コミュニケーション作法不足がいじめをもたらす

abemaTVのニュース、abemaプライムで「いじめ相談」の特集を見た。

この特集の冒頭で、引用されていた漫画。
『家族全員でいじめと戦うということ』、ちょっと読んでみたが、ちょっと考えさせられる所があった。

togetterのまとめもあった。

詳細はリンク先の方で参照してもらうとして。私が考えさせられたのは、いじめがどうやって起こるかと言う所で。

ややネタバレになってしまうが。時系列で並べていくと。
1.気に入らない子がいて、その子を無視したり、いじめる。
2.いじめは良くないと、その子を仲間に入れようとしたり、話しかけると、いじめの標的がその子から自分に移る。
3.その過程は、まず2~3人の少数の子達から始まり、クラス内の他の子に根も葉もない悪い噂や悪口を言いふらす。
4.クラス内にその子に関わると、自分もいじめの対象になるという雰囲気が作られ。腫れ物に触るようになっていく。
5.そのうちクラス内にその子を無視したり、いじめたりするのが自然という空気が生まれる。
6.その子は先生や親には相談できず、そのままいじめが継続する

こんな感じか。
漫画では1年生から5年生まで続いていたのに、親も先生も気づかなかった。正確に言うと、先生達はそういう兆しがあるのは知っていたが、スルーしていた。

私が考えさせられたのは、上記の過程で言うと、3~4の所だ。
実はこのいじめには明らかな首謀者が存在しない。
首謀者と思われた子、実際はそうでなかったが、その取り巻きが忖度して、悪口や悪い噂をクラスにまき散らして、いじめの雰囲気を作り上げていたのだ。

いじめの雰囲気が作り出されると。
その子をいじめることを肯定するのが暗黙の了解になり、皆がいじめの共犯者になるので、いじめの首謀者がますます分からなくなるのだ。

実際、いじめられた子の両親が、その詳細をPTA会で冷静に話すという場面があるのだが。
その話を聞いた後、クラスの子は悪口や噂を安易に拡散しなくなり、それからいじめが起こることはなくなったらしい。

実はこの現象は大人の集団でもよく見られる気がする。
職場などでも、人が集まるとその場にいない人の噂話が始まることがしばしばある。
そこに悪評が混ざる。
ある日、噂にされた人が出勤すると何となく皆がよそよそしくなる。
その人に大切な情報を共有しなかったり、いじめとまではいかないにせろ、業務上の不具合が起こったりする。

そう考えると、結局はいじめとはコミュニケーション不全が原因ではないかと思う。
その人の前ではっきり言うと齟齬が生じる。
だから陰で噂を言って、それが拡散していじめになる。
日本の場合は特にはっきり意見を言う人は目立ってその対象になりやすい。

結局の所、意見をはっきり言いにくい雰囲気があるのは。
言われた人間が、自分を否定されたと感じるみたい雰囲気があるからだ。
つまり「言っている内容」よりも「言い方」や「ニュアンス」「感情のこめ方」、この辺りが重要だと思う。

実際上記の漫画でも、いじめられた子の父親がPTA会でいじめの現状を訴えて、それがなぜある程度受けいれられたかと言うと。
他の生徒をいじめの加害者として告発しようという態度でなく、ただ真実を知りたい、あったことを知ってもらいたいという態度で。かつ感情を交えず冷静に話したことが功を奏したのではないかと思う。

最近論破ブームみたいなことも起こっているが、それを機に話し合いの作法と言うものもカリキュラムに取り入れらるといいのではかと感じた。

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