阪神JFも展望するよ――長柄高校馬事文化研究部活動記録㉗

璃子「さあ、いよいよきたよ! 決戦の時が!」
ハヤタ「と、いうと?」
璃子「暮れの2歳GⅠだよ! 阪神ジュベナイルフィリーズから始まって、朝日杯フューチュリティステークス、ホープフルステークスと続く3連戦。いうまでもなく2歳世代の頂点を決めるレースであり、そして私たちの活動の成果が問われる時でもあるのさ」
ハヤタ「たしかに、6月からずっと2歳戦を見てきたわけだからね。僕たちがこれは! って思った馬が活躍してくれるといいよね」
璃子「そしたら馬券も獲れるしね!」
ハヤタ「僕たちはまだ馬券買えないけどね。でも僕たちの活動が少しでも馬券を買う人たちの役に立ったら嬉しいよ」
璃子「というわけで今回からは週末のGⅠレースの展望もしていくよ。ただその前にいつもどおり新馬戦の回顧もしなくちゃね。関東は東京から中山に開催替わり、中京開催も始まってちょっと忙しくなるけど、張り切っていこう!」
ハヤタ「うん」

12/4中山5R 芝1200m 1着:ピンクセイラー
評価☆4.5

璃子「さて、中山に開催が替わって一発目の新馬戦は芝1200m戦だね。内枠から二の脚を利かせてハナを奪ったピンクセイラーが、直線でも止まらず3馬身差で逃げ切った。イスラボニータ産駒。いいスピードがあるね」
ハヤタ「ちょっと毛ヅヤは冴えない感じもしたけど、実戦にいっていい走りができたね。芝向きのキレイなフットワークだし、案外パワーもあって、直線の坂も苦にしなかった」
璃子「結構馬群が縦長になってたし、4コーナー手前でセーフティリードを築けたのが大きかったね。展開やメンバーに恵まれた面はあるけど、たしかに優等生的なレース振りだった」

12/4中山6R ダ1800m 1着:ホウオウルーレット
評価☆6.5

恵麻「これは強かったね。スタートから気合をつけてハナを奪ったホウオウルーレットが上がり3ハロン最速37秒1を使って後続を突き放した。2番手の馬の上がりに1秒も差をつけてて、これじゃあ後ろはもう手も足も出ないよね」
姫「勝ち時計も1分53秒4で、日曜の古馬2勝クラスと0秒3しか違わない優秀なタイムよ。東京大賞典3連覇中のオメガパフュームを兄に持つ良血馬で注目されていたけれど、いきなり結果を出してきたわね」
ハヤタ「お兄さんとは違う体型だけど、こちらも骨太でダートの中距離が最適の馬体だよ。背中が長い体型で、先行して長く良い脚を使えるところもダート向き。かなり優秀な1頭だね」
璃子「この世代のダート路線でトップクラスを形成する1頭になりそうだね。もちろん先々も楽しみだし、兄を超える活躍まで期待したい」

12/4阪神5R 芝1800m 1着:ラリュエル
評価☆5.5

璃子「POGでもおなじみの良血馬がそろったこの1戦、最後の直線に入って最内枠のラリュエルと大外枠のストロングウィルが枠順どおり内と外で離れての追いくらべに。息が詰まるような攻防を制したのは内のラリュエルだった。スタートからスムーズに好位をとってロスなく走らせた松山騎手のエスコートも光ったね」
姫「兄は重賞戦線で活躍を続けるステイフーリッシュ。厩舎も同じ矢作厩舎ね。父は異なるけど、血統の特徴をつかんでうまく仕上げられた面もあったのかしら」
ハヤタ「たしかに初戦からしっかり走れる態勢が整えられた印象だよね。パドックでも気負うことなく歩けていたし、レースでもバランスよく走れてた。芝のレースならマイルから中距離まで幅広く対応できそう」
璃子「となると、順調に出世すれば牝馬重賞戦線の常連として活躍する道も見えてくるってことか。これも兄同様、息の長い活躍ができる馬になるといいね」
恵麻「2着のストロングウィルはどうかな? 1番人気はこっちのほうだった」
ハヤタ「パドックでの雰囲気はすごくよかったよね。歩様に勢いとバネを感じたし、飛節の伸びも十分。直線に入ってすぐの手応えではこっちが突き抜けるかとも思ったけど……もしかするとまだ体を持て余してるのかもしれないね。でも素質の高さはすごく感じたよ」
恵麻「3着のダノンジャッカルは重賞5勝馬ダノンプレミアムの全弟」
ハヤタ「お兄さんよりやや小柄に出たぶん、迫力に欠ける面はあるけど、これも素材の良さは感じさせる。まだ仕上がりきってない体つきでもあったから、徐々に力をつけてくるんじゃないかな」
姫「4着のマリーナドンナは名牝ジェンティルドンナの娘で、ロードカナロア産駒」
ハヤタ「超良血だね。皮膚は薄くて品を感じさせる馬体だよ。そのぶんまだ華奢なところもあるのかなと思うけど、これも徐々に力をつけてくるタイプだと思う」

12/4阪神6R ダ1400m 1着:スマートセプター
評価☆5.5

璃子「スッとスタートを切って楽に2番手につけたスマートセプターが、直線での追いくらべから抜け出して先着。ダート短距離戦のお手本のような勝ち方だったね」
ハヤタ「首や肩回りの筋肉が発達した前がちの体型で、いかにもダートが合うタイプだよ。フットワークも前躯をうまく使う感じで力強かった。胴もしっかり詰まってて1400mがベストって感じだし、阪神だけじゃなくいろんな競馬場で走れそうだね」
璃子「先行力があるし、人気になったレースでは確実にきてくれそうな印象だよねえ。馬券的には軸馬に最適な1頭になるんじゃないの、これ」

12/5中山4R ダ1200m 1着:フロイトセンス
評価☆5.5

恵麻「フロイトセンスが速かった。ダッシュをきかせてハナを奪うと、直線でも軽く追われただけで後続を突き放して、あとはもう独走態勢。上がり時計は追い込んできた2、3着馬に譲ったとはいえ、悠々の5馬身差は楽勝といっていいよね」
ハヤタ「この馬も肩の筋肉が発達しててダート向きだよね。首が短め、かつ胴に少し伸びがあるから、1200m向きのダッシュ力がある。今回の舞台はおあつらえ向きだったんじゃないかな」
璃子「この馬もまた下級条件できっちり人気に応えてくれそうなタイプに思えるな。あとは差し馬も強くなる上のクラスでどう立ち回っていくかだね。逃げに磨きをかけるのか、それとも脚質の幅を広げるのか。そういう意味では次走以降の作戦も要注目だ」

12/5中山5R 芝2000m 1着:マイネルトルファン
評価☆5

姫「8頭立てとなったこの一戦を制したのはオルフェーヴル産駒のマイネルトルファンだったわ。スタートから押して積極的に位置を取りにいって2番手につけるも、道中では少しうながされながらの追走。4コーナーから鞭も飛んで手応えはどうかといった戦況だったけれど、ゴール直前で2着のミラキュラスライトとともに逃げ馬を強襲してアタマ差だけ前に出たわ」
ハヤタ「パドックではのんびりした感じだったけど、最後までしぶとく脚を使ったよね。背中が長くて持続力に長けたタイプだと思う。お姉さんはユーバーレーベンだっけ?」
姫「そうね。父は違うけれど、ひとつ下の弟にあたるわ。上の兄には今年の新潟記念を制したマイネルファンロンもいる。ビッグレッドファームの中でもいまもっとも勢いのある一族と言えるんじゃないかしら」
ハヤタ「お姉さんやお兄さんは差し追い込みで大きなところを獲ったけど、この馬は先行して味があるタイプかなあ。種牡馬もそれぞれ違って、体型にも違いがあらわれてるように感じるよ」
姫「他の上位入線馬や人気馬はどうだった?」
ハヤタ「ミラキュラスライトは背中が短い瞬発力タイプだね。エイシンフラッシュ産駒らしく均整の取れた体型だし、筋肉にもなかなか繊細さを感じる。結構いいよ。セキテイオーは最後苦しくなったように、2000mでは少し距離が長い印象かな。お尻が大きくてスピードが勝ったタイプだから、マイルから1800mくらいがベストだと思う。キタサンドーシンはまだ少し線が細い印象。ブライドエールも体が大きくなってくるのが理想だよね」
姫「この時期まで待ってのデビューとはいえ、まだまだ成長待ちの馬も多いということね」

12/5阪神5R 芝1200m 1着:アルーリングウェイ
評価☆5.5

恵麻「アルーリングウェイはスタートダッシュも十分に速かったけど、途中から行く気を見せる馬もいたことから一旦控える形に。3、4コーナーで外に出して自然な流れで前に並びかけると、粘り込みを図る2着馬を残り50mでとらえてみせた。なかなか味のあるレース振りだったね」
姫「祖母アルーリングアクトは小倉2歳ステークスの覇者で、早い時期の短距離戦で活躍するイメージがある一族よね。ただこのアルーリングウェイの母アルーリングライフは年明けの3歳でデビューしてるわ。コツコツと勝ち星を重ね、引退直前の6歳時にも勝利を挙げて全4勝。父もジャスタウェイだし、血統的にはこの馬も息の長い活躍を期待できるわ」
ハヤタ「うん。血筋もあって筋肉にもなかなか繊細なところがあるよね。体型のバランスもいいし、いま阿久津さんが言ってくれたように、堅実に力をつけていってくれそうな感じがするよ」

12/5阪神6R ダ1800m 1着:エナハツホ
評価☆5

姫「エナハツホはスタートこそひと息だったものの、1コーナーまでに勢いがついて外から3番手へ。3コーナーからうながされて4コーナーで逃げ馬に並びかけると、残り200m付近で先頭を奪い、追ってきた2着のベイパーコーンも寄せつけなかった。ややちぐはぐなレース振りではあったけれど、スピード上位といった勝ちっぷりだったわね」
ハヤタ「ダート馬にしてはちょっと細身にも映ったけど、牝馬でとびーずこーナーの産駒だし、こんなものかな。ただ肩回りの筋肉は発達してるし、繋も短めだからダートをとらえて走る性能は持ち合わせているよね。湿ったダートでも良さそうだし、1400m、1700mくらいでスピードを生かす競馬でも良いんじゃないかな」
璃子「守備範囲が広いわけか。それは期待が持てるね」
ハヤタ「そういう意味では2着のベイパーコーンも同じだね。ダートなら1400mや1600mのほうがむしろ良さそうに見える体型だよ」
璃子「和田騎手がズブい面があるとコメントしてたけど、これが使いつつ解消してくれば勝ち負けに加われそうだね。叩き良化に期待だ」

12/5中京5R 芝2000m 1着:シェルビーズアイ
評価☆5.5

恵麻「中京の新馬戦は土日通じて芝2000m戦のこの1戦だけだったね。6頭立ての少頭数ながら、セレクトセール4億円超えのダノンマイソウルが注目を集めてたけど……」
ハヤタ「ここでは4着が精一杯だったね。500キロ超の大型馬ってこともあるけど、体型的にはマイルとか、あるいはダートのほうが合ってるんじゃないかな。体つきももうひと絞りできそう」
恵麻「成長待ちってことか。勝ったのはシェルビーズアイだったね。隣が馬が少しジャンプスタートになって接触されちゃったけど、大きな問題はなく馬群の後方を追走。直線に入っても手応え十分で、力強い伸びを見せて逃げたレッドモンレーヴをきっちりと差し切った。パドックの感触はこれがいちばんだったんだよね?」
ハヤタ「うん。全身運動でリズムよく歩けていたし、バネも感じた。背中が短めで瞬発力タイプだし、芝向きの体質だよね。仕上がりもよかったよ」
璃子「ダノンマイソウルもレッドモンレーヴも、まだ絞れる体つきってジャッジだったもんね。人気はこの2頭だったけど、仕上がりの面ではシェルビーズアイの勝機は大きかったわけだ」
ハヤタ「とはいえまだ走りに粗削りな面は見える。ただ若いうちはそういう面があったほうがいいし、これで走りが洗練されてくれば出世も見込めそうだよ」
璃子「あとは多頭数の競馬にどう対応するかだね」

12/5阪神1R 未勝利 ダ1400m 3着:シェンフォン

璃子「POG指名馬出走レースだね。シェンフォンが3戦目。3ヵ月の休み明けだった前走は13着の大敗に終わって、ここはダートに矛先を変えてきた。初勝利も期待できる1戦だったけど、力及ばず3着。スタートがひと息だったのが厳しかったかなぁ」
恵麻「ゲート内での駐立が悪くて重心が後ろにかかった状態でゲートが開いちゃったみたいだね。致命的な出遅れではなかったけど、ここまで先行できてた馬だけに厳しい展開にはなったかな。ただ、ダートの走りは悪くなかったんじゃない?」
ハヤタ「うん。キックバックを嫌がる様子もなかったし、フットワークも小さくなってなかった。上がり3ハロンのタイムを見ても、先着された馬とは位置取りの差だけだったと見ることができるよね。牝馬同士の未勝利クラスでは上位の力があると見てまちがいないんじゃないかな」
璃子「レース後も問題なく、中2週で同じ阪神ダート1400mに向かう予定みたいだね。この調子なら次は勝ち負けを期待できそうだし、馬券的にも勝負にいっていいんじゃないの、これ!?」
ハヤタ「次もゲート次第、メンバー次第にはなるから、そこはまあ慎重にね。あと、未成年は馬券を買わないように……」

12/5中山6R 1勝クラス ダ1200m 1着:メズメライザー

恵麻「日曜日の中山では1勝クラスの平場戦が組まれてたね。ダート1200m戦。ダート短距離の新馬戦や未勝利戦を勝ち上がってきたメンバーが顔をそろえて、当然先行争いも激しくなったけど、スッと二番手につけたメズメライザーが直線で抜け出して、迫ってきたアイヴォリードレスもしりぞけて1着。未勝利戦からの連勝で2勝目をあげたよ」
ハヤタ「腰骨が出っ張ったようなちょっと特殊な体型だけど、走りにロスはさほどないように見えた。ただ、やっぱり1200m以下の短いところがベストかな」
姫「父はディスクリートキャットで母父はパイロ。配合面から見てもダート短距離のイメージは強いわね」
ハヤタ「2着アイヴォリードレス、3着レッドゲイルもやっぱりダート短距離向きの体型で、平場の1勝クラスならすぐに結果がついてくるんじゃないかな」

12/4中山9R 葉牡丹賞 芝2000m 1着:ボーンディスウェイ(修正評価値☆5.5 7着:レッドランメルト 11着:ウン

恵麻「土曜日の中山でおこなわれた、1勝クラス特別戦の葉牡丹賞。15頭立てで6頭が単勝10倍を切る混戦メンバーのなか、4番人気のボーンディスウェイが逃げ切りを決めた。開幕週で内枠からマイペースに持ち込めたとはいえ、しぶとい粘りを見せたよね」
ハヤタ「背中が少し長めの体型で持続力があるよね。坂を苦にしないパワーもあるし、中山向きだよ」
璃子「ここを含めてデビューから4戦、2着、3着、1着、1着と堅実に走ってるね。それでいて人気は5番人気、3番人気、3番人気、4番人気。人気になりにくいタイプかな。先行してしぶとく中山が得意っていう特徴と合わせて覚えておくと、穴党はおいしい思いができるかも?」
姫「あと、POG指名馬が2頭出走してたわね。レッドランメルメとウン」
恵麻「レッドランメルトが7着、ウンが11着だね」
璃子「両馬ともチャンスのあるメンバー構成だとは思ったんだけどねえ」
ハヤタ「レッドランメルトは4コーナーで大外を回った分、最後は疲れちゃったかな。あと、馬体重のわりに細身のタイプで、現状は坂のないコースのほうがよさそう」
姫「直線の坂で脚が止まっていたしね」
ハヤタ「ウンも同じく、現状ではパワーが足りない感じがする。繋も長めでかなり長距離向きかもしれない。夏場の2600m戦とかでいいんじゃないかな」
璃子「函館か札幌か……。それじゃあPOGには間に合わないんだけど……まあ総帥の忘れ形見だし、温かい目で見守りたいよね」
恵麻「ただ、二頭とも勝ち馬とのタイム差は1秒以内。着順ほど負けてないし、敗因が展開やコース適性にあったと考えれば、次走以降の巻き返しも十分に期待できるってことは付け加えておくね」

12/5阪神9R さざんか賞 芝1200m 1着:アルトシュタット
修正評価☆5

姫「次は日曜阪神でおこなわれた1勝クラス特別戦、さざんか賞。ここも人気が割れる混戦メンバーだったわね」
璃子「こうなると不思議と『人気勢でも人気がないほう』が勝つもので、ここも5番人気のアルシュタットが制した。逃げ馬がペースを落として流れが落ち着く中、外から3番手に押し上げたアルトシュタットは直線の急坂でも踏ん張ってゴール前でぐいとクビ差抜け出した」
ハヤタ「お尻に幅がありつつ、関節が柔軟で大きく歩幅を取れてる。芝の短距離向きの体型だよ。1200mか1400mがベストだけど、1600mくらいまで対応できそうだよ」
璃子「混戦を制したことは価値があるし、オープンに上がってどこまでやれるか注目だね」

12/5中京9R こうやまき賞 芝1600m 1着:ソリタリオ
修正評価☆5.5

恵麻「日曜中京の2歳特別戦も1勝クラスだったね。芝1600mのこうやまき賞。ここは単勝1番人気のソリタリオが支持に応えた」
璃子「スタートは少し煽り気味になったみたいだけど、大きな影響はなかったみたいだね。前半は中団で脚を溜めると、800m過ぎからじわじわ動いていって、ゴールまでしっかり脚を使った感じ」
ハヤタ「末脚のキレはあまりないタイプだけど、福永騎手がその特徴を踏まえてうまくレースを運んだんじゃないかな」
璃子「2着に追い込んできたウナギノボリは大きく出遅れてたからね。ほかにもいろいろ問題はあったみたいだし、出遅れがなければ着順が替わってたとまでは言わないけど、ソリタリオとしては恵まれた面もあったと考えたほうがいいかもね」
恵麻「オープンクラスになるとキレ味自慢も多くなるだおるし、現状ではなかなか苦労しそうかなって心配はあるか」
ハヤタ「ただこの馬、ダート適性もそれなりにあると思うんだ」
璃子「なるほど。ゆくゆくは、『芝でキレ負けしてるからダート路線に活路を見いだします』ってパターンはあるのか」
ハヤタ「いまの馬体の感じでもダートの2勝クラスならメンバー次第で勝ち負けできそうだし、もちろんもっと成長してくればさらに上も目指せると思うよ」
璃子「ソリタリオはダートで狙う。これも覚えておきたいね」

阪神JF展望

璃子「さあお待たせしました! ここからは阪神ジュベナイルフィリーズの展望に入るよ」
姫「貼り付けたリンクはこのレースにおける出走全馬の評価値表よ。前走のパドック映像をもとに採点しているわ。新馬戦時とは評価値が替わってる場合もあるけど、そこは容赦してよね」
璃子「それで、どうなのよ、ハヤタ? 前走パドックを見くらべた段階で、どの馬が良さそう?」
ハヤタ「うーん……。人気サイドにはなるだろうけど、ステルナティーアウォーターナビレラサークルオブライフの3頭が中心になるんじゃないかな」
恵麻「まあたしかに、どれも実績馬だね。1頭ずつローテーションを振り返ろうか。まずはステルナティーアは8月の新潟マイル戦でデビュー勝ち。そこから2ヵ月間隔を空けて挑んだ前走のサウジアラビアRCではコマンドラインの2着に健闘した」
姫「デビュー戦では32秒7のキレ味で圧勝。前走も早めに動いたコマンドラインを捕えきれなかったとはいえ、33秒4の末脚を見せたわ。牡馬相手に引けを取らないレースを続けてるわよね」
ハヤタ「体質面、筋肉の質という面では、このメンバー中でいちばんだと思う。末脚は確実に筋肉の良さに由来してるし、今回も体調さえ問題なければ同じだけの脚を使えると思う。体型もマイルに特化していて、非力さも感じない。ただ結構曲飛だから、馬場が重くなって坂でパワーが必要になるとか、持続力が求められる馬場になると、最後に差し込まれるかもしれない」
璃子「とはいえ素直に考えればたしかに中心視すべき1頭だよね」
恵麻「実績面ではウォーターナビレラがいちばんかな。新馬、特別、そして前走のファンタジーSとデビューから3連勝。どれも逃げ、先行から押し切る鉄板のレース振りだよ」
ハヤタ「総合的な完成度は高いよね。どっしりとしてパワーを感じさせる馬体だし、坂やマイルはまったく問題なし」
姫「父は産駒成績も好調な新種牡馬シルバーステート。父の活躍を牽引してるのがこの馬よね。母父キングヘイローも今年のトレンドで、血統的な魅力は大きいわ」
璃子「前で立ち回れるのは大きな武器だよね。後ろがごちゃついたりすれば当然この馬のチャンスは大きくなるし、馬券的には外せないでしょう、これは。あとはまさに、別路線組との力関係か。3連勝とはいえ、どれも牝馬限定戦で接戦ってのは気になる。そういう意味では牡馬と戦ってきたステルナティーアのほうに魅力を感じるのはたしかかな」
恵麻「でも、勝ちっぷりの面ではサークルオブライフの前走もよかったよ。東京のアルテミスSで、1頭だけ目を見張るような末脚で差し切った」
姫「じつは前々走の未勝利戦もなかなかのものだったのよね。直線で抜け出してからの脚が速くて、あっというまに2馬身半差をつけた。ラスト1ハロンで上がり時計が早くなってるし、あきらかに余裕がある勝ちっぷりだった」
ハヤタ「エンジンがかかってからの脚が速いって感じだよね。体質も良いし、どんどん力をつけてる」
璃子「ただ逆にいえばエンジンのかかりが遅いってことだし、差し遅れる可能性も考えておかなきゃいけないんじゃないの? もちろんここでも突き抜けるポテンシャルは秘めてると思うから、シルシ的には単穴黒三角のイメージかな」
恵麻「まとめると、マイル適性の高さと素質ではステルナティーア、安定感ではウォータナビレラ、一発の魅力を秘めるサークルオブライフ、といったところかな。ほかはどうだろう? たとえばナムラクレアとか。小倉2歳S勝ちで、前走ファンタジーSでも2着に入ってる」
ハヤタ「マイルはこなす体型だよね。ただ前走を見ると平坦コースがベターかな」
璃子「実績的にも押さえには必要だろうね。あとは新馬と赤松賞を連勝したナミュールも注目されてる」
ハヤタ「脚が長い体型で、バネもかなりある。ただハービンジャー産駒でまだ関節に緩い面も見えて、GⅠでタフなレースになってどうなるかなって心配はある。ただ素質の高さは感じるし、これも一発タイプかな」
恵麻「ベルクレスタはアルテミスSの2着」
ハヤタ「正直、決め手では現状、有力馬に敵わないかも。ただ前走はまだ絞れる体つきで頑張ってたし、叩き良化があって、展開も味方にできれば好走も可能じゃないかな」
璃子「穴馬はいないかなあ、1頭か2頭」
ハヤタ「うーん……挙げるとしたらスタティスティックスパーソナルハイかな。筋肉の質は悪くない。中距離向きの体型なんだけど、ハイペースになってスタミナが問われる流れになればひょっとして、というのはあるよね。あとはパーソナルハイ。マイルをこなす体型で、前で粘ってチャンスを見いだせれば」
璃子「大外枠からどう動くかが鍵だけど、たしかに逃げ候補の1頭だもんね。以上ふまえると、シルシとしてはこうなるわけだ。
◎ステルナティーア
〇ウォーターナビレラ
▲サークルオブライフ
☆ナミュール
△ナムラクレア
△ベルクレスタ
△スタティスティックス
△パーソナルハイ
買い方はオッズ次第になるけども、勝ち馬は上位4頭から出てほしいよね。これでまるではずれたりしたら格好つかないし」
ハヤタ「さて、どうなることやら……」


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