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短文バトル「父との記憶/バランサー」

私はバランサー子だった。妹は完全にママっ子で、4人家族のバランスをとるためには私が父親側につかねばならなかった。小学校にあがる頃にはもうバランサーとしての子を私は演じていた。両親は別居に近い形もあったが結局離婚せず死別した。父親は最期、私に冬を越すための高級な毛布を持ってきてくれた。そのとき母親からは「お父さんはいつもあなたのことばかり」と嫌味を言われた。そして、私がバランサーであることに気付かない親が残り、今度の火曜に父親の三回忌が来る。

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