[ポエム] 真夏の太陽の下で

 「太陽」で思い出すのは、僕が20代前半の頃、青春18切符で一人旅をしたときの思い出。目的地も決めず、5日かけて、埼玉→仙台→山形→新潟→大阪→香川→岡山→山口→福岡と、鈍行だけを乗り継いで、福岡まで行ってしまった。

 特に印象深かったのは新潟を旅した時のこと。炎天下の下、自転車を借りて数時間乗り回した。とても楽しかった。ただ目の前がふらふらしながら、頭痛と疲労感が強くて、明らかに熱中症になっていたのも記憶に残っている。本当に脱水症状で入院しなかったのが不思議なくらい疲弊していた。でも、太陽の下、海沿いを自転車で走ると、心が洗われた。当時、大学ではあまりうまくいっていなくて、一人で旅をしながら、海を見るとちっぽけな自分の悩みが馬鹿げたものに思えてきて、心がすっきりしたのを覚えている。

 また、新潟駅前のファッション系ビルに行ったことも印象的だった。一人旅でなぜ大汗かいた後に、そんな場所に行ったのか今となってはなぞですが、日差しが強すぎたので休憩がてら中をふらふらと歩いていた気がする。そして、ウィンドウショッピングをする中で見つけた緑色のミリタリー系のモッズコートは僕の心にずきゅーんと来たものがあった。試着させてもらったらとても似合っていた。汗臭いのに試着させてくれてありがとう、店員さん。そして、店員さんからも"似合っている"と言われた。お世辞だと思うけど。ちょうど茶髪だったので、緑の服と色合い的に似合っていた。しかし、買う気満々だったものの買えなかった。なぜなら、手持ちのお金が足りず、しかもクレジットカードを自宅に置いてきてしまったのだ。本当にバカだ。一生の後悔である。この時、買えなかったのは未だに悔しい。

 しかし、なぜ一人旅をしたのだろう?昔のことなので記憶も曖昧だけど、多分、葛藤に悩んでいたのだと思う。なんとなく敷かれたレールに乗って大学院まで進学したものの、一向に働きたいとは思えなかった。スーツに身を包み、髪型をセットしたサラリーマンという種族に何の希望もなかった。「コンセンサス」「アグリー」「リスケ」そんな言葉を連発するビジネスパースンは心底怖かったしそうなりたいとも思えなかった。周りは喜んで会社員になるような人が多かったので、不思議だった。だからこんな自分はダメなんだと思ったりもした。そのまま進学して博士課程に行くという道もあったけど、研究は飽き飽きしていて、続けたいとは思わなかった。それよりはお金を稼いで自活したかった。でも、働きたいとは思わなかった。ビジネスパースンが怖いしなりたくない。そんな矛盾に駆られていた。

 そして結局就職してサラリーマンとして長い時間を過ごすことになる。新入社員の頃は、炎天下の下、大汗を書きながら戸建訪問して営業研修をしていた記憶がある。私は全然人の気持ちを汲める方ではなかったので、本当に苦労した。今でも嫌な記憶の一つだ。

 それから15年。当時の選択が正解だったのかよくわからない。今となっては、日常的に「コンセンサス」「アグリー」「リスケ」と連発している。我ながら何とも言えない気持ちになることもある。15年も働くと、働く技能は身に着いた。だけど私の自由意志やウィルがどこかに置いてきぼりになった気がする。そんな私は今年で2回目の成人式。改めて、太陽の下でバイクの教習を受けながら、されこれからどう生きようと考えながら、自分の意志を改めて探ろうとしている今日この頃です。

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