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中学入試新傾向集中レッスン算数 ルール 図形(文英堂) ファーストインプレッション

新傾向とは?

中学入試の問題は常に進化している。それが長年見ていて楽しい。近年はその変化が顕著となった。要因は間違いなく大学入試改革の流れ。共通テストのサンプル問題が出た頃から少しずつその影響は中学入試問題に。どのような変化かを端的に表現するのならば「長文化」。読む文章量が増えるのも然ることながら、論理を追うのが大変な長文が増えている。

一方で今回の問題集に目を通し確信したのが、最難関校では「新傾向」と呼ばれる問題はかつてから出題されていたということ。時代の流れがそれに追いつき多くの学校で同様の問題が出題されるようになったのだ、ということ。以下に詳しく述べていく。

算数の新傾向分野

ルール

ルール・・・その場で考える問題
規則性・・・試行錯誤をして規則を見つけ出す
場合の数・・規則性とも絡んでくる

図形

移動・・・作図できるイメージ力
展開図・・展開図↔見取り図
切断・・・切り口を正確に把握するイメージ力
影・・・・立体を平面に

九州の最難関校のラ・サールと久留米附設、後半の出題は全てコレ。高いレベルで生徒の算数力を把握しようと思えば、自然とこうした出題になるということ。この問題集にもラ・サール(学校名書いてなかったけど場合の数でラ・サールのがあった)や久留米附設の問題が掲載されていた。

対象レベル

結論から述べれば合不合偏差値60近くの学校を第一志望とする生徒。70近い学校を目指すのには心もとない。冠講座などは同じ主旨でより多くのバリエーションを取り扱うのだと思う。

この図でいうところのまさに60で「通常テキストだけではやや足りない」の「足りない」を補うのが本書ということになる。通常テキストを完璧にした後、この問題集を通して解ければ、相当な力になると確信する。分野のセレクトなど含めて信頼できる。

55以下の学校でも同様の単元・内容の問題が出題されることもあると思うが、難度が低く既存の知識で解けたり、難しい場合は合否に影響しなかったり、ということが考えられる。実際にテキストに掲載されている中学校も多くが60以上の難関校という具合であった。

中学への算数

四谷偏差65以上の最難関を目指すならば間違いなく『中学への算数』。毎号30問近くがピックアップされるので、1冊の今回の問題集より圧倒的に網羅性が高い。新傾向で編集部が面白いと感じた問題がピックアップされているので最新の動向を押さえられている(という意味で個人的には「新傾向」とはあんまり思わなかった汗)。マニア向けでディープだと思うので取り扱いは注意。まずは塾などの課題をしっかりこなしましょう。
逆にそこまでは目指していないという人こそは、今回の問題集を買いましょう。

「中学への算数」と今回の問題集の対応表
ルール・・・11月号・12月号・1月号・2月号
図形・・・・6月号・8月号・10月号

新傾向(大学入試改革)を意識している学校の例

早稲田佐賀中。学校HPで入試問題が公開されています(問題のみ・答えなし)。算数のみならず、国語・理科・社会でも新傾向の出題が多数。独自の入試形態「新思考入試」もご覧いただきたい。本丸の早稲田大学でも同名の「新思考入試」(2024年度より名称変更)が行われていて、同様の新しい学力について学校側も問題意識を持っていることがうかがえる。

受験する学校の入試問題を眺め、テキストに載っている問題の延長線上か、あるいは違う傾向の問題が出題されているかを検証するのも重要。古すぎる過去問を解きまくるよりも、他校でも最新の入試傾向を把握した方が良い場合も。志望校の問題と見比べて判断を。

追伸

執筆協力者が元同僚でした。だからラ・サールも久留米附設も載ってたのか!塾を宣伝しておきます笑