかたちに持ち込めれば上のクラスでも勝ち負けになりそうだよね。あとは気性面の成長が望まれるってところかな」

1/16中京8R 梅花賞 芝2200m 1着:セレシオン
修正評価☆6.5

璃子「このレースはめずらしい記録が生まれたんだよね?」
恵麻「うん。まずは出走頭数。もともと出走5頭の少頭立てだったんだけど、馬場入り後に1番のナニハサテオキが取り消しになったことで、なんと4頭立てに。4頭立てのレースはJRAでは10年ぶりだったらしいよ」
璃子「海外のレースでは結構見るけど、日本だとなかなか見られない光景だよねえ」
恵麻「決着も人気通りだったから配当も記録的に安くなって、3連単は270円、3連複に至っては110円と、どちらも史上最安となった(3連複はタイ記録)」
璃子「と、馬券的にはある意味難しい1戦だったわけだけど、この頭数だし実力通りの決着と見ていいのかな?」
ハヤタ「そうだね。勝ったセレシオンはハーツクライ産駒らしくいい意味で骨量があって、体にも柔らかみがある。飛節も伸びるね。気性面の難しさはあるみたいだけど、新馬戦から1ハロンの距離延長も全然問題なかったよ。2400mに伸びてももちろんOK」
璃子「直線では内にササってたってことだし、今後、多頭数のレースでの立ち回りが課題になりそうだね。逆にそこさえクリアできればダービーに向けてもおもしろそうだ。2着のトゥデイイズザデイも巻き返してきたね」
恵麻「前走の京都2歳Sは道中不利を受けての6着だったからね。今回は実質この2頭のマッチレースだったし、この馬も次に『普通の頭数』になってどういうレースができるか見物だね」

1/16中山11R 京成杯(GⅢ) 芝2000m 1着:オニャンコポン
評価☆6.5

璃子「最後はGⅢ京成杯。皐月賞と同じ舞台でおこなわれるこの1戦を制したのは……オニャンコポン!」
姫「思わず口に出したくなる名前の馬ね。でも実力面もデビュー時から高く買ってたのよね」
ハヤタ「うん。今回も柔らかい歩様で伸びやかさが感じられた。前脚が少し長いバランスの体型で、芝の2000mくらいがベストの条件。前走のホープフルSでも穴馬として取り上げたけど、同じ条件で今回は強さを見せたね。中団で脚を溜めたことで末脚が引き出された感じ」
姫「これでデビューから4戦3勝。負けたのは前走のホープフルステークスだけだし、立派な戦績だわ。ホープフルSでは11着と大敗だっただけに小島調教師はまだ慎重なコメントを出してるけど、この重賞制覇で皐月賞を狙える位置まで来たのは間違いないわね。ちなみに父エイシンフラッシュはこれが産駒のJRA初重賞制覇。エイシンフラッシュ自身も現役時に京成杯を制しているから、親子制覇になるわね」
璃子「前走大敗が嫌われたのか単勝は6番人気と意外に低評価だった。そう考えるとおいしいオッズだったよね」
宮子「まあ私の馬券はホウオウプレミアからいって玉砕したけどね……。百日草特別ではオニャンコポンに負けてる馬だったのに、なぜ……」
恵麻「ホウオウプレミアは折り合いがつかなかったのか道中でかなり位置取りを悪くしていっちゃいましたね。どうしたんだろう?」
ハヤタ「うーん、よくわからないね。筋肉は強いし素質は高いんだと思うけど、体つきを見るとマイルの差し馬ってイメージかな」
璃子「今回は条件も合わなかったってことか。あとはアライバルも1番人気だったけど、久々も影響したのか4着」
ハヤタ「この馬も筋肉量豊富で良い馬だよ。ただ器用さが抜きんでたタイプでもないから初の中山コースは走りづらかったのかな。距離も1800m以下がベストの体つき。久々で16キロ増も良化の余地を残していたと見ることができるかも」
璃子「なるほど。1800m以下で広いコース向きとなると、共同通信杯あたりでの巻き返しも期待できるかもね。相手がさらに強力になる点がどうかだけど。あとはアーリントンカップあたりか」
恵麻「逆に2着ロジハービン、3着ヴェローナシチーは小回りコースで勝ってきた馬だし、今回の条件に適性があったってことだね。これらも含めて上位勢はみんな中団、後方待機から脚を伸ばしてきた。平均ペースで流れたけど、差し追い込みの競馬になった1戦だったね」
ハヤタ「そうだね。勝ったオニャンコポンが一歩抜け出したとはいえ、全体的には力差の小さいメンバーではあったかな」
璃子「施行時期の関係もあって京成杯の記憶ってクラシック本番の頃になると薄れがちなんだけど、過去にはそれこそエイシンフラッシュみたいにダービー馬も出してるレースなんだし、しっかり覚えておきたいよね」
恵麻「名前もかわいいしね、オニャンコポン」
姫「かわいい……かどうかは人それぞれだと思うけど、ライトファンには覚えてもらいやすそうね」
璃子「みんなも口に出して言ってみよう、せーの、オニャンコポン!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?