副露の技術

勉強会資料第三弾です。

今回いただいたリクエストは「鳴きのタイミング(打点意識)」とのこと。

いや、、、これね。すごく難しいんですよ。

鳴きって強者の間でもめちゃくちゃ意見が分かれます。シミュレーションをはじめとした研究である程度の指標がでてる牌姿であっても意見が割れたりするし、ルールや場況による影響もすごく大きいんです。

なので「リーチ判断」や「押し引き」以上にみんなが納得する正解を定めずらいテーマである、というのは意識してください。正解を丸暗記するというよりは、その都度考えて答えを出す力が重要、ということですね。

なんだか言い訳がましい出だしになりましたが、そういう前提のもと今回は、私の感覚、私の身の回りの強者の意見、そして統計やシミュレーション等による数値、全てがある程度合致する「これはセオリーとして覚えてしまってもいいだろう」という手牌を説明していこうと思います。

リクエストに「打点意識」とあるので、打点の話をするとまず重要なのはチーテンをとるのかメンゼンでの高打点を狙うのか、という話です。

まずこちらの牌姿をご覧ください。メンゼンでリャンメン引きのテンパイをすると「メンタンピン赤」で満貫が確定です。一方でチーテンをとると2000点。

この「チーテンをとると打点が(リーチ時の確定打点と比べて)1/4になる手牌はできる限りメンゼンテンパイを目指す」というのを1つの基準として覚えましょう。というのもこれくらいが、比較的よく目にする牌姿の中ではもっとも打点差が大きく、意見も割れにくい牌姿だからです。

また「できる限り」というのは具体的に何巡目か。

基本的には「捨牌3段目になったらどんな手牌でも鳴いてテンパイをとる」と覚えてしまいましょう。したがってこの手も3段目からはチーテンポンテンをとります。逆に10巡目くらいであればスルーして高打点を狙います。

って書くと13巡目は絶対にチーして、12巡目は絶対にスルーすると考えてしまう人がでてきちゃうんですよね。だからこういう基準を書くのって難しい。。。

もちろん、初心者の方は「とりあえず」そうやって打っていいんですよ。基準を作って自分のフォームを固めることは非常に重要です。けれど中級者以上の方ならその「ボーダーライン付近の数巡」っていうのは自分で場況を判断して調整しなきゃいけませんよね。

だいたい南家の12巡目と西家の12巡目じゃメンゼンの場合の残りのツモ回数が(他に副露がない場合)違うんですよ。それなのに「(南家でも西家でも)12巡目は絶対にスルーで13巡目は絶対にチーだ!」って根本的におかしいじゃないですか。そしてそれを言い出したら「今は13巡目だけど2つチーが入っていてツモ回数が1回多いから・・・」みたいな話になっちゃう。めっちゃ複雑ですよね。

だから基準は基準として覚えた上で「どのように考えて調節するか」が非常に重要です。例えばこちら。

場に切られている枚数を見ると

8m・・・3枚見え

5m・・・1枚見え

3p・・・3枚見え

6p・・・0枚見え

です。数牌というのは真ん中の牌ほど相手に使われやすいので、同じ枚数が見えている場合でも外側が残っている方が有利となります。逆に今回のように外側の牌がたくさん見えている場合実際の枚数以上に和了は厳しいと見るべきでしょう。

という前提をふまえて考えるとここで3pをスルーするとかなり和了率が下がるのは間違いありません。それでもここはスルーする!という強者がいてもおかしくないくらい、メンゼンリーチというのは価値のあるものですが、ひとまずこの場況ならチーをする方が局収支(この局の期待値)は高くなるでしょう。

今回はどうでしょうか。場に切られている枚数は多くありませんが、対面が2副露しています。

当然対面がテンパイしている確率は通常より高い。ということはすぐに対面が和了ってこの局が終わってしまう可能性も通常より高いということなので、7巡目だとしても実質終盤に近いと考えることができます。

それなら自分も急いでテンパイしなければ!ということで3pをチーする選択肢も生まれます。いわゆる「速度を合わせる仕掛け」というやつですね。

ただ、この場況ならまだ(少なくとも祝儀比率が2000点以下の東南戦ならば)スルーが良いでしょう。それくらいメンゼンリーチの価値は高いのです。

では次の問題はどうでしょうか。

前回と何が違うか、というとドラが3mになったことで自分の打点が鳴いて3900点になっています。

これならチーをする方が若干良さそうですね。

もちろんこの手牌でも通常ならばメンゼンリーチを目指したいのですが、リーチをした場合の打点はツモや裏がなければ8000点、乗っても12000点なので先ほどと比べて2倍3倍と違うわけではありません。

一方でチーをした場合の打点は2倍になっていますから、その差はかなり縮まっている。そこに対面の仕掛けという要素が合わさることでチー有利になるということです。

この前回の手牌と今回の手牌の差を理解するのは非常に重要です。

手作りというのは満貫以上は打点の上昇幅が途端に悪くなります。したがって鳴いた場合のテンパイ形が満貫に近づけば近づくほど、メンゼンリーチとの差が小さくなるので早い巡目から鳴きやすくなります。

今回は鳴いても満貫です。もちろん、メンゼンでテンパイをすればメンタンピンドラ3のハネマンになるのですが、それでも鳴いたテンパイと比べて1.5倍の打点しかありません。

そう考えるとメンゼンでテンパイする価値はそれほど大きくないので、最序盤以外はテンパイをとります。まずは「鳴いて満貫のテンパイはいつでも取る」と覚えてしまっても良いでしょう。

逆にこんな形で中が切られた場合。

数牌の部分がマンズは3メンチャン、ピンズはリャンメン+シャンポン受けと非常に良い形なので、中をスルーしてもテンパイはできそうです。

しかしテンパイしたところでリーチのみ。もちろん一発や裏ドラもあるので平均打点は鳴いた中のみよりはかなり高くなりますが、それでもせいぜい2倍ちょっとというところです。

なので今回もわざわざメンゼンテンパイを狙うメリットは薄いと見てポンテンをとります。

逆に147mをチーして中バックのテンパイをとるか、となると今度は打点の他にも最終形の良さ(アガリやすさ)という問題があるので、中盤まではスルーが良いでしょう。

このように「リーチ時の確定打点と、鳴いてテンパイしたときの打点に4倍の開きがあるならばできる限りメンゼンテンパイを狙う、2倍程度のときは取れるテンパイはとってしまう」というのが1つの基準になります。

もちろんその中間的な打点の牌姿や、場況等も絡めた問題になれば判断は非常に難しくなりますが、これだけでも意識しておくと、打点を意識した副露問題でそれほどひどいことにはならないと思います。



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