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ラ・サール中2023(令和5年)国語・考察

合格者平均 62.5(61.1)
受験者平均 56.6(52.8)

ラ・サール中:国語の特徴

記述が多く長い

解答用紙を見れば一目瞭然。また、小問ごと配点は明らかにされていないけれど平均点情報や、学校説明会での「満点はいません、80点で相当優秀」という発言をふまえると記述の配点がかなり高いと思われる。ラ・サール中対策では記述対策が不可欠。

漢字の書き取りが20点分

漢字の書き取りが合計20問出題されるのも特徴。小学校で習う漢字の組み合わせによる熟語、漢字自体は知っていても熟語が難しいものばかり。学校説明会によると正答率は<46.8%→35%→57.4%→今年度は未発表>。学校側は難度を調整してきてはいるが今年もせいぜい正答率7割くらいの難度であった。満点はとれないけれど12点〜14点くらいはとりたい。

「小学校で習う漢字で書き取り」というのは公立高校入試の書き取りの出題の設定と同様。つまりはここで得点をあげようと考えると、公立高入試向けのテキストでの対策が必要になるが、正答率からしてそこまで無理する必要はないと思われる。学校側も推奨している通り、文章中に出てきた言葉を適宜、辞書を引くを繰り返すのが遠回りのようでいて近道。

難度分析と大雑把な解説

勝手な配点予測と推計で記号選択と漢字書き取りで55点分の出題、このうち確実に取りたいのが約40点(うち漢字14点/20問)。
残り記述式が45点分の配点、ここで20点取れると合格者平均というイメージ。

大問1:説明的文章(45点)

<辞書を引きたい言葉>
後世、建立、肝要、趣旨、回答(同音異義語も)、知識階級、帆柱、
非難(同音)、辛うじて、碑文、地続き、空振り、萎縮、盲信

問一 正誤問題
確実に合わせたい、おそらく各1点で5点満点

問二 記述(100字)
算数でも「比」が大事だが、国語でも「比」が大事という話をよくする。国語では「対比」がその一つ。背景を説明させる問題で100字。傍線部より後に理由が書かれている。村の幹部が命を落としたことにフォーカスしてしまいがちだが、民間伝承を信じて逃げた村民についても「対比」で記述することが高得点のポイントか。

問四 記述(75字)
予報が外れても責めない、という市民側の記述のみで終える解答が多そう。ここも対比で「行政や専門家」のリスクマネジメントに言及できると高得点に繋がる。専門家もめげずに発信することが大事、という内容を盛り込む。

問六 記述(40字)
文字数が短いので端的に。『オオカミ少年』扱いとは。まず童話を知らないと話にならない。「オオカミが来るぞ」といたずらしてたら誰も信用しなくなったというお話で、ここでは「噴火が来るぞ」に相当、と考えていくとそこまで難しくはない。

大問2:物語文(40点)

(辞書を引きたい言葉)
劣等生、実践(同音)、行状、普請(安普請という言葉も)、鍛冶屋、
一心不乱、弊害、平等主義、自伝

問一 ことば・慣用句の意味
おそらく2点×4問=8点配点。漢字と合わせると実に3割が言葉関連。漢字の学習が大事なのはもちろんのこと、やはり課題文中の言葉を丁寧に辞書を引く勉強が重要。なんとなくで大量に読むより、一つひとつを正確に精緻に読む勉強法が適。

問二 記述(一行)
傍線部直後に「小学校への通学も危ういものだった」とあるので、幼稚園の通園が危うかったことを書けば良い。確実に押さえたい。

問三 記号選択
難度高い。傍線部の二行後に母が涙を流した理由を著者が想像している。この文を踏まえると絞り込みやすい。イとウで迷う?

問五 記述(100字)
著者の心情を答えるが「感謝」は多くの生徒が分かると思う。「あなたのおかげ」は皮肉ではなく本心で感謝している一文。作家としての現在の自分があるのは先生のおかげということはみんな書けると思う。ここも「劣等生であった自分」と「現在は立派な作家である自分」を対比させて書けると高得点。

大問3:漢字書き取り(15点)

難度が高いと思われる漢字
①ハントを広げようとした
⑮キウ壮大
これらは私も書けませんでした。。。正答率もかなり低いと思われる。

ラ・サール中の国語対策法

辞書を引く

学校の先生が推奨しているので間違いなし。テキストや過去問で読んだ文章で意味が分からないかも?という言葉をしっかり辞書引き。小5以降、遅くとも受験学年からは、小学生向けの国語辞典ではなく、中学生向けの国語辞典が良いでしょう。

記述問題は採点基準を意識する

理想的なのは添削ですが、答案を書き添削された解答や模範解答を見る学習では、自分の答案と完成形に飛躍があり、かなり気が利いた生徒でないと復習にならないと思います。算数で即解答を見る勉強に近いので。

意識するべきは採点基準。自分の答案が何故減点されたのか、どの要素で点数がもらえたのかを吟味することが記述力向上に繋がります。10点のうち5点ということであれば、大きく要素は2つあり片方しか書けていないのだな、10点中3点であれば、要素は3つでそのうちの1つしか書けていないのだな、みたいなことです。なぜその要素を書かなかったのか、書けなかったのかが学びのポイント。

練習を積むことで、この解答欄の広さならばポイントを3つくらい盛り込むわけか、ならばこれとこれとこれだなというような思考が展開できるようになっていきます。問題作成者、採点者の視点を持ち俯瞰できるようになると国語が足を引っ張るようなことはないでしょう。この到達点をイメージしながら、日々の教材を愚直に辞書を引きながら解いていけば大丈夫です。

おすすめ教材

中学受験合格する国語の授業〜説明文・論説文入門編
中学受験合格する国語の授業〜物語文入門編
中学受験合格する国語の授業〜説明文・論説文得点アップよく出るテーマ編
中学受験合格する国語の授業〜物語文よく出る感情語&パターン編

この本が出るまでの、国語の過去問演習の際。「この説明文は現代の便利な生活と昔の不便な生活と、人の気持ちのあり方についての対比」「主人公が本当の気持ちとは裏腹に友達に悪態をついてしまった話」のように、生徒にも要するにどういう話?というのをチェックしていて、問われる問題の構造は似通っているということを演習を重ねることで意識させていた。特に説明文はとにかく二項対立が多いから赤チームと青チームに文章を分け、問題でも赤について聞いてる?青についての説明?てな具合でヒントを出していた。この本が出て、体系的に網羅的に説明ができるようになった、私が。

また後半の2冊は受験直前期に持ってこい。直前期にたくさんの演習を重ねるのはあまり得策ではなく。過去問の出来・不出来ではなく、テーマのバリエーションを増やすという意味で問題文を読み物として読み、何について書かれたものかを生徒に把握させるという作業をさせていたけれど、効率よく出題パターンを網羅するのに、凄まじく有益な2冊。

漢字についてはとりあえず「四科のまとめ」推奨。ただ、四科のまとめ掲載の熟語もかなり多いのでこれを淡々とこなすより、文章中から辞書引きの方が、大変だけど印象にも残って自分の語彙になるような気がしています。究極の理想形はこの辞書引きによるオリジナル「言葉ノート」作り。