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密室トーク Vol.5

地理人(今和泉)からは、コミュニティハブの一環で、毎月密室トークイベントをお届けしています。
題して「好きで始めたこと、仕事にする?」

・話し手(聞き手)
丹治俊樹(「知の冒険」博物館ライター・日本再発掘ブロガー)
松澤茂信(合同会社別視点・マニアなツアー代表)
今和泉隆行(空想地図作家)

・日時
12月6日(水)19:30〜21:30

丹治さんは博物館…といっても、なかなか世間に知られていないものの魅力的な全国の博物館を回って取材し、自身のブログでレポートするとともに、本も出版されています( 世にも奇妙な博物館 https://miraipub.jp/books/13852/ ・世にも至宝な博物館 https://miraipub.jp/books/24981/ )。

小学生の頃からクワガタ採りをしていたようですが、これは近年まで続いていたそうです(とはいえ年1回、大人になると遠方に行ける)。その他、中高生時代はゲームセンターに通っていた以外は「大学4年まで特に話すことはない」と、案外薄めの学生時代を語ります。大学4年生(2011年)の3月で、東日本大震災が発生します。それまでニュースに関心はなかったものの、自宅の計画停電やアルバイト先での停電等、ニュースが自分の生活に初めて関わってくることで、世の中のことに興味を持たないとまずい、と思い始めます。

大学院に入ってから被災地にボランティアとして入り、自分の目で現場に赴くことの重要さを感じます。震災に限らず、世の中のことや昔のことに興味を持ち、調べるようにもなり、珍スポットに興味を持つのもこの頃。なお、大学院卒業後は就職しますが、いずれも自分の軸にはならず、生きがいとなる軸がない欠乏感を感じます。そこで、珍スポットを巡っていたことに気づき、2015年3月にブログを開設します。行った経験を溜めるのがもったいないので、記事を書き始めますが、ブログがあることで、休日に色々なところを巡るようになります。巡るだけだとおもしろみがないと思い、現地の人に話を聞くようになったようです。

巡っていたのは歓楽街から宗教施設等、なかなか日常生活では知ることのできないところ全般に及んでいましたが、テレビで博物館マニアとしての出演を打診されたことで博物館マニアとしての面が出つつありました。緊急ニュースで放送中止となり、出演は叶わなかったものの、かわりに出版の機会を得て、それを機にメディアに出る機会が増えてきます。こうして蓄積していたことが世に届き、やってきた甲斐があった……と、生きがい喪失問題を回収したことを実感します。

仕事をしながら博物館ライターをする現在の生活は、生きがいを得て理想的だと思う反面、時間を費やすことが多く、いつまで続けるか、という疑問が湧いているのも実情です。去年は金曜夜に出かけて日曜夜に帰って来るまで、博物館以外も含めると1回で5〜6箇所、1箇所でも開館から閉館までいることもある等、ハイペースで巡っていました。このように全力で巡れば生きる軸を保てますが、パワーセーブすると他の人に負けてしまう恐怖心もあり、一人でいる限りは全力で振り切るしかないと語ります。家庭を得て丸く収まる(家庭を生きる軸にする)か、得ずに振り切るかの二択で迷いがあるようです。

巡りはじめは全てが新鮮ですが、ジャンルも多いため簡単には飽きは来ません。1000くらい巡ってようやく既知のパターンを感じるようです。長い道のりながらその道のりを経た丹治さんは今後どのように生きていくのか、私も来場者も気になりつつ、閉会となりました。

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