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データで見る南九州市議会議員選挙2023

 2023年に行われた南九州市議会議員選挙。データをもとに振り返ります。自分の振り返りと、少しでも皆様に興味を持って頂きたいとの思いで、記します。
  
 ちなみに、前回選挙の時もやっていて、あわせてこちらもご覧いただけると嬉しいです。


0.選挙結果と投票率

    
 定数18名に対して21名が立候補した今回の選挙。結果は以下の通りとなりました。
  

 投票率は60.53%と、前回選挙56.57%より約4%上昇しました。後に記すように、この上昇には3つの要因が考えられます。

1.市長選効果


 投票率上昇の要因1つ目は、市長選効果です。
  
 下に示すのが、前回選挙と今回選挙の、投票区別投票率の推移です。

 上表のうち、黄色の部分をご覧ください。
  
 当選された塗木候補の出身地である浮辺(13)と隣接する中福良(14)で高い投票率上昇が確認できます。また、惜しくも敗れた西候補の出身地である川辺小校区(16,17)でも高い投票率上昇が確認できます。
  
 これらより、自分の出身地から市長選候補者が出たことにより投票に行く人が増えたことが推察されます。

2.新人候補効果

   
 投票率上昇2つ目の要因は、新人候補効果です。

 先ほどと同じ表ですが、赤色の部分をご覧ください。
  
 知覧小学校区(8,9)では現職2名の議員に加えて、新人の候補を加えて3名の候補者が出ました。やはり投票率は高い伸びを記録しています。
  
 また、今回選挙一番のサプライズと言ってよいのが高田地区(18)。高田地区にはこれまで議員がいませんでした。
  
 そして今回、高田地区から新人候補が出た結果、投票率が20.51%もの高い伸びを記録しています。
  
 これらは、自分の出身地から新たな市議選候補者が出た地域は、投票に行く人が増えることを示唆しています。

3.同年代効果

  
 投票率上昇の3つ目の要因は、同年代効果です。
 
 投票が伸びる要因は、選挙区事情だけではありません。次の表は年代別投票率の比較です。

 前回選挙と比べて平均して3.96ポイント投票率が上昇しましたが、3.96ポイントを上回る伸びを見せたのが30代以下(表の黄色い部分)です。
   
 今回選挙は、市議選で30代以下の候補が3名出馬しており、今までになく若い候補者の多い選挙となりました。
  
 若者の投票率低下が叫ばれている中、今回選挙で若年世代の投票率が大きく伸びていることは、若い候補者が増えたことと無関係だとは思えません。
  
 若者が投票に行くようになる大きな要因の一つが、近い年齢の立候補者が複数現れることだということがデータから推察されます。
   
 ただし、30代の候補者が若い有権者によって押し上げられかといえば、データ的にはそうとは言えないのも現状です。

 上の表は、投票者数の変化です。若年層と高齢者層では母数が違いすぎて、量としてはむしろ70代の投票者増が投票率を押し上げた要因と言えます。
  
 若い候補者が若い有権者に支持されたと推察される一方、60代以上の方が若い候補者を支持してくれたことも、30代候補全員当選の大きな要因だったのであろうとデータから見て取れます。

4.旧町エリアの選挙なのか?

   
 下の表は、旧3町別立候補者の総得票数(A)と旧3町別の投票者数(B)です。 

 仮に旧3町の有権者が自分の町出身の候補者に投票するなら(例:川辺地域に住む田中さんは、川辺出身の立候補者にしか投票しない)このA-Bは0になるはずです。
 
 表を見ると、かなりの割合で旧町エリアごとの選挙が生きていることが推察されます。

 一方で、頴娃地域のA-Bは-305になっており、票が知覧や川辺に流出していることがわかります。
       
 ちなみに、3地域の投票率で頴娃地域が一番低いのは、決して頴娃地域の方の興味関心が低いというわけではありません。これまでにあげた「市長選効果」「新人候補効果」「同年代効果」のどれも当てはまらなかったことが理由と考えられます。

5.年代別投票率―若者と政治の関係―

 
 先ほども見た年代別投票者数ですが、かなり衝撃的な結果です。

 20代の投票者が516名だったの対して、60代の投票者が4047名でした。単純計算だと、その差は約1:8なので、60代1名の意見と、20代8名の意見が、票の上では同じ価値となります。

 なぜこんなことがおきるのか、半分は構造上の問題、もう半分は若者自身の問題にあります。

 まず、若者自身の問題について。20代投票率が大幅に上昇したことは事実ですが、それでも投票率は33.51%。60代の74.34%の半分にもなりません。

 次に、構造上の問題について。表には記していませんが、20代の有権者数1540名に対して、60代の有権者数は5,444名。つまり、同じ投票率だったとしても、そもそも差は出てしまいます。

 これが何をもたらすか。

 この現実を政治家サイドからみたときに、極端に言えば、若者の意見を聞かなくても、むしろ若者の意見を聞かないほうが選挙に当選しやすいという現状さえ、データから推察されます。
     
 少しでもそうならない為にはどうすれば良いか。答えは簡単です。
   
 みんな、投票に行こう!

6.おわりに


 今までいろいろと述べてきましたが、これは分析のお話で、私がやることは変わりません。

 今回の選挙戦、「あなたの声から、未来をつくる」と訴えてまいりました。与えていただいた4年間の中で、幅広い多くの方からの声をしっかりと受け止め、未来に対する責任を果たしてまいります。
 
 2027年12月投開票の南九州市長選挙、市議会議員選挙の投票率が少しでも上昇することを願い、筆を置きます。


 ちなみに今回用いたデータは、市選管に情報公開請求をかけて手に入れたものです。情報公開請求に応じてくださったことを感謝する一方で、本来なら情報公開請求をかけるまでもなく市HP等で公開してほしいデータであることを申し添えます。

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