見出し画像

そういえば3分間、死にかけた話

ノブです。
昨年の10月に星が綺麗で死にかけました。
2階の屋根から落ちたからです。

その時に感じたことは僕の生きてきた26年間で最も価値がある3分間だったと思います。

忘れたくても絶対に忘れられないので、逆に記録に残します。

どちらかというと感情的な経験の話です。

ー 

ぼくは山形でさくらんぼ農家やってまして、


山形の夜空は子供の頃にビー玉をばら撒いたときみたいに綺麗なんです。



星の瞬きを見ると宇宙の壮大さに対して

自分の悩みが小さく見えるからいいですよね。


なので、僕は晴れた夜空は屋根に登って上を見てます。

こんな雲が一つもない日はかなり寒く氷点下です。



窓を開けて、星が綺麗で、屋根に登って



滑る。



めっちゃ焦る

左足から前に右足も一緒に滑って、頭をおもいっきりめにぶつける。

後頭部に衝撃がくる。

痛みを感じるその前に、背中の感触で体がまるごと滑っていることが分かる。
その瞬間にマジでやばいことに気が付く。


本当にびっくりするくらい頭が回転する。

(ここのちょっと傾いた屋根は雪とかの滑り止めがついていない。だからこのまま落下する。下には色々と農家の機械が置いてある。危ないものがたくさんある。物干し竿とか尖ったものが多かったはず。絶対にやばい。)


こんな感じのセリフが頭の中で一瞬で感じます。



滑る途中で右手で屋根のへりみたいな希望のでっぱりをガッっと無理やり掴む。

しかし、
凍っていて滑る。希望は消える。背筋が凍る。



空中に体まるごとスッピョーンと飛び出る。

足から仰向けで飛び出る形で



何かに祈る。



頭は更にトップスピードにフル回転する。
(足から落ちているから、尖ったものは回避できるんじゃないか?硬いトラクターの後ろのぐるぐるするところがあっても足のクッションでなんとかできる。まだ大丈夫。希望はある。)

思いっきり蹴られた動物のような自分の叫び声で、希望は頭から消える。

「う’’あ’’!!」

かなり不気味な声で
自分でも聞いたことない声で。
ドッガンと何かとぶつかった鈍い音。


その音にすごく驚く

あごを思いっきりぶつけたようで、視界がピカッと真っ白に光る。

激痛、呼吸困難

もう頭はぜんぜんまわらない。


ここから貴重な感情が色々湧いてきまして、
価値ある死の3分間が始まりました。


まず、その時の状況ですが、後からわかったのが

落ちた場所は固定された四角い鉄パイプで大きさはふくらはぎぐらいの太さ。
当たった場所はあばら骨の一番下から上4本くらいの場所にかけて。

あごを強打したのはその衝撃でついでにガーンとぶつけたようです。

尖ったものが近くにやっぱりあって、右に50センチズレてたら胸に串刺しでした。何かへの祈りが効いたということで。


それで話を戻すと、呼吸ができなかったんです。

呼吸ってあなたの意志である程度操作できるじゃないですか。

深く吸ったり、浅く吸ったり。

できないんです。口に空気を含んでそれを吸う。
それくらいしか浅い呼吸しかできなくて、
吸うタイミングとか、何も呼吸に関して自分の意志で操縦できないんです。

心臓の鼓動を自分で操作できないのとちょうど同じように、自分の呼吸も操作できなかったんです。

これが、「分からない。」という本当の恐怖を感覚として胸がざわつくあの嫌な感覚をはっきり感じました。

呼吸ができないと苦しいんですよ。
あの苦しみはシンプルにつらかったです。

苦しみは感情として他のと比較したら弱い感情に感じました。

声も出せなくて、助けはよべなくて、なにより怖くて、
動くこともできない。

そして、真っ暗で。

恐怖でした。

そして、すぐに胸の辺りの全てが激痛になります。
声を上げたいほど激痛でしたが声も出せない地獄

更にこの時、僕が落ちたところは暗くて何か分からなかったんです。
なので、胸に尖ったものが刺さったかどうかも分からないんです。

痛みも最大の痛みが胸全部に広がっていて、頭も色々ぶつけて激痛、足にもなんか刺さってるし、腕とか膝も痛いし、痛みしかない状態でした。

痛みに関してですが、これは僕がすこし前に頭痛の時に瞑想していて気がついたことがあって、

痛みの感覚を逃げずに直視していると、痛みという感情と、体の部分の怪我は圧力の2つであると認識できるんです。

痛みと圧力に分離すると気がつくと、痛みが消えていくんです。
僕は痛い時はそのテクニックで痛み避けをしていたんです。

捻挫などの激痛でもできたので、この技も今回使ったんです。


全身全部が痛すぎて全然無理でした。なににも集中できませんでした。



それで、悟るんです。
これは死んだ。



本当に何もできることがなく死を知覚した絶望した感覚は、ゾッとするんです。


そして、呼吸ができない苦しみ地獄、
痛み。恐怖。絶望。


もっともっと、おもしろいのはここからです。
僕が知らなかった人間のヤバい本質が体験できました。




天使が降りてきたんです。


天使は頭の中にいたんですよ。


なぜかこの苦しみと痛みの中でこんな考えが思いついたんです。

「これは嘘だ。こんなことはありえない。これは夢なんだ。」

こんな漫画みたいなことが本当になって、
そう信じたくて、本気でそう信じ込んだんです。疑う余地はありませんでした。

だって無理もないです。それしかできなかったんです。
なぜ人がヤバい宗教にのめり込むのかが良くわかりました。

「これは夢だ。間違いない。そのとおりだ。」

そのとき、ほんっとうに幸せでした。
あの時の幸福感は私の人生の中でもっとも尊いもので、サウナでキマったときとはまた別のよさというか。

感謝だったんです。

覚えてるのは、
「今まで呼吸が吸えていたこと、色々辛いことはあったけど、すべてよかったんだ。」
「いままで生きてるだけで素晴らしいことなのになぜ感謝しなかったんだろうか。」
「私の今までのすべては感謝だった」

本当に幸せな時間でした。
変なこと言いますが、もう一度あのときの感覚が欲しいです。おかしいでしょうか
今はあの感覚はボヤけていて、もうただ生きていることに感謝できません。

天使を作り出した昔の人の気持ちが少しだけわかった気がします。
現実が絶望的で、捻じ曲げた真実しか逃げ場がなかったんですね。
仕方ない。


さて、天使の次は死神がやってきます。地獄の時間です。

先ほどの天使の時間は永遠に感じられましたが、実は数秒だったんじゃないかと思います。

だって、すぐに絶望的な痛みだけはより現実に引き戻してくれたんです。

今思えば私をより論理的にさせ、生かしてくれたのは死神でした。


死神「痛いだろう!苦しいだろう!お前は死ぬ!」

私「痛い、苦しい、死にたくない!死なない方法!生きる方法は!」


天使「感謝です。あなたは全てよかったのです。現実は嘘です。信じなさい」

私「はい。信じます。感謝。」



今考えれば天使は都合のいい嘘で現実的には私を殺そうとしていたし、
死神は現実を直視させ、恐怖や絶望で生かそうと全力でした。

今思えば死神感謝。
天使はまじこわい。


そして、頭はすこしづつ回りまして、なんとかなったのでダイジェスト

まず呼吸、ソーメン一本ひとすすりくらいの肺活量なのでとりあえず戻るまで一分くらい耐える。
これが最後のひと呼吸になるかもしれない恐怖感を噛み締める。
普通に戻らないので諦める。

このままだと寒くて凍死することは手足の凍えた感覚で分かる。
この呼吸だと気絶してもおかしくないと考える。
一刻も早く家にはいらなければならないと確信する。

腕だけは動いたので、這いつくばって近くの窓が開かないかを確かめる。
くっつき虫がいっぱい腕と足に突き刺さる。

ギリギリの体力で開けようとしても鍵がかかっていて絶望する。
死神がまた焦燥感で恐怖を煽ってくる。

違う窓を確認したら空いていて無理やり入る。
家の人が気がついて救急車を呼べたところで安心する。
死神は不敵な笑みで消える、痛みと苦しみだけになる。



感想なんですが、あの死ぬ感覚というのは私の価値観を大きく変えたものだったと思います。
死ぬ感覚から逆算できるからじゃないでしょうか


そういえば、

スティーブ・ジョブズが以前のスピーチでこんなことを言っていたのを思い出しました。

「私は死ぬということは便利な道具だと思っていました。あなたも古くなっていって新しい人と変わっていきます。死ぬことは生命の循環です。それが私が死に最も近づいた時にわかったことがあり今ならはっきり言えます。他人の考えに振り回されないでください。ドグマに捕われないでください。自分の心と直感に従う勇気を持ってください。あなたの心は本当はどうなりたいかを知っているのです。これ以外は二の次でいいのです。」


たしかに死に最も近づいた時、かなり本質的でした。
自分の人生を歩めていないことがよくわかりました。

私が欲しいものはみんなが欲しいと言っているから、
お金とか、高級な服、車、時計、家、物。そんな感じでした。
よく考えたら、もっても一度だって楽しかったことがないと気がつきました。

親が友達が会社の人がこうするのが普通だと言っているから、
器用にふるまったり、嫌すぎる仕事をしたり、誰かの言葉で喋ったり
よく考えたら一度だって自分の意志で選択してないと気がつきました。

自分の心と直感に従う勇気とは、死の逆算力

私の心が求めている本質は、もしかするとあなたの笑顔なのかもしれません。

人気記事 依存させてくるサイコパスの特徴 https://note.com/hiratagood/n/naf33536ef806 マウントしてくる人の特徴【対処法:褒めると簡単に落ちます。】 https://note.com/hiratagood/n/n5958d8604da5