《仮事例解説》セールイベントの告知で【#PR】はいらないの?

薬事の疑問は、キリがありません。

バナー、記事LP、LP、メルマガ配信、同梱物などにおける
「薬機法に基づく広告表現」なんてほんの序の口。
商品開発、パッケージデザイン、ホームページのコラム・・・商品が登場する様々な場面で疑問が生じます。

「あれ?これでよかったんだっけ?」
『なんでこの広告はこの表現でOKなの?』

最近の話題で言えばステマに対する疑問が一番多いかもしれません。
消費者庁から出ている運用基準で明らかにされた事例については、セミナーやWeb記事でも既に取り上げられているので「もう知ってるよーーーー」という方も多いですよね。

ただ、運用基準に出てくる事例だけが全てではありません。
実際にまわりを見渡してみれば「これって広告?だとしたらステマ?」と疑問に思う機会は少なくないはずです。

年末に向けセールが盛り上がってくる季節です。
今回はこの時期にありそうなケースを仮に想定して「こういうケースはステマになるの?」かどうかを考えていきたいと思います。
PR表示を行うインフルエンサーや、PRを依頼する会社にも参考になるハズですので2分ちょっと、時間をください・・・!

この記事は、元化粧品メーカー広告・薬事チェック担当、薬機法専門行政書士によるステマ規制の解説です。



ステマ規制の対象は「商品」だけ?


A社から新商品●●のPRをインフルエンサー依頼し、SNS投稿を作成してもらうことは「事業者の表示」に該当するためPR表記(※)を要します。

※PR表記・・・広告、プロモーション、#PR、#ADなど広告であることを明瞭にする表示のこと

・化粧品会社A社の新商品の口紅●●
・スイーツ店A社の新商品のパフェ●●
・アパレル会社A社の新商品のコート●●

ステマは景表法上の規制なので、商品の分野は関係ありません。
美容でも、飲食でも、業界は関係なくステマはNGです。

サービスについては・・・?

これも同じく依頼に基づく投稿であれば、PR表記を要します。

ステルスマーケティングの運用基準によると

事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示を事業者の表示としています。

職務としての役務提供であるサービスも含まれるので以下のようなサービスについても、「案件」あれば#PRは必要です。

・美容室Aの新サービストリートメント●●
・足つぼサロンAの新サービス施術●●
・ホテルAの新宿泊プラン●●


では、セールイベントや物産展などのイベントに人を集客したい場合はどうなるでしょうか?

これについても事業者の表示に該当するのであれば、#PRは必要になると考えられます。セールイベントや物産展に集客することにより商品を購入したりすることに繋がるからです。

事業者の表示への該当性

事業者の表示に該当性を決めるときにポイントになるのは「表示内容の決定に関与したか?」という点です。


例えば、化粧品会社A社の新商品の口紅●●についてのSNS投稿であっても、投稿自体をお願いされた経緯もない、つけてほしいハッシュタグの指示もないような自由意志での投稿の場合には事業者が表示内容の決定に関与したとは言えません。(何等かの“圧”がある場合にも関与が認められることがあります)

一方で、やりとりの中で次のような指示があった上で投稿を行う場合には#PRが必要になります。

“保湿成分✕✕をたっぷり配合した新商品口紅●●について、〇月〇日~〇月〇日の間に、ハッシュタグ#~、#~、#~をつけてInstagramに投稿してください。”

A社が投稿内容について決定し、指示しています。
こういった場合には#PRを明瞭に表示する必要があります。
#PRが必要かどうかの判断をインフルエンサー自身がするときには、投稿内容に対する指示があったかどうかを目安にしてください。

《仮事例》ECモールにおけるセールイベントのPR


ここから、仮の事例について考えていきます。
あなたはTwitter(X)で美容系のおすすめ商品を紹介をするインフルエンサーです。

ある日DMでこんなメッセージが届きました。

(仮事例として作成しています)



はじめまして通販サイトZでございます。
今年最後のZセールが11/21~11/28で開催予定でございます。
(内密にお願いします。)
Zセールをより多くの方に知ってもらうために〇〇様のお力をお借りしたくご連絡しました。
お忙しいところ恐縮ですが、下記内容をご確認いただきまして、本件お受けいただける場合には、こちらのDMに返信いただけますか?
【詳細】
投稿期間:11/15~11/20
-投稿内容:Zセールで狙っているものや注目商品について
◎ご協力いただける方には、Zでのお買い物で使えるギフト券5,000円をプレゼントします。
【投稿時の必須内容】
・今年最後のZセールが
開催されるらしい
・セール期間中は通常価格の20%OFFのクーポンでお買い物ができる
ハッシュタグ
#Zセール #Z通販 #Zセール購入リスト


DMでは、特段PR表記の指示はありません。

しかし、投稿期間や投稿内容に指示があり事業者の表示に該当するものと思われます。このような場合には事業者側からの指定ハッシュタグに#PRが含まれていないものの投稿時にはPR表記をつけることをおすすめします。

PR表記をつける時の注意点は「わかりにくくしない」ことです。
例えばTwitter(X)上であれば、ツリーに#PRとつけるよりは、一番最初の投稿で#PRと表記していれば、PRであることがわかりやすくなります。


出店者が、セール時に安くなる商品をPRしたい場合

セールイベントを行うECモールではなく、モールに出店しているB社が、Zセール時に商品を半額にします!とPRしたい場合はどうでしょうか。

PRは必要?


投稿の内容として、Zセール期間だけ特別に人気商品✕✕を半額で販売することを必須で含めてほしいなど、インフルエンサーに指示がある場合には、#PRが必要となるでしょう。

法律上、ステマの責任の所在は表示を行わせる事業者にあります。
インフルエンサーが迷わず投稿しやすいようにPR表記の有無はあらかじめ伝えておくことが好ましいです。


最後に


実際に表示がステマに該当するかを決めるのは「消費者庁」です。
運用基準だけでは、ステマの境界は曖昧で「これはステマだ」と断定することはできません。

ステマかも?という疑いがある表示については消費者庁に報告することができるのでこちらのフォームを利用して情報提供することができます▼

ステルスマーケティングに関する景品表示法違反被疑情報提供フォーム


まだ法令が施行したばかりで捕まった事例も出ていませんし、闇雲に騒ぎ立てて名誉を傷つけてしまうことも怖いです。

消費者が購入の判断を冷静に行うことが大切なのと同時に、ステマの判断についても冷静に対処していきたいところです。

個人でも影響力を持ってする発信が容易になっているときだからこそ、自分に関連する法規制についてはしっかりおさえておきたいですね!

今後も美容・健康分野の広告に役立つ知識・情報を発信していきます。
もし参考になったら、♡でお知らせください・・・!
お問い合わせはこちらまでお願いします!

ひらさこ




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