見出し画像

不幸体質ってあるよね、人にも、馬にも――長柄高校馬事文化研究部活動記録㊶

璃子「今回からちょっとやり方を変えてみようと思います」
ハヤタ「おお……ずいぶん唐突だね。どんなふうに変えるの?」
璃子「週末のレースの展望を取り入れたいと思う。新馬戦も終わって、クラシック本番もいよいよ近づいてきたからね。これまでの分析もふまえたうえで、トライアルレースを中心にレース展望をやってみたいんだよね」
ハヤタ「なるほど。僕はこれまでどおり、馬体の面から出走馬を評価するってことでいいんだよね?」
璃子「うん、よろしく。もちろん注目馬や注目のレースについては回顧もやるし。あと、馬体評価表のフォーマットも恵麻に頼んでちょっと変えてもらったよ」
ハヤタ「ああ、体格、体型、体質の評価を、それぞれ直接入力する形にしたんだね」
璃子「そうそう。これを見れば、いわば将棋の棋譜みたいに、書面からそれぞれの馬体を頭の中で再現できるようになるかなって」
ハヤタ「それはそれで特殊な訓練が必要になってきそうだけど……僕的には便利になったよ。ありがとう」
璃子「礼なら恵麻に言ってやりな。それじゃあ、前半は先週の回顧、後半は週末のレース展望って流れで、いってみようか」

3/5阪神3R 未勝利 ダ1800m 1着:ロードアラビアン
評価☆6

璃子「それじゃあ注目の未勝利戦、1勝クラス戦の振り返りからいくよ。まずは土曜阪神3Rの未勝利戦からだね。ここは初出走の1頭、ロードアラビアンが既走馬をおさえてデビュー勝ちを決めた」
恵麻「レース振りがおちついていたよね。ゲートをスムーズに出て、特にうながされることもなくすっと2番手のポジション。変にかかったり、おっつけられることもなく、直線に向くとあっさりと抜け出して、最後まで脚色も衰えを見せず完勝」
璃子「いわゆるレースセンスが高いってやつだね」
ハヤタ「デビューが遅れた理由は分からないけど、無駄肉もなく、仕上がりは良かったよ。大柄で肩も寝たつくり。脚が長いし、ストライドを大きくとれる体型だよね。サトノアラジン産駒は筋肉量が多すぎる馬もいるんだけど、この馬はちょうどいいくらいかな。中距離型だし、距離は2000mに延びても問題ないと思う」
璃子「もちろんクラスが上がっても期待できるね。3歳1勝クラスは強い馬で渋滞しがちだけど、こういう馬は同世代で勝てなくても、古馬と混じる時期になってポンと勝てることがあるからね。その時期まで覚えておきたい」
姫「母系の目を向けると、母の父がサクラバクシンオー、母の母の父がウイニングチケット。ということは当然、マルゼンスキーの血も入っているわ。ウ〇娘勢のみなさんも応援しやすい馬じゃないかしら」
璃子「ぜひお見知りおきを」

3/5阪神5R 未勝利 芝1600m 1着:サンクフィーユ
評価☆6

姫「つぎは同じ土曜阪神の第5レース、芝1600mの未勝利戦よ。ここも初出走のサンクフィーユが勝利。中団から上がり3ハロン34秒1のメンバー最速の末脚を使って差し切ったわ。全体時計の1分33秒3も、同日のチューリップ賞と0秒1差しか違わない優秀なものよ」
璃子「直線で馬のあいだを割ってくる勝負根性も光ったよね」
ハヤタ「張りのある筋肉で、繋も長め。芝向きの瞬発力があるからこそスパッと切れたんだろうね。肩が立っていて胴も詰まり気味の体型だから距離が延びるのはどうかだけど、マイルまでなら切れ味を生かせそう」
姫「母は現役時クイーンSを制するなど牝馬重賞戦線で活躍したキャトルフィーユ。父もロードカナロアで、クラブゆかりの血統よね。当然、期待も高いはずよ」

3/6阪神9R アルメリア賞 芝1800m
1着:ピースオブエイト 修正評価☆6
2着:ジュンブロッサム 修正評価☆6

ハヤタ「このレースで1番人気を集めたのはジュンブロッサムだったけど、この馬、ちょっと変わった体型だね」
恵麻「と、いうと?」
ハヤタ「脚が長めで、極端なくらいに斜尻なんだよね。筋肉量も少なめだから、パッと見は痩せて見える。ワールドエース産駒は筋肉量が多くて脚も短めの体型の馬が多いから、こういうタイプはめずらしいよ。なんとなく、祖父であるディープインパクトが隔世遺伝してる感じがする」
恵麻「うん。母父クロフネの遺伝って感じでもないもんね」
ハヤタ「体型は見る人によって好みがわかれそうだけど、ただ筋肉の質はいいからレースでは走れてる。今回は直線で進路が内になって、狭いところを伸びてこなくちゃならなくなったのが痛かったかな。もっとのびのび走れてたら、筋肉の良さが活きたかも」
恵麻「逆に勝ったピースオブエイトは外を通ったことで誰にも邪魔されずに存分に末脚を使えたって感じだもんね」
ハヤタ「ピースオブエイトはジュンブロッサムとくらべるとずいぶん均整のとれた体型。ちょっと脚が短めだとか、筋肉量にしては骨の細さがあるとか、足りない部分もあるんだけど、胸は深めで心肺能力は高そうだし、全体的にパワフルな印象もある。ハイペースの消耗戦とかになると強いじゃないかな」
恵麻「重賞に入るとどうかというところはありそうだね。ただこれでデビューから2連勝だし、まだ底を見せてないともいえる。晩成のスクリーンヒーロー産駒だし、伸びしろに期待してもいいんじゃないかな」

3/5阪神11R チューリップ賞(GⅡ)芝1600m
1着:ナミュール 修正評価☆7.5
2着:ピンハイ 修正評価☆6.5
3着:サークルオブライフ 評価☆7

璃子「そして、いよいよ桜花賞、皐月賞に向けたトライアルレースが始まったね。まずは桜花賞の最重要トライアルといえるチューリップ賞から」
姫「勝ったのは横山武史騎手騎乗のナミュールよ。4着に敗れた前走、阪神JF以来3ヵ月ぶりの出走だったけれど、前走に続いてここも1番人気に推されていたわ」
璃子「その阪神JFは出遅れたうえに直線でも窮屈なところに入って伸び切れなかったんだよね。今回もスタートが課題と言われてたけど、ゲート練習の甲斐もあってほぼ五分のスタートを切れた。道中は中団で脚を溜め、直線では前がふさがって進路をなくしかけたものの、追い出しを待って外に持ち出されてから一気の加速で前を飲み込んだ。ここでは力が違うと言わんばかりの勝ちっぷりだったし、これは桜花賞の最有力候補に躍り出たね」
ハヤタ「そうだね。骨は案外しっかりしてし、トモの盛り上がりも目立っていて、430キロ台と小柄だけど坂を苦にしない。なにより筋肉の質が優秀で、やっぱりマイル戦の切れ味勝負ならこの世代屈指の実力の持ち主だと思う」
恵麻「なるほど。レース振りはまだ危なっかしいところもあるけど、武史騎手が継続騎乗で手の内に入れてくるなら、桜花賞もこの馬で決まりかな」
璃子「逆に疑うなら、やっぱり出遅れとか前が詰まるとか、なんかありそうって考え方になるかな。なんていうか、いるじゃん? そういう『不幸体質』みたいな馬って」
姫「不幸体質……まあ、なんとなくわかる気はするわ」
恵麻「あと桜花賞はともかく、オークスとなるとどうだろう?」
ハヤタ「体型的にはあまり距離は延びないほうがいいタイプに見えるけど……ただ能力の高さで補える面はあるかもしれない」
姫「本質的にはマイラーでも、同世代の牝馬同士で戦うオークスなら距離はしのげる、ってパターンもあるものね。血統的には父ハービンジャーはともかく、母父ダイワメジャーなのは距離の面では少し気がかりだけど……」
璃子「そう考えていくと、桜花賞、オークスでもいちおう穴の余地はまだ残されていると。たとえば今回2着のピンハイとかどうだろう?」
ハヤタ「これは最内から突っ込んできて、ちょっとびっくりしたよね。ただ、こられてみるとなるほどなぁと思うところはある。414キロの馬体なんだけど胸の深さがあるおかげか不思議と細くは見せないんだよね。皮膚も薄くて筋肉も良い意味で繊細。本番でも案外侮れないかも。いまさらだけど、フィリーズレビューかアネモネSに使ってたら勝ってたんじゃない? この馬」
姫「ミッキーアイル産駒だけにさすがにオークスはどうだろうという気がするけど、桜花賞なら穴候補になりうるかもしれないわね」
恵麻「あとは、3着のサークルオブライフはどうだった?」
ハヤタ「前哨戦としては力は出せたと思う。直線の脚に前走ほどの勢いがなかったのは、久々で少しチャカつき気味だったのが影響したのかもしれない。肩が寝て胴にも伸びがある体型だから、距離が延びても大丈夫なのはこの馬かなと思うけど」
璃子「そういう意味では、阪神JFの勝ち馬ではあるけど、むしろ桜花賞よりオークスで狙いたい馬かもしれないね」

3/6中山11R 弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)芝2000m
1着:アスクビクターモア 修正評価☆7
2着:ドウデュース 評価☆8
5着:インダストリア 評価☆6.5

恵麻「日曜の中山では皐月賞の前哨戦、弥生賞ディープインパクト記念がおこなわれたよ。本番と同じコースでおこなわれるレース……なんだけど、意外と結果は皐月賞に直結しないんだよね」
璃子「とはいえ昨年の勝ち馬タイトルホルダーは秋に菊花賞を制し、2着のシュネルマイスターもこのあとマイル路線に切り替えてNHKマイルカップを制覇。ワグネリアン(2018年2着)、マカヒキ(2016年1着)、ワンアンドオンリー(2014年2着)とのちのダービー馬がここで好走してる例もあるし、先々の活躍につながる1戦といえるよね」
姫「レース名にもなっているディープインパクトもこのレースの勝ち馬だものね。そして、今年の覇者となったのが、くしくも出走馬中唯一のディープインパクト産駒だったアスクビクターモア」
璃子「ここはさすがに2歳チャンプのドウデュースが勝つと思ってたんだけど、アスクビクターモアしてやったりだったねえ」
ハヤタ「470キロ台で体格は中型だね。そこまで目立つ見た目じゃないんだけど、関節がよく動くというか、パワーもあるんだけど軽やかなフットワークで駆ける馬。そのあたりが中山の芝中距離戦にぴったりはまるのかもしれない」
恵麻「これで未勝利、1勝クラス、そして弥生賞と、中山で3勝目だもんねえ。早くも中山巧者の風格がただよってる」
璃子「本番でもこの中山適性の高さは武器になるよ」
恵麻「明暗を分けたのは2着のドウデュースだね。4コーナーでは少し包まれるかたちになって、直線でも外から来た馬と接触。そこからよく差を詰めたけど、勝ち馬を捕えるには至らなかった」
ハヤタ「まだ余裕残しで『トライアル仕様』という感じの仕上がりではあったけど、全身運動ができて柔らかい動きで、あいかわらず馬体は良かったよ。肩が寝て胴が長くて飛節も伸びる。脚も長さがあるし、距離は2000m、2400mでも問題なさそう。この1戦で評価を下げる必要はまったくないと思うよ」
璃子「今回は不利も重なったわけだし、叩いて状態もアップするなら、本番での巻き返しは十分に期待できそうだね。あとはこいつも『不幸体質』を身につけてないことを祈るばかりだ」
姫「皐月賞以外の別路線にもつながるレースって話が最初に出たけど、そういう意味ではPOG指名馬のインダストリアは距離を試す意味での出走でもあったわね。ちょっと抑えがきかなかったみたいで、後方から進めて直線では大外に持ち出されて、5着まで」
璃子「今回のレース振りを見ると、むしろこれで安心してマイル路線に行けるなって感じだけど……」
ハヤタ「馬体を見ても、少し重心が低めで胴もやや詰まり気味だから、東京のマイル戦がいちばん力を出せる舞台じゃないかとは思う」
璃子「弥生賞5着からのマイルカップ制覇とか、めちゃくちゃありそうだけどなあ」
ハヤタ「筋肉がそこまで繊細じゃないから絶対とはいえないけど……夢は見させてほしいよね」

【展望】アネモネS 中山芝1600m

ウィズグレイス 評価☆6
ビジュノワール 評価☆6
リヴォリ 評価☆5.5

璃子「チューリップ賞と弥生賞はどちらも2歳チャンプが敗れる、ある意味では波乱の結果となった。その意味ではクラシック戦線もやや雲行きが怪しくなってきたともいえる。桜花賞トライアルのアネモネステークスはあまり本番にはつながらないレースとはいえ、ここもしっかり見ておきたいね」
恵麻「実績面から考えると、前走フェアリーSで3、4、5着のビジュノワール、フィールシンパシー、ブルトンクールの3頭が、素質を高く評価されているウィズグレイスを迎え撃つ構図かな。あとはマイル戦で勝ち鞍のあるリヴォリ、クロスマジェスティ、アンクロワ、オルコス、コントディヴェール、ラズベリームースあたりがどこまで絡んでくるか」
姫「まずはやはり、ウィズグレイスをしっかり見ておかなきゃいけないかしら」
ハヤタ「この馬は体格のわりに脚が長く、肩の角度からも距離は2000mまで十分にこなせる。俊敏な動きができて、マイルから中距離なら先手を取って勝負できるタイプだよね。ただ、ディープインパクト産駒とはいえ筋肉量の少なさと骨の細さがここでは気になる。軽い馬場、平坦馬場のほうがいい気がするし、中山コースがどう出るかだね」
璃子「1番人気に推された初戦は中山の稍重馬場で5着に敗れているからね。前走は牡馬の強い相手に負けたのは仕方ないとしても、たしかにコース適性は気になるところだ。今回も人気になりそうだけど、過信は禁物じゃないか」
恵麻「となると、フェアリーS組も有力になるね」
ハヤタ「3頭の中だと、やっぱり最先着してるビジュノワールの馬体がよく見えるかな。胸の深さがあって、440キロ弱の体格にしては小さく見せない。体型的にも首が短めで胴には適度な伸びがあるマイラー型で、条件は合っていそう」
璃子「あとは位置取りだよね。初戦は前々の競馬で勝ったけど、前走はスタート直後の不利もあって後方からの追い込みで3着。今回はどのあたりにつけるのか、読みにくい」
姫「それと、枠順よね。ウィズグレイスが13番枠、ビジュノワールが14番枠と、中山マイルでは不利とされる大外に入ってしまった。ここからどう立ち回るのか、前半の位置取りが鍵となりそうね」
恵麻「位置取りといえば、前に行く馬もちょっと読みにくいかも。近走で逃げ先行の馬も多いし、ウィズグレイスも先行タイプだし」
ハヤタ「逃げを打てれば、リヴォリあたりはおもしろいんじゃないかな。前脚が短くて、典型的な平尻の体型。いかにもダッシュをきかせて先行しそうなタイプだよね。前走はまだメリハリのない体つきに見えたし、2戦目でどんな体になっているかも興味がある」
姫「前走は新馬戦とはいえ同じ中山のマイルで0秒9差の圧勝だものね。栗東の名門藤原厩舎が2度続けて遠征してくるわけだし、たしかに枠順次第ではチャンスがあるかもしれないわね」
璃子「特殊な作りの中山マイルだけに適性面は重視したいところだよね。そういう意味では、人気になりそうなウィズグレイスよりも、この条件で勝ち鞍のあるビジュノワールやリヴォリに賭けてみたい」
恵麻「桜花賞出走権は2着までだし、結構激戦になるかもしれないね」

【展望】フィリーズレビュー(GⅡ)阪神芝1400m

◎ナムラクレア 評価☆6.5
〇アネゴハダ 評価☆6
△アドヴァイス 評価☆6
△キミワクイーン 評価☆6
△テイエムスパーダ 評価☆6
△ラブリネスオーバー 評価☆6
POGマイシンフォニー 評価☆6

璃子「続いてフィリーズレビューの展望に行ってみよう。阪神の芝1400mでおこなわれる桜花賞トライアルで、こちらは3着までに桜花賞の優先出走権が与えられるよ」
姫「本番よりも距離が200m短いこともあってスプリンター寄りの馬の活躍も目立ち、本番には直結しにくいとはいえるかしら。とはいえ2017年の2着馬レーヌミノルはここから桜花賞を制しているし、きちんと見ておく必要はあるわね」
ハヤタ「ちなみにレース名にも含まれてる『filly』っていうのは、特に4歳未満の若い雌馬を指す英単語。成馬の雌は『mare』って呼び分けられるよ」
恵麻「『ニューマーケットからきた男』ハヤタくんのプチ英語講座も入ったところで、注目の出走馬を見ていこうか。中心はやっぱり、阪神JF5着以来で実績ナンバーワンのナムラクレアになるかな?」
ハヤタ「そうだね。体型は均整がとれていて、1200mから1600mまでなら安定して力を出せそう。筋肉の質もやっぱり良いものをもっているし、力さえ出しきれれば当然ここは優勝の筆頭候補だと思う」
璃子「実績と実力は折り紙付き。となると問題は、仕上がりと展開か」
恵麻「追い切りは栗東坂路で4ハロン51秒3、ラスト1ハロンは11秒6。当然、本番も見据えての仕上げだろうけど、休み明けから格好はつけられると見ていいんじゃないかな」
姫「展開としては好位から中団につけて差し脚を伸ばすイメージね。今回と同じ条件でおこなわれた昨秋のファンタジーSでは4番手から立ち回って2着。変にごちゃつかなければ今回も差し込んでこられそうよね」
璃子「賞金的には余裕があるとはいえ、ここで良い競馬ができないようではGⅠでどうこうも言ってられないだろうからね。ここはきっちりと勝ってほしいところだよ」
姫「逆にほかの出走馬にとっては、桜花賞の出走権を狙う1戦になるわね」
恵麻「あるいはここが重賞制覇の千載一遇のチャンスと見て、全力投球してくる線も考えられる」
ハヤタ「そういう意味ではアネゴハダが面白いね」
璃子「前走は平場の1勝クラス戦とはいえ今回と同じ条件で勝ってるしね。直線では馬群を割って抜け出してくる根性も見せた。ごちゃつく展開になれば経験が活きそうだし、逆転候補の筆頭はこの馬かな」
恵麻「あと、私たちのPOG指名馬マイシンフォニーも出走してくるよ」
姫「これは桜花賞出走の権利を狙うタイプよね。前走で未勝利戦を勝ったばかりで、1勝クラスの身。ここは桜花賞出走に向けて最後のチャンスといえるわ」
璃子「そういう意味では勝ちを狙うというよりかは『権利取り』みたいなレースをする可能性はあるね。距離的にも前半は無理せず脚を溜めて、直線で脚を伸ばす感じになるんじゃないか」
ハヤタ「体型的にも脚が長めの作りで、本質的に1400mはちょっと忙しいイメージだしね。素質はここでも引けを取らないから、勝ち負けになってもおかしくないとは思うけど」
璃子「あと、距離やコースを考えると、やっぱり前に行く馬には警戒したいくない?」
ハヤタ「体型的には胴長で先行力がありそうなテイエムスパーダが先手を主張しそうな気がする。あとはアドヴァイスも肩が立った平尻気味の体型で、1400mで先行する競馬が合いそうだから、枠からも前につけて立ち回るんじゃないかな」
恵麻「ほかに気になる馬は?」
ハヤタ「そうだね……キミワクイーンなんかは胴が詰まって肩は立っているけど脚が長い、おもしろい体型の馬。1400mに特化したタイプだと思うから、怖さがあるよね。それとラブリネスオーバー。500キロを超す大型馬で、ダート戦でデビューしたけど、脚の長い体型や意外に繊細な筋肉を見ると、芝でもやれそう。距離はもっとあってもいいのかもしれないけど、今回どんな競馬をするのかちょっと見てみたい」
姫「実際、前走は芝で2着だしね。決してノーチャンスではないと思うわ」
璃子「ナムラクレアは人気だろうから、馬券はヒモにこういう馬を入れておくのもおもしろいかもね」
恵麻「あと、サブライムアンセムも注目を集めているけど」
ハヤタ「筋肉が強いよね。ただ繊細さには欠ける感じで、どちらかといえばパワータイプかな」
璃子「それとこの馬も結構『不幸体質』だと思うんだよね。ここまでのレースでは囲まれたりしてスムーズに進路をとれないシーンが目立つ」
恵麻「前走の未勝利戦もゴール前で内から寄られる不利を受けてたもんね。結局、斜行した1位入線馬が降着になって、この馬が繰り上がり1着になった。そういう意味では『ツイてる』けど……」
璃子「不幸体質といえば、デビューから3戦連続で不得意な重馬場に見舞われ、勝利を逃しつづけた我らがマイシンフォニーも負けちゃいないよ!」
姫「なんか不幸自慢大会みたいになってるじゃない……」
ハヤタ「まあ、競馬はいかに不利を受けずに走れるか、みたいなところもあるからねえ……」
璃子「そう、競馬は運のある馬が勝つ! 今週もそんなレースになりそうな気がするよ」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?