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集会レポート:第3回「体験しよう!いのちのはじまり・性の授業」

2019年5月19日、第3回目の集い「体験しよう!いのちのはじまり・性の授業」が 行われました。講師は公立小学校教師で長年性教育にとりくんできた山田恭士(やすし)先生。参加者は73名(大人56名・子ども15名、保育の大人1名・子ども1名) で、アンケートは28枚集まりました。参加した大人の半数がアンケートに記入してくださったことになります。

会場は第1回目と同じ多摩平交流センターで、保育室も設置しましたが、保護者の 判断で大半の子どもが模擬授業に参加しました。幼児連れの家族の方が、会場内の保 育スペースでお子さんを遊ばせながら参加する姿も見られました。

山田先生のお話

山田先生は、以下のような話から切り出しました。
 「性教育は科学です。あわせて10年先までの子どもの成長を見通して教えます。今、 子どもが本当に知りたがっていることを教えたり、知ることができる環境はありません。10代の妊娠中絶に地域差はない。間違った情報はどこにでも飛んでいく。体も心も傷つくのは女性、望まない妊娠はしない、させない。とくに男の子の性教育は大切です。」

山田さんの性教育カリキュラムは膨大なものですが、この日の授業は人間の妊娠・出産のところだけです。
そこからは、映像と問いかけの連続です。

精子と卵子が結びつく場所はどこ? 子宮だと思う人、違うと思う人
(→子宮ではなく卵管。受精後に子宮で着床する。子宮外妊娠は放置すると大量出血し死に至る) 

3億個の精子が卵子をめざして突進し、一番優秀な精子が卵子と受精する。これは ホント?
(→精子のおよそ半数は、膣内に入ると入口を向いて、後からやってくる別の精子の進入を阻む。卵子を包む膜は百くらいの精子が共同作業によってでないと破ることができない。たまたま破れたときに、そこにあった精子が受精できる) 

などなどのことが、子どもも含めた参加者とのやりとりで語られ、山田先生は「これら のことはすべて教科書に......」と言ってから「書かれていません」と。
予定の 70 分は瞬く間に過ぎていきました。

私は性教育をほとんど受けていない世代ですが、これまでも何回か山田先生のお話 を聞く機会がありました。聞けば聞くほどおもしろく、何度聞いても新しい発見があ り、もっと聞きたい、もっと知りたいと思いました。そして、「性」の学びは、自分 の生き方にかかわる問題なんだということを強く感じるようになりました。

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参加者の声

約半数の大人の参加者から感想が寄せられました。毎回のアンケートには、貴重な 意見や感想がたくさん書かれており、それを読むだけでも共感できることがたくさんあり、一緒に学びたいといった気持ちになります。

 「なごやかな雰囲気で安心して(?)受講することができました」

 「科学的であること、との性教育の前提に深く同感いたしました。経産婦でありながら知らないことばかりでした」

 「大人だけではなく小さな子どももたくさんいて、みんなで聞ける雰囲気が良かったです」

 「今日はLGBTのことはお聞きできませんでしたが、これらのことも科学的根拠が あることが分かると、相互の理解が広がると思います」

 「先生の命の話のときには、小4の息子はぐぐっと引き寄せられていました」

 などなど、熱のこもった感想が溢れています。参加者の声から、「性」を学ぶことの 大切さやおもしろさが伝わってきました。また、我が子と一緒に学ぶことで、家庭の中でもザックバランに語り合える雰囲気ができるのではないかといった期待がもて ました。
当日、何冊かの本の販売もしました。中でも『あっ!そうなんだ!性と生』がたく さん売れました。内容は、幼児・小学生そして大人まで学べる、とてもわかりやすく 素敵な絵本です。集会に参加された方々が、集会の時だけではなく日常的に、「性」 のことを大事に考えていきたいという思いを感じることができました。

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この間の動きと、これからのこと

これまで集会に参加された方々から、「学校では性教育をやってもらえないのです か?」「どこに行けば性のことが学べますか」といった声がたくさん寄せられました。 私たちの会では、そういった声を伝えたいということもあって、日野市教育委員会との懇談を行いました。

学校現場では、2003年の七生養護学校事件や当時の性教育バッシングが教育現場に萎縮や自粛を引き起こし、今日まで15年余りの間、性教育実践がほとんどされ てこなかったといった問題があります。
私たちは、小・中学校の義務教育段階で、誰 もが公平に必要な「性教育」が受けられることが大事だと考えています。子どもたち の性を学ぶ権利を保障するという立場で、今後も教育委員会への働きかけを行っていきたいと思っています。

この4月、東京都教育委員会が2004年及び2005年に発行した「性教育の手引」が改訂され、学校現場に配布されました。中でも注目したいのは、以前の手引に不適切事例として載っていた、七生養護学校の性教育実践が今回削除されたことです。 これは大きな前進だと思っています。
新たな手引が出たことをきっかけに、学校現場 で子どもたちの実態に合った性教育実践を進めることが重要だと思っています。 

「性教育問題を考える日野の会」では、これからも「多様な生き方」「その人らしく 生きること」などが尊重される社会になることを願い、学習会の企画もしていきたいと思います。
(性教育問題を考える日野の会・横尾)



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