ダーウィン・ヤング 悪の起源

相変わらず体調はイマイチのまま。体が若干弱いのは昔からなので、いい感じに自分の体と付き合っていくしか仕方がない。
そんなわけなので、観に行く舞台は激減している。公演チェックをする回数もかなり減った。
そんな状況なのだが、観に行くものはちゃんと観に行ってる。チケットを取るか取らないかの決め手は【野性の勘】(笑)
これは観たいと思うものだけはちゃんと押さえるようにはしている。
ダーウィン・ヤングもその勘が働いて、迷わずにチケットは申し込んだ。そして、非常に面白かった。体調が良かったらリピートしていただろう。
韓国ミュージカルが元々好きな方であるし、演出が末満さんなのは大きかった。あらすじと末満さんの演出が合いそうだなといっても予感。
主役のダーウィンはWキャストだが、ここは迷わずに渡邉蒼くんのほうを選択。
ドラマやミュージカルfonsで実力は知ってるし、これからの期待値大。
他のキャストさんもかなり好きな方々が揃っていたので、間違いはないだろうと。
初見ものは、判断材が揃うか揃わないかだわねぇ。

で、このミュージカルはミュージカルとしてはめちゃくちゃ面白い。
これほどキャストが適材適所なのはけっこう珍しいのではないかと。まぁ、いつもミュージカルにはチラチラと見えてしまう大人の事情がある(苦笑)
もちろん、この舞台でも大人の事情はあるかもしれないけど、ほんとに役柄と役者の個性がピッタリ重なってるなと。
祖父ラナー(石川禅)、父ニース(矢崎広)、息子ダーウィン(渡邉蒼)、ここがもうめちゃくちゃ血の繋がりを感じさせる。

この舞台は事前に極力ネタバレ感想は拾わないほうがいいのだろうと思って踏まないように気を付けていたのだが、それでも目につく「禅さんが16歳」の文字。
観終わって納得の「禅さんが16歳」いやぁ、すごいわ~、歌と芝居でちゃんと年齢の演じわけがわかりやすい。
だからこそ、年齢を弄るようなやり取りがあったけど、あそこはいらないな~というのは個人の感想。
しかし、石川禅さんだとクリエじゃ足りない。クリエ狭いわ。
矢崎くんにたいしても同じ感想。
(ぴろし、未だに戦国鍋のイメージ持ってるの、なんかごめんねという気分になった。でもあの頃の可愛いぴろしが好きなんだよ。その可愛いぴろしは2幕で見れる)

ダーウィンと友達になるレオが内海くんだけど、そういやいくつになったの?と思って調べたら、まさかの28歳。いつの間にそんな大人になってたの…。でも、ちゃんと16歳だったし、何より内海くんの持つキラキラ感がレオという役にはまっていた。キラキラではあるけど、同級生たちより少し大人びたレオに、ダーウィンと同じくらいの年齢の役者をもってくるよりも良かったのかもしれない。
ダーウィンはイイコではあるのだけど、子どもであることを強調される。

レオのお父さんバズが植原卓也くんで、たっくんが子持ちの役と驚いたのだが、バズとしての見せ場は2幕の16歳の演技だな。
たっくんは明るそうに見えて影を持つ芝居がいいのよね~。
しかし、びっくりするほど足が長くてビビった。なんなのあのスタイルの良さ。
で、たっくんもレオのお父さんだけあってキラキラ感があるのだけど、ここの親子にキラキラ感を持たせるのはわかる。
バズ親子だけは過去の因縁をたちきれそうな親子だった。バズは育ちのせいで16歳の頃は歪みもあったのに、息子に対してそれを押し付けてない。ちゃんと父と子がそれぞれに独立できそうな予感がしたのに、結末はあれはない、酷い話だよ、まったく。

いろんなことの原因の中心人物のジェイが石井一彰さん。舞台で拝見するの久しぶりだと思って調べたら、私は5年前の宝塚BOYS以来らしい。ずっとまりこさんのお手伝いしてたから…。
1幕ずっと亡霊なんだけど、超不気味。絶対この世に未練残して死んで成仏できてないよね感がすごい。あの亡霊に取りつかれてるニースはきっと熟睡できる夜はないだろう。
2幕の回想シーンでは生きてる16歳なのだけど、16歳のもつ"正義"の芝居が上手いなぁと思った。あの正義は16歳だからこそだよな。

ストーリーについては一回の観劇では読み違えてそうだし、小説面白そうなので原作買って読んでる途中。
それぞれの登場人物の心情が細かく書いてあってなかなかおもしろい。
読み終わったら感想文書くかな。

韓国ミュージカルは好き嫌いが大きく分かれると思うけど、この物語はさらにだと思う。
なにせ、結末に救いが無さすぎるし、日本人的感覚で物語を眺めるとなかなか理解しがたい部分はあると思う。
これは文化と歴史の違いかな。
私は韓流ドラマの特に歴史物が好きなので、韓国の歴史においては身分は日本以上に根深い問題を孕むものではないかと理解している。
この物語でも第1階層から第9階層までわかれてる設定だし、日本でも江戸時代に士農工商のほかに更に下の層もあった訳なのだが、統治するものにとっては身分制度って都合が良いのだろうなと常々思っている。
韓国にも昔は奴婢という立場の人たちがいて、私が観たドラマではそれはもう酷い扱いをされている。そのあたりを理解したい方には、私の韓流スター最推しのチャン・ヒョクさん主演の『推奴』や『根の深い木』はめちゃくちゃおすすめする。
奴隷が両班(貴族)の身分を買って偽ったり、父の意思を継ぐ行動とか、韓国ドラマあるあるなのだなというのがわかりやすいです。
父を敬う気持ちは日本の比じゃないんですよね。祖先(血の繋がり)を大事にし、過去の意思を受け継ぐ慣習は、なかなか感覚として掴みづらいところはあると思う。
韓国ミュージカルだからこその結末なのが、ダーウィン・ヤングだなと。
日本人が似たような物語を書いたら、ダーウィンは踏みとどまるかもしれない。

先程もチラッと書いたけど、舞台を観る前に予習する派としない派はいる。私はどちらかというと予習する派なのだけど、たまに直感で「これはまっさらな状態で観るほうがいいな」と思う舞台もある。判断基準が自分の直感なので、明確に提示できないけど。
でも、ひとつボンヤリといえることは、歴史もの、特に実在の人物を扱っているものは最低限の知識は入れて観るかな。実際の人物をどうアレンジしてるのかが面白いかなと思うので。作品によって違う人物描写なこともあるので、ぶれない軸としての知識は入れときたい派。もちろん、歴史的評価も研究者によって違うんですけど。
完全オリジナルストーリーだと、あらすじ読むくらいで、自分の初日までは人の感想も極力読みたくない。人の感想を読むことで引っ張られてしまうこともあるし。好き嫌い、良し悪しを自分の眼と頭で判断したいしね。
だからと言って、SNSに感想書かないでとは言いませんが。

カメラ入ってたみたいだけど、円盤化するのか配信でもあるのか?


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