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生きていく為の媒介者

 少女は花。もうすぐ蕾が開きます。まだこの世に完全に生まれでていません。一方で生まれる前の世界に籠もっているのでもありません。ちょうどその中間の場所に少女は居るのです。生まれたい、でも生まれたくもない。こんなに心地の良い場所から出るなんて嫌だ。外の世界の危うさに怯えながらここに居続ける少女。ずっと夢の中。まどろんでいる。
 少女は媒介者です。周りに舞う虫たちポリネーター(送粉者)と同じように夢と現実を結ぶもの。この狭間の地で巫女を司っています。虫たちが受粉を手助けするようにこの世界とあちらの世界を結びつけることで新たな生命の誕生を促しているのです。

 ハエとアブが絵の中にいます。彼らは送粉者と呼ばれるように花に食事や出会いを求めて飛来し花粉を体につけて、離れた場所にある花の雌しべへと運ぶのです。この行動によって花は受粉し新たな生命の誕生を促します。そんな媒介者の役割を自身の作品のテーマであるこの世界と別の世界を繋ぐ媒介者である少女と重ねています。
 赤い花はなぜ赤いのか、白い花はなぜ白いのか?
 花にはいろいろな形があり、上を向く花、下を向く花があるのはなぜか?
 よい香りのある花があれば悪臭を放つ花があるのはなぜか?
それは送粉者となる動植物を花自身に引き寄せるためです。植物は生存競争を生き延び、遺伝的な多様性を獲得するための戦略として様々な形態や特性をもっているのです。花は花単独の世界ではそう長くは続く種とはなり得ないでしょう。他の動植物も同様です。すべてが関わり合って種は生存しています。
 その事を踏まえて幸せで穏やかな場所とはどんな場所だろうと考えて描いています。そしてそれ以上にこの現実の人間本位な世界に嫌気が差すのです。ここではない何処か、楽園のような場所はどこにあるのでしょうか。

生きていく為の媒介者 (岐_a_生命の蕾)
サイズ:4P(333*220mm)
技法:パネルに油彩
価格:154,000円(税込み)

この作品は下記の展示にてご覧いただけます。

個展「静隠の大祝 〜眠る森の聖域にて〜」
2024.4.10(水)ー4.27(土)
11:00~19:00 
日・月休廊 
Gallery MUMON 
〒104-0061東京都中央区銀座4-13-3(入口は歌舞伎座側)
https://mumon.artcafe.co.jp/exhibition/upcomig/

絵の販売方法などの詳細は画廊ホームページよりご確認ください。

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