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一片だけでも

ライターほど、暴力的な職業はないと思う。

ここでいうライターとは「(見聞きして)書く」仕事全般を指す言葉だと考えてほしい。世間では「聞き上手」がもてはやされている気がするが、「聞く」というのは一種の力の行使だ。「書く」ことを前提にしている場合、その暴力性は倍増する。ライターというのは、本質的に暴力的な仕事で、常にその暴力性を自覚しなければならない。これは、身の回りで起きた出来事を切り取って書くときだけでなく、合意して取材に応じてくれた相手について書くときも、全く同じことである。

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