フラワードラムソング 観劇感想③

少ない登場場面なから、とても気になる人物がチャオくん。
演じていらっしゃった砂川脩弥さんも全くの初めましてだったのだけど、お顔綺麗。
何より声!もうめちゃくちゃ好きな声質、話し方のトーンと間合いが私のきゅんポイントのど真中を突く。
そんなのもあって肩入れしたくなったのもあるかもだけど、チャオがどうにも不憫で(苦笑)

メイ・リーと同じ船でアメリカに来たチャオ。
まぁ明らかに密航です。
チャオに知り合いの伝があったのかなかったのかはわからないですが、何とか職を見つけて、フォーチュンクッキー工場で働きます。
このフォーチュンクッキーについても気になったので調べたところ、発祥は日本のお菓子(なんか中に紙が入ってるやつありますよね)だけど、そこからアメリカの中華料理店で料理の最後に会計票と一緒に差し出されているものらしいです。
我らがミスターリーも食事の最後に持ってきてましたね。

この記事を書くのに断っておきますが、私は"アメリカンドリーム"という言葉に懐疑的です、ぶっちゃけると嫌いです。
確かにあの国にはチャンスはあります、でもそのチャンスを掴むにはいくつものハードルを飛び越えて、最後にそびえ立つ壁を乗り越えないとつかめないくらいの大変さがあると思ってます。
それを掴もうとするバイタリティーの持ち主がリンダなんでしょうね。だから、観た人はリンダに牽かれるのだと思う。

で、このフォーチュンクッキーは中国本土にはそういう風習はないらしい。
アメリカで生れた文化。後付け文化。
飛躍して考えると、アメリカ人に東洋っぽさを楽しませるための小道具なんですよね。
フォーチュンクッキー工場のシーンもありますが、暗いです。
「きっとここが好きになる」と歌いながら、そこにいる人は陰鬱です。
ちなみにここの岡崎大樹さんの表情と芝居は必見です!

ターの元から飛び出したメイ・リーもチャンと一緒に働きます。
チャンは大人しそうな顔してわりと積極的なんだけど、「友達としてしか見てない」と言われちゃう、不憫~。
で、「そうだろうね。小作人の出の俺なんか君からは相手にされない」みたいなことを言うのですが、このわかりやすい当て馬感が、2番手男子マニアの私をきゅんきゅんさせる(笑)
メイ・リーがターを忘れるために、一緒に香港に行くと言われちゃうチャオ、これまた不憫。

香港行きの船に乗る前にメイ・リーからキスをせがまれるのにあたふたしちゃうとこも不憫。
でも簡単にキスをしないところが、チャオは中国人なんですよね。
そこへターがやってきて、メイ・リーは「やっぱりターが好き!」ってなるのが、王道少女漫画的恋物語なわけなんだけど、この王道を描くにはチャオという存在は必要なんですよ。
不憫のオンパレード。

チャオが別れ際に、メイ・リーに「このことは一生理解できないと思う」という。
私はこの言葉にすごく共感した。
夢を求めてきても、そこに馴染めなかった人はごまんといるわけで。
「中国人を中国人として扱わないこの国で生きていくのは間違ってる」みたいなことも言ってたと思うんだけど、これが移民の影の部分なんですよね。
フラワードラムソング、お花畑恋物語ではなく、ちゃんとチクッと暗の部分もあるのがいいな~と思ったのです。
その暗の部分を背負っているのがチャオ。

たまたま友人と一緒に観る日があって、チャオには幸せになってほしいけど、香港に着いても九竜城で、石井一孝さんそっくりの香港マフィアにいいように使われそうだよな~なんて話を勝手に作ってしまったのですが、ほんとチャオに幸せな未来がくるように祈りたい。

いやしかし、ほんと声がよい。
「悪く思わないで」の語尾感とか、淡々とした物言いがめっちゃ好みだ。
とりあえず、仮面ライダーゼロワン見ようかなという気持ちです(笑)

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