汐ノ浜設定②/因習

⚠️「ユニットバスの人魚姫」「朝焼けとハミング」のネタバレや、作中では余白として残していた部分の解説を多く含みます。答え合わせがしたい方向けです。



『汐ノ浜町』ー日本の南に位置する小さな島。"人魚伝説"をはじめとする曰く付きの離島として知られており、美しい海に囲まれているのに何故か観光客含め外部から入ってくる者(物)が少なく閉鎖的な空気が充満している。

島について
・広さ…成人が1日かければ歩いて回れる程度。
・気候…亜熱帯に位置する常夏の島であり、夏〜秋にかけては嵐も多い。
・信仰…「母なる太陽」として、子を産んだ女性は神に近い存在とされる。また、その考えが根強いため、婚姻関係においては基本的に男性が女性の婿養子になる。

人魚と守人
人魚は、この島にかけられた"呪い"であり、祟り神の一種である。(※前記事を参照)
初代の人魚が殺されてからも島に災厄が続いた為、およそ百年に一度、人魚の呪いを受ける女性を島民から選ぶ。
そしてその人魚の渇きを満たすために、餌を運ぶ守人も選ばれている。

○人魚の条件
・子供のいない独身女性
・島で生まれ育っている
・美しい声と容姿に恵まれている

○呪い継承の儀式(=汐ノ祭、泡沫姫)
・シャーマンの一族が舞と呪い継承を担う
・赤い薬は、先代人魚の血と鱗、獣(オス)の血、酒、そしてシャーマンの祈りなど複雑な工程で作られる。
・表向きは美しい祭りでしかないが、人魚代替えの年においては祭り前日に呪い継承の儀式と先代の人魚の抹殺、そして最初の餌(生贄)の用意が必要となり、それらを担うのは島の若い男女と決まっている。

○守人の条件
・島で育った独身女性
・人魚に魅入られている
・孤独(穢れの仕事である為)

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『ユニットバスの人魚姫』解説

朝陽は島では"孤立"していた為、守人の条件を満たしていた。
また女尊男卑のこの島において、父子家庭の朝陽は『穢れ』でもあり、おまけに育児放棄をしていた朝陽の父親は島としても邪魔な存在だった。

人魚(月夜)の先代守人の死をきっかけに、守人は朝陽への継承。
孤立していた朝陽は事情を知らなかったが、人魚の歌声には『人を魅入らせる』力がある為、朝陽が人魚に狂おしいほどの恋に落ちることを島民たちは知っていた。

しかし、朝陽の異常性については、知る由もなかった。

本来であれば、人魚に餌を与えるのは数年に一度。
飢えを満たし過ぎると人魚が「呪い」から解き放たれてしまう為だ。(人魚本人が呪いから解放されても、初代人魚が島にかけた呪いが消えるわけではないので災厄が降る。島の平穏のため、島民たちは人魚に生贄を捧げ祀り続けるしかない。)

だが朝陽はおよそ半年で3人もの人間を人魚に与えて、呪いを部分的に解いてしまう。(ラストシーン)

※町の人たちへの事情聴取のシーンに違和感があったあなた!大正解!朝陽が目撃情報も無く犯行できたのは、島民たちの意志として守人の罪を隠蔽するため。


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「朝焼けとハミング」解説

○消えた人魚
朝陽の逮捕と、消えた人魚に島民たちは一度安堵した。呪いが解けたのだと思ったのだ。
しかし、ほどなくしてやはり島には災厄が降りかかるように。
男たちが不審な死を迎えたり、男児が生まれることが殆どなくなってしまった。

○月夜
お気付きの方も多いだろうが、月夜はユニットバスにて朝陽に守られていた先代の人魚。呪いが完全に解けていない為、足が悪い。

ちなみに月夜の記憶について、島民たちは曖昧であり彼女が人魚であったことは朝陽以外は知ることはない。
何故なら月夜は祟神として、島民の記憶を弄っているから。
みんなの朝陽に対する記憶をベースに、一部自分の存在として食い込ませている。
(ただし朝陽と交流が深かった美月の記憶だけは、上手く干渉できなかった。)

○泡沫姫と守人
そうは言っても、人魚になれるのは特別な条件を満たしていないといけない。
この島で生まれ育ち、美しい声を持つ未婚の綺麗な若い女。
そんな中帰ってきたのが、桃原美月だった。

島から出ていて何も知らない美月は、島民にのせられるままに泡沫姫として歌い、守人と契りをかわし、そして薬を飲む。人魚継承の完了である。

また、黎は祭事を司る血筋であるため、本来であれば守人には選ばれない。しかし、朝陽という「穢れ」がイレギュラーを生んでしまった事、そして何より黎自身が美月に元々魅入ってしまっていた事を理由に、自らの意思で守人を名乗り出た。

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あーーーーーなげぇ〜〜〜!!!!!
まだ続きます!!!!!

次回が最後!!!!!!!

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