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日記 ウィチタラインマンなど

6月某日
西やんこと西海孝さんとのユニット、How How noーTei(ほうほうのてい)のデビューライブ@ラウン(下北沢)。
フォスターやハンクウィリアムスなどの古典、西やんがギターを譲り受けた小坂忠さんの曲、それぞれのオリジナル曲、などなど。
西やんは歌がうまいんです。何かにつけて歌と手拍子が飛び出す環境に育ったのです。虫や鳥の声を真似ると向こうが本物と勘違いして返してくる。体が柔らかくて運動神経が発達しているのでインチキなダンスもうまい。その延長で?ギターもうまい。ドラムを選んでいたら、きっとトップドラマー。元々はバンジョー弾きなのにギターを弾いてる時間の方がたぶん長い。そのバンジョーが炸裂する珍しいシーンを久々に見た。彼こそ音楽の妖精です。

How How no-Teiは歌うユニット

ジミーウエッブの「ウィチタラインマン」はクスノキス流と正統派西海流をつないでみた。クスノキス流は20年以上前にやっていた誤訳詞とアレンジ。
その後、古いキューバの音楽を耳にして発想が同じじゃないかと思った。音楽を自分の側に引き寄せたつもりが、逆に大きな波に自分が巻き込まれている?インチキな自分も何かにつながっている? 勘違い、だとしても嬉しい。

「ウィチタラインマン」は1967年にグレン・キャンベルがヒットさせたはずだけど、当時ボクはまだポップスに目覚めていなかった。なのでこの曲はサミーデイビスJr.のアルバム「At Motown」(1970年)で知った。この人がウィスキーのCMで有名になる前のこと。
モータウンのことなんて知らなかったし(ジャクソン5は知っていたけど)、ラスベガスのエンターテイナーがモータウンのリズムセクションをバックに歌うことがどういうインパクト(違和感)を持ってたかなんて知るわけがなかった。
15年前に実家を処分した時に、トムジョーンズや尾崎紀世彦や、あまり思い入れのないロックのレコードと一緒に捨てた。最果ての田舎なので取りに来てくれる業者もなく。つい最近、兄にあのレコードどうした?と訊かれて、「あ、捨てた」と答えてから急に惜しくなった。
そう言えば、兄が中学の時に友だちが転校することになって、彼は仲の良かった兄に洋楽ポップスのシングル盤をごっそり預けていった。シングル盤って、今売ったら値がついたんじゃないかな。惜しまれる。さもしい。そう言えば、あの頃兄から守銭奴と呼ばれて、ボクはそれを名誉の称号のように喜んでいた。

ついでだけど、「it's a man's man's world」を知ったのはトムジョーンズの見捨てたアルバムで。ライナーノーツに「オリジナルのジェイムズブラウンより黒っぽい」と書いてあって、それでJBの名前を知った。「へぇーそうなのか」なんて感心したけど、大人になってオリジナルを聴いてそのカッコよさに腰を抜かした。オリジナルじゃないインチキを子供の頃に聴いてきた経験が、今に至るインチキな勘違いにつながってしまったのか。(トム・ジョーンズの過剰な表現スタイルそのものは個性的で面白いです。JBをカバーしたのはマチガイだったというだけ)
それにしても、今こうして思い返すと、当時の音楽ライターのインチキさも相当なものでしたね。

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