景表法違反、有利誤認表示を理解するための教科書のような事例が2つ出たので解説する

最近の次男のマイブームは、ごはんを投げることです。
自分で食べる意思が素晴らしいです。スプーンも自分で持つそうです。
麦茶入りのオリジナルテイストを楽しみます。
ほぼ床とテーブルに落ちるので、毎度奴隷のように床を拭いています。
心に北島マヤを飼いならし、自分は奴隷と言い聞かせます。(ガラスの仮面)

手作りするのが馬鹿らしくなります。(大したものは作れないけど)
バナナ・おにぎり・豆腐・納豆オムレツの鉄板カルテットしか召し上がりません。添加物の話が頭をよぎります。

でも…そんなことより、綺麗にお腹いっぱい食べてほしいなー…

1歳半というかわいい盛りですが、同時にまだまだ動物らしく思い通りになんてなりません。

アンコントローラブルな1歳児とちがい、広告の内容はコントロール可能です。こと景表法においては「消費者に勘違いをおこさせないように」すればいいのです。

具体的な「勘違い」のうち、取引条件に対する勘違いをさせるような表示のことを「有利誤認表示」と言います。

お買い物が有利な条件でできちゃう!と誤認させるような広告(表示)
有利誤認表示と覚えてください。


なんだか前置きが長くなりましたが、今回のnoteは有利誤認についてです。直近で2つ措置命令が出ているので事例に沿って解説します。

有利誤認を理解するのにピッタリの、教科書のような事例です。
事業者には反省と再発防止に努めていただくとともに、広告規制を知りたい方にとって役に立つ事例になっていただきましょう。


サービス料がかかることを小さく表示


2023年6月27日に、㈱ドミノ・ピザジャパンに出た措置命令は大変シンプルです。リンクのリリース資料は店舗名・商品名を漏らさず書いた資料は214ページ。
消費者庁さん、いつもお疲れ様です。

どのような表示が有利誤認表示となったのか?

配っていたチラシが問題となりました。
お腹がすいている人は要注意、大変魅力的なチラシです。

 消費者庁資料別紙2より
別紙2より
別紙2より
別紙2より
このページに有料誤認表示が隠れています。


危うくピザを注文しかけます。どれもおいしそうです。
Mサイズを2つがいいかな〜クーポンもついている!!

で、このチラシの何が問題なの?

実はこのチラシを見て、商品を注文するとお支払いにはある料金が追加されます。

【サービス料】というものです。

そんなの、どこに書いているの??と思いますよね。
私も探しましたよ朝からwww

1番最後の写真の右下に、きちんと(?)書いてあります。

ここです
やっと発見


一体誰がこの表示を発見できるでしょう??あまりに小さい表示です。
最低限、注文する前に必ず認識できるようなサイズで、電話番号の下に書いてあるとよかったでしょう。

各ページの下に赤字なり、太字にしてわかりやすく書くとか。
もっと確実に誤認を防ぐなら、各商品代金の下に書いてあればサービス料もかかることを認識できると思います。

措置命令を受けたチラシは、まるで注文者にサービス料がかかるとは知られないように小さく表示していたように見えてしまいます。

商品代金だけかと思ったのに、サービス料もかかる
→サービス料のいらない有利な条件に見せて、実際は違う

これが問題となって、優良誤認表示として措置命令を受けたのです。
大変わかりやすい例です。


偽りのお得感


次は2023年6月23日に、富士通クライアントコンピューティング㈱に出された措置命令です。

ニュースから引用

対象になったのは富士通ブランドのノートパソコン「ライフブック」シリーズ15商品。同社は、自社サイトでウェブ価格を表記した上で、その価格よりも安いキャンペーン価格として販売。

しかし実際はウェブ価格で販売した実績はなく、不当な「二重価格表示」と認定された。一部商品では、期限内に購入した場合に限りさらに安い価格で購入できるかのような表示をしていたが、実際はその期限が過ぎても同じ価格で販売していた。

毎日新聞


二重価格


こちらのキーになるのは「二重価格」という表示です。二重価格は、2つの価格を比較してお得に見せることをいい、例えば


通常価格1,000円
本日限り800円!


のような表示が二重価格に当たります。

普段よりもお得に買えるとなれば、消費者に「今すぐ買おう!!」と思ってもらえますよね。そういった心理を利用して、二重価格を設定するのはよいのですが…比較対象となる価格が不正確な表示だと、一般消費者誤認を与え、不当表示に該当するおそれがあるので注意が必要です。


 (1)過去の販売価格との比較

過去の価格との比較と言ったら「バーゲンセール」を思い出してほしい!
例として、もともとは3,000円だったけど、1,500円!なんと半額に値下げします!!というオファー

このような表示をするときに注意したいのが、「実際に3,000円で販売していた実績があること

3,000円で売っていた事実もないのに、お得に見せたいがために価格を比較するのはおかしいですよね。

では具体的にどのくらいの期間、実際に販売していた実績が必要なのでしょうか??

条件が3つあります。

(a)  比較対照価格での販売合計期間がセールの各時点からさかのぼる8週間のうち過半を占めていること

(b)  比較対照価格での販売期間が通算2週間以上であること

(c)  二重価格表示の開始日が、比較対照価格で販売された最後の日から2週間以上経過していないこと

図を見るとわかりやすいです。

沖縄県版景品表示法ハンドブック「景品表示法、知っていますか? 事例でみる景品表示法」より


今回は通常価格での販売実績がなかった、ということです。
では、過去の価格としか比較することはできないのでしょうか?


そこは、想定内です。

 (2)未来の販売価格との比較

価格の比較は「将来」のものでも大丈夫です。
7月15日から値上げします!のようなオファーです。
開店セールとか、お試し価格のようなかたちで用いられます。

将来の価格との比較を行う場合のにも価格に十分な根拠があることが必要です。
仮に、将来の販売価格を示す場合に、それが実際に販売することのない価格であるときや、短期間販売したに過ぎないときなどは、根拠があるとは認められない可能性があります。


期間限定のウソ

今回の事例では、通常価格で販売された実績がないのに加え、キャンペーン期間後であってもセット内容や値段が変わらずに購入できました。

「買うなら今!」と思って買ったのにいつまでもセールだった…
もし今だけと言われなければ、もっと冷静に購入を検討できていたかも??

7月1日~7月31日までと書いてあったのに、8月になると8月1日~8月31日までにキャンペーン内容がHP上で変更されている…
このような場合にも有利誤認による処分が行われた事例があります。
有名な事例だとアディーレ法律事務所の件や、フィリップモリスの件

フィリップモリスは、その当時では課徴金額が最高額の決定だったので、それについても話題になりました。


有利誤認は他にもある

他にも、よくある表示としてメーカー小売希望価格のような表示がありますが、そのような価格がもともと設定されていないにも関わらず
「メーカー小売り希望価格の〇%オフ!」のような表示をしてしまうと不当表示の対象となる可能性があり

実際に2020年6月には、設定されていないメーカー小売希望価格を表示し商品を販売していた㈱サンドラッグへに対し、措置命令を行われました。


まとめ

優良誤認に比べ、有利誤認はやや複雑です。
サービスの形態はさまざまで、お得の見せ方にもいろいろな方法があるからです。
事例を追いながら少しずつ慣れていき、日常でも「これって有利誤認かも?」を見つけてみてください。特に有利誤認は“偽りのお得感”の話なので、一消費者として探してみると面白いかもしれません。

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ひらさこ


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