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The Hands/その手

私はコロナ禍に次女を出産した。
長女の時には特に流行り病のようなものがあった訳ではなく、私と長女にトラブルもなく、いわゆる安産であったと思う。おもしろいエピソードがあるとすれば、長女が出てきて処置をしてもらっている間やり切った感でぼんやりしている時に母に似た声が聞こえて、「母みたいなおばちゃんどこにでもいるんだなー」と思ってたら本当にうちの母だった事。実家から病院まで2時間くらいかかるし来る事全く聞いてなかったから本気で驚いた。後から聞いたら姉が「お母さん、そばに居てあげて」と言ってくれていたんだそう。ちょっと、泣いちゃったよ。

平成の脱線女王なので話がそれた。
とにかく長女の出産はそんな風に旦那と実母が支えてくれて心強いものだった。

それに対して、次女の時はどうだったか。
コロナ禍での出産は産院により判断が様々で、私が産んだ産院は元々は上の子が小さくても家族で過ごせる事が売りだったのに、立ち会いも面会も病院内に家族が入る事は許されなかった。長女を寂しくさせてしまう事だけが心苦しかったが、私は休みたかったので丁度いいやくらいの気持ちだった。しかし初産の妊婦さんたちは未知の経験に1人で向き合わなくてはならず、コロナを憎んだ人がたくさんいたに違いない。初産の妊婦さんに思いを馳せるだけですごく胸が苦しくなった。


前置きが長すぎたけど、そんな、コロナ禍での出産のお話。


マスクをつけた人だらけの会見、スマホに写真が送られてきて喜びを隠しきれずテレビ越しに命の誕生を手放しに喜ぶその様子は、どこまでも丁寧に今の時代に沿っていて感動と同時にひとつの記録としての価値を感じた。


いつかの将来コロナが収束して、この映像をみて、「なんてあたたかい物語なんだ、あぁみんなマスクをしている、これはコロナの時代のお話なんだね」と見つめる日が来るのだろうか。コロナ禍のなか大切に赤ちゃんを守り出産した妊婦さんには敬意を表するし、いつかこのお話の赤ちゃんが大きくなった時に家族でこの映像を観るのかな、なんて先のストーリーを想像して幸せな気持ちになった。いいお話だった。

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