『夜叉ケ池』観劇感想

パルコ劇場にて『夜叉ケ池』観劇。
特に推してる役者が出演しているわけではないが、泉鏡花が好きなのと、演出が森新太郎さんなのと、振付に森山開次さんということで、観に行きたいけどどうしようかなーと悩んでいた。
私だってたまには推し事以外の演目は観る。
で、あとでもう少し言及するけど、某クレカのチケットサイトで激安チケットが販売された(わりと早い段階だったよな💦)、この値段なら飛び付くわってくらいのお値段。
観客にとってはこんなラッキーなことはない。

で、特に強い思い入れは無かったものの、1ヶ月ぶりの観劇楽しみだなーと思って観たら、思いがけずめちゃ良かった。
こういう演目との出会いは縁であり、こういう何気なく観たものほど、いつまでも強い感動を持っていられる。
1回しか観ていないので細かくどこがどうという説明が難しいのだが、感動で泣くという体験をしてきた。
誰か1人の芝居が良いとかじゃなくて、舞台上で行われていることすべて―演者だけじゃなくて音とか光とか舞台セットとか―演劇を作り上げる調和に感動したのだった。
終幕して「良いもの観た!」って大興奮できるのは幸せなことだ。

あと再確認したのだけど、私は人間の体で表現される面白さが好きなのだ。だから、踊れないし、よくわかってもいないのだがダンス公演は好きなのだろう。
夜叉ケ池は森山開次さんが振付にはいっているだけあって、魑魅魍魎たちが元は何の生物か、その特徴をとらえた動きを役者さんが表現されていてそこもめちゃくちゃ面白かった。鯉は鯉だし、蟹は蟹、鯰は鯰、たぶん子どもが観てもすぐわかると思う。
これは開次さんが子ども向けの演目を作ったりしてるからかな。この方の生物の動きは何度か観ているが本当にすごい。
その振付を役者さん方が完コピしてるのよね。開次さんは出演されていないけど、めちゃ存在を感じたわ。

夜叉ケ池、言葉が古いから難しく思ってしまうかもしれないけど、話としてはそんなに難しくはない。
人間の愚かさから自然が暴れるってのは、今も昔もある話だと思うし。
これまたタイミングよく『神事』を行うために誰かを犠牲にするという、リアルに先日問題になったことと同じようなやり取りがあったわけですが(演劇って意図しないところで現実とリンクすることってありますよね、不思議)、人智の及ばないところに都合よく神様を祭り上げて、誰か一人を生け贄にってのはやっぱり不快だなって眉をひそめて観ていたのです。あー、人間って汚いわ~なんて。

ここからネタバレするので、観る予定の方は観終わってから読んでほしいのですが。

客観的な目線で客席に座っていた私なのですが、村が洪水に襲われて全て流されると同時に、客席も赤い布に被われて渦に巻き込まれたあと、布が取り払われたら舞台上には何もない空間が広がるって言う演出にビックリした。すごいなって思った。
これは劇場でないと体験できない感覚。
まさに"生"でしか味わえない感覚。
そして、舞台の上と下でわかれていると思っていたものが、自分たちも突然当事者になることを突きつけられた感じ。
なんかもう、ただただ「うわぁぁぁ、すごぉぉぉ!」となりまして。
チケット迷うなぁと思っていた過去の私を殴りにいきたい。

で、チケットを買う決め手になったのは何だったのかって話になるのですが、ぶっちゃけるとお値段です。
半額以下でした。そりゃ迷ってるものなら飛び付く。
どういうからくりでこんな値段で販売されるのかよくわかりませんが(だってこの時点で定価で売ってるサイトもある)、買う側の本音としたら安いに越したことはないし、安いのにめちゃくちゃ面白かったら、もう何も言うことはない。
赤字ですよね…おそらく…。
それでも空席はあったし。
でも、つまらないから空席というわけではないと思うんだけどな。
ほんと、あと公演期間数日ありますので、私は全力でおすすめしたいですよ。
でもねー、やっぱり一万円越えたら躊躇もする。それでも、最近のミュージカルの高さに比べたら安いという感覚になるのだけど。
色んなものが値上がりして経費がかかるのはわかるけど、だからといって観る側ももうホイホイお金出せない状況ではあるんだよなとも思う。
解決方法はわからないけど。
ただ1つ思うことがあって、この舞台はセットはかなりシンプルだったのです。言い方悪いけど経費かかってなさそう。
でもね、とても美しかった。
森さんの演出は光が綺麗だなと思うし。
もちろん、どの舞台もシンプルなセットでいいとは言い切れないけれど、お金をかけて豪華にすりゃいいって話でもなく、そこは最後はアイデアってやつだよなと思った。
そして、やはり演劇の原点って役者の体を使う表現力なんじゃないかとかも。小道具はたくさんなくても、それが見える演技をすればいいわけで。
(ただ裏方のお仕事もあるから、無くして良いものかっていうと複雑なのですけど。なんせ、うちの息子もジャンルは違うけどエンタメの裏方家業なもので)

いや、でも、演劇ってアイデア次第で良いものができるって確信できた二時間だった。
あと映像を使わなくても伝わるものは伝わるなとか。

なんか、時分はまとまりのない文章になっちゃったな💦
勢いで書くとこうなる😅




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