KAAT【星の王子さま サン=テグジュペリからの手紙】感想
11月14日、観賞。
すごい、の一言に尽きるのだが、それだとnoteに綴る意味が無くなってしまうので(笑)、なんとか感想を書き連ねたい。
プロしかいない舞台だった。
当たり前のようで当たり前じゃない、プロとはあまり呼びたくない舞台も昨今は多い(これについてはまたいつか…苦笑)
とんでもなくハイレベルなプロ集団が作り上げるものは、こうも素晴らしいのかと改めて思わされた。
演者だけでなく、音楽・美術・衣装、全てが何層にも重なって出来上がった舞台は、余分とも言える華美さはなくても素晴らしい。
あまりにも有名すぎる【星の王子さま】
言葉はほぼない、表現するのは体。
歌い手である坂本美雨さんでさえ、声という体をつかって表現されていた。
私は【星の王子さま】には特別な思い入れがあるので、鑑賞中に泣くだろうなぁと思って大きめのハンドタオルは持参していたのだが、最初の美雨さんの美しい声を聴いたとたんにウルッときてしまい、まさかのしょっぱなから泣くという事態になってしまった。
自分でもビックリだ(笑)
そのあと、舞台に集中したので涙は引っ込みましたけどね。
とにかく、舞台が美しい。
ページを捲るかのように進む物語。
あっちもこっちも観たいから、泣いてる暇なんてなかったのである。
細かい感想は自分のなかにあるのだが、あまりにすごいものを観ると語彙力が小学生以下になってしまうので、「森山開次さんの蛇がめっちゃ蛇だった」とか頭の悪そうなことしか書けなくなる。
って、ホントに蛇そのものだったんですよ!
森山開次さんは好きなダンサーさんの三本の指のなかに入る方なのですが、観る度になんでこんなに綺麗なんだろうと、これまた頭の悪そうな感想しかでないくらいに綺麗。
大きな動きはもちろんだが、ほんの少しの腕の動きが綺麗、静止画も綺麗、とにかく綺麗のオンパレードだ。
お金のことをいうのはいやらしいが、この美しさをなんと5900円で堪能しちゃえるんですよ。
某劇場の半分以下ですよ、なんてコスパのよい…。
薔薇を演じた酒井はなさんの足さばき見るだけで、チケット代の10倍の価値があるんじゃないかと思いました。なんてお得感。
王子さまを演じたアオイヤマダさんのキュートさと表現力の柔軟さにも圧倒されたし、小尻健太さんや島地保武さんのダンスに見惚れるし、他のダンサーさんたちの身体能力の高さにひえーってなったり、頭がパンクしそうな状態の二時間でした。
個人的な話になりますが、ここ最近なぜか"言葉がうるさい"という状況に陥りまして、テレビの情報番組はもう半年くらい一切見てなかったのですが、最近はとうとうドラマすら見られなくなってしまって、楽しみにしていた某ドラマでさえ録画したまま放置。
ツイ廃ぎみに呟いていたTwitterも、なんだか言葉を綴るの嫌だってなってしまい、読むのもしんどいってなってしまい、数日放置したりでした。
今日、舞台を観たあとに、なんで私は言葉がうるさいって思ったんだろうかとアイスクリームを食べながら考えてみたのですが、何となく言葉には"本物"と"偽物"があって、いまこの世は偽物の言葉で溢れていて、でもそれは上手く本物に擬態していて、でも私は何となくその金メッキが剥がれそうなそれらを見過ごすことができずに、いつも段差につまづいているような感覚に陥ってるのかもしれないなと思ったのでした。
あくまで私の感覚なのでただの思い過ごしかもしれません。でも、疲れてしまうのです。
言葉のない表現で感動できたことは、今の私にとっては心に水を差してもらい、潤った気がします。
私は本来は"言葉"というものは大事だし、伝えたいことはきちんと言葉にして伝えるべきだという考えであります。
しかし、改めて人間には"言葉にしなくても伝わること"はあるなとも思ったのです。
日本語には【以心伝心】という言葉があります。
また【拈華微笑】という禅語もあります。
人間はたまたま言葉というものを道具として持っているけれど、言葉にしなくても伝える、察知する能力は備わっているものなんだよな、と【星の王子さま】を観てつくづく思ったのでした。
ダンスというのは人間の究極の表現かもしれないとも。
星の王子さまは言います。
「大切なものは目には見えないんだ」
この意味を改めて考えながら、本を再読しようかと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?