音と世界をめぐるノート

⚫︎音とは、物と物の触れあうところから、その際(きわ)の振れが、波として、媒質をつたい、耳にとどき、鼓膜を震わせ、神経をわたり、音の野に、音像を結んだ何かなのだろうか。

⚫︎音をたよりに、生きている人にとって、音は、複数のものの出会いに等しく、存在の証跡であるのだろうか。

⚫︎おとなふ、おとづれに、ふくまれる、おとのね。

⚫︎おとからは、はか(測、図、量、察、計、規、捗)ることによっては捉ええない、気配を感じ取ることができる。

⚫︎光溢れる世界にあっては、視覚が優勢になる。ひとつには、光の方が圧倒的に速いがためだ。しかし、光によっては届かない危機が、音によって識られることがある。なぜならば、音は回り込むからである。

⚫︎音とは、単なる物理的振動を超えた、存在の随伴者であり、ぬくみとともにふるい、生命の原感覚であって、聴覚的である以前に、肉的な、内部感覚的な知覚である。

⚫︎耳は、鰓の、名残である。

⚫︎大気に関して言えば、目はその状態を間接的にしか感受し得ないが、耳は直接的に感受している。

⚫︎目に見える表面は装えても、響きは、声色は装えないということがしばしばある。たとえば動物の呼吸と情動の関係を読み取る場合。上下に動く肩や競り上がる胸を見る以上に、深いか浅いか勢いはどうか頻回か否かを鋭敏に感じ取ることの方が、内面の運動を読み取る上では重要である。

⚫︎闇の中では、聴覚が研ぎ澄まされる。

⚫︎蝙蝠は、音で空間を描いている。

⚫︎音の経済的価値について。

⚫︎単位時間に地上で鳴り響く音の総和の変遷について。

⚫︎ある時刻に世界中で音楽に耳を傾けている人間の数とその内容について

⚫︎声と言葉、声と言葉を伴わない音について

⚫︎音のない世界で

⚫︎誰にも決して聞かれることのない音の存在について

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