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丸田恭介騎手【政治騎手名鑑2021】

政治騎手名鑑の2021年度版が完成しました!!

ルメール騎手から北村宏騎手まで上位30人のジョッキー・バイオリズムや詳しい見解はこちら↑↑


先週のフェアリーSで8番人気のホウオウイクセルを2着に持ってきた丸田騎手。これまで何度も人気薄を上位に持ってきて筆者の馬券に大いに貢献している騎手なのですが、昨年は12勝と、デビュー年の3勝に次ぐキャリアワースト2の勝ち星に終わってしまいました。だから、今年の巻き返しに期待しています。この記事も丸田騎手に乗って欲しいと思う人が増え、騎乗依頼が増えるといいなと願って書きました。逆効果になる恐れも大ですが……。

丸田騎手といえば、競馬学校浪人中に旭川東高校という、道内屈指の進学校に1年間だけ通っていたという話は有名ですが、その時にアルバイトもしていたというのはあまり知られていないのではないでしょうか。

乗馬費用を稼ぐために高校に通う傍らガソリンスタンドでも働いていたらしいのです。そして、その時にお客さんから衝撃的なクレームをいただいたといいます。「お前のところの店は小学生を働かせないといけないくらい困っているのか」と(笑)いまだにコンビニで年齢を確認されるくらい若く見えるので、高校生当時の丸田騎手が小学生に見えたとしても納得しかありません。

これらのエピソードから丸田騎手の長所がわかります。一つは頭脳プレー。もうひとつはモチベーションの高さ。様々な苦労を重ねて騎手になったと思うのですが、本人は騎手になれたのだから苦労ではないとよく語っています。人気薄の馬に跨って一つでも上の着順を目指す姿をみると、騎手になれた喜びをいまだに持ち続けているんだと感じます。


画像1

上の写真は、以下のリンクの記事内にあったものです。

馬主の姿も調教師の姿もなく、ローカルの未勝利戦を勝った時の口取りの写真のように見えますが、記事を見ればわかるとおり、実は重賞を勝った時の口取りなのです。

ただ、筆者はこの写真を見るたびに丸田騎手を応援したくなる。なので、14年のカペラSを勝利するまでを簡単に振り返ってみたいと思います。

サマースプリントチャンピオン

14年のサマースプリントシリーズを制したのは丸田騎手とリトルゲルダのコンビでした。北九州記念とセントウルSを連勝。そのままスプリンターズSに駒を進めたら、丸田騎手にとってはGⅠ制覇の大チャンスだったことは明白です。

ただ、サマースプリントチャンピオンはスプリンターズSを勝てないとも、よくいわれます。スプリンターズSの1着賞金は9700万円(当時)でセントウルSの1着賞金(5700万円)+サマースプリントチャンピオンの賞金(5000万円)のほうが高い。だから、前哨戦のセントウルSで勝負を賭けるほうが賢明で、スプリンターズSには出涸らしの状態での出走になりがちと。

リトルゲルダも連戦の反動があったのかスプリンターズSをパス。休養を挟んで香港スプリントに向かうことになりました。しかし、そこでリトルゲルダに跨るのは丸田騎手ではなくデムーロ騎手だった。「政治力」がすべての騎手界なので仕方のないことですが、中堅若手騎手の置かれた厳しい状況を改めて知ることとなりました。

シルクフォーチュン・パラドックス?

話を14年のカペラSに戻していきたいと思います。

JRAで行われているダート1200mの重賞はカペラSのみ。だから快速自慢の馬が集まって毎年極限のスピード比べをしている。それは、前半3ハロンの数字を見れば明白でしょう。

08年:32秒7
09年:33秒6
10年:33秒0
11年:33秒7
12年:34秒2
13年:34秒3

あれ? 暮れの中山に時期が移動してガーネットSからカペラSに名前が変わった08年は激流かもしれないですが、それ以外の年は激流というほどでもない。むしろ近年は条件戦よりも遅い。

この現象を筆者はシルクフォーチュン・パラドックスと呼んでいます。

シルクフォーチュンのカペラS成績

10年:4着(上がり35秒6)
12年:1着(上がり35秒3)
13年:3着(上がり35秒0)

この当時のカペラSはシルクフォーチュンのような追い込み馬の活躍が目立っていて、当時の騎手は追い込み馬の切れ味を封じるためにはペースを落とすという意識が強かったのではないでしょうか。13年は馬の脚倹約家の大庭騎手(トシキャンディ11番人気14着)が逃げるくらい、だれも積極的に行かなくなっていた。

ただ、先の前半3ハロンの数字とシルクフォーチュンの成績を合わせてみると、テンの3ハロンが33秒0と最も速かった10年の着順が一番悪く、上がりも一番遅いという点は見逃せません。

追い込み馬の決め手を封じようとペースを落とせば落とすほど、追走が楽になり決め手も鋭くなるというパラドックスに陥っていたと筆者は考えています。34秒3のペースなら、前から1秒差くらいのポジションで楽に追走できるうえに、決め手も存分に繰り出せる。だから、追い込み馬の決め手を封じようと思ったら33秒台前半で飛ばして逃げたほうがいいのではと。速い流れを追いかければ脚が溜まらないし、決め手を温存すると物理的なビハインドが大きくなる。どちらを選択しても厳しいからです。

丸田騎手の頭脳プレーと筆者の馬券自慢(笑)

14年のカペラSにもシルクフォーチュンが出走していました。残念ながらレース前に除外となってしまいましたが……。

とにかく注目点はどの騎手がシルクフォーチュン・パラドックスを解くかでした。その役目を期待したのが丸田騎手とダノンレジェンドのコンビです。砂を被るとダメな馬が1枠1番に入ってしまったので、行くしか選択肢がなかったのは確かですが、カギはペースです。ただ、騎手界随一の頭脳を持つ丸田騎手なら溜めて逃げるようなことはしないはず。ダノンレジェンドは12番人気で単勝46.8倍という伏兵でしたが、迷わず本命を打ちました。

パークウインズの東京競馬場で猫の画像(@keibanin)氏と並んでモニターで観戦していたのですが、丸田騎手のダノンレジェンドが逃げて前半3ハロンの数字が33秒3と表示されたときに、お互い勝ちを確信してレース中にも関わらず握手したことは今でもよく覚えています。ただの筆者の馬券自慢になってしまいましたが、丸田騎手はそういう頭脳プレーに長けた騎手なのです。

そして、勝利後の口取りの写真が最初にアップしたものなのですが。この日は阪神で阪神JFが行われているだけでなく、香港では香港国際競走が行われていたので、中山は重賞が組まれているとはいえ裏開催状態だった。だから、馬主も調教師も来場していなかったのではないでしょうか。

ということは、リトルゲルダから降ろされた日にダノンレジェンドに出会ったということ。そう考えると、この勝利の味はひとしおだったのでは。

ただ、そのダノンレジェンドもデムーロ騎手に乗り替わりになって、JBCスプリントを勝ったので、やはり騎手は「政治力」がすべてとしか思わないですが、いま種牡馬としてダート戦線で渋い活躍をしているダノンレジェンドは丸田騎手がいなかったら存在しかなかったくらいは言わせて欲しいです(笑)

馬券貢献度の高い穴騎手

20年は小倉記念で13番人気のアウトライアーズで3着。筆者に3連複25万馬券をプレゼントしてくれました。

小倉記念を振り返ると……。小倉の開幕週。しかも直線で強い追い風が吹いていました。開幕週の馬場を意識して、先行争いが激しくなると追い風がさらに押してくれるので、ハイペースになりやすいというシチュエーション。

ミスディレクションがハナを主張するも他がなかなか譲ってくれず、自然とペースが上がります。前半3ハロン34秒1、千通過58秒1というハイペースになって、縦長の馬群になりました。

丸田騎手のアウトライアーズは慌てず騒がず最後方から。向こう正面に入ったところでジワリと前との差を詰めます。先行していた馬たちが苦しくなる3、4コーナーで外から一気に先団に押し上げ。直線の追い風も活かして3着まで脚を伸ばしました。
そんな穴ジョッキーの丸田騎手ですら大苦戦したのが今年。19年22勝から、20年は12勝と大きく勝ち星を減らしてしまいました。USMも下降傾向で100%を割れてしまっています。

穴パターンは関西馬とのコンビ。

○関西馬成績
18年:4勝(80鞍)、単勝回収率178%、複勝回収率122%
19年:2勝(32鞍)、単勝回収率34%、複勝回収率38%
20年:2勝(41鞍)、単勝回収率213%、複勝回収率189%

騎乗数も勝ち星も減少傾向が止まりませんが、破壊力は健在です。ジューンSのフィールインラヴ(13番人気3着)など関西馬に跨ってきたら常に注意が必要。

逃げ率1.4%、先行率12.9%と騎乗の9割近くで控える競馬をしている消極的なジョッキーだが、前述の小倉記念のように一発を狙ってあえて控える競馬を選択しているレースも少なくありません。

ジョッキーの特徴を考えると、ハイペースになりやすく、差しが決まりやすい小倉と福島を得意としているのも頷けます。

丸田騎手のジョッキー・バイオリズム

グラフ丸田

もともとUSMの高い騎手なのですが、昨年の苦戦が色濃く見えていて、3部門でマイナスに沈んでしまっています。ただ、このまま終わる騎手ではないと思っているし、調子の回復期に大穴を連発してくれると思うので、注目するなら今じゃないかと思っています。

丸田騎手の戦法データ

逃げ率が1.4%しかなくかなり消極的なジョッキー。ただ、無謀な逃げ先行策を好まないだけで、ダノンレジェンドの例を見てもわかるように逃げるべきときは逃げる。多くのケースで一つでも上の着順を目指し、後ろからの騎乗が多いのは確かですが。

画像3

騎乗馬の平均オッズは79.6倍

オッズ脚質50-999

※戦法データの集計期間は20年1月1日~12月6日まで。戦法はtargetの判定方法に従っています。また、戦法の特徴がよりわかりやすくなるよう、リーディング順位の近い騎手と比較できるようにしました。さらに、騎乗馬の人気と戦法は切っても切り離せない(人気馬は能力が高いので前で競馬できるが、人気薄ではなかなか前に行けないなど)ので、騎乗馬の平均オッズとオッズ別の戦法データを合わせることで、よりその騎手の戦法の特徴が見えるようにしています。


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最終的には50人超のジョッキーを取り上げる予定なので、単体の記事を購入いただくよりもお求めやすくなっています。

「馬券術政治騎手名鑑2021 Go to ケイバ!」では、紙幅の関係で上位30人までしかバイオリズムのグラフを入れることができませんでした…

みなさんに競馬を楽しんでいただくため、馬券の参考にしていただくため、頑張ります!これからもよろしくお願います!