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かきつばた

「燕子花」・「杜若」、
どちらもかきつばた・・・
かきつばたには二つの漢字表記があります。

日本人の花ともいえる、カキツバタの印象は、尾形光琳の燕子花図屏風でしょう。
燕子花・杜若の漢字は、光琳が当てたのではないかとも言われています。
杜のもりは、みどりの群衆。若は、青いと解釈します。光琳のカキツバタへの愛はとても深く、かなりお気に入りの花だったのでしょう。

杜若はいけばなの中では、格の高い花です。
杜若のお生花はルールを知り生けます。
難しいけれど、綺麗にいけることができたら、日本人で良かったーと心から思える瞬間です。

「いずれアヤメかカキツバタ」という言葉がありますね。
アヤメとカキツバタはよく似ていて、どちらも美しい花を咲かせることから優劣がつけにくいという意味です。
それはもう…アヤメ、カキツバタにハナショウブまで加わると、さあ大変!
ではどうやって見分ければ良いのでしょう?

1つ目のポイントは花弁の根元部分!
アヤメは網目模様、カキツバタは白い筋、ハナショウブには黄色い筋が入っています。

キショウブ・ハナショウブ・カキツバタ


2つ目は生えている場所!
アヤメは乾燥したところを好みますが、カキツバタは水の中に生えています。ハナショウブはちょうど中間で、半乾湿地でよく見かけます。

これらのポイントをおさえておくと、比較的見分けるのが簡単になると思います。


又、お能の「杜若」もすてきな演目です。
『か・き・つ・ば・た』
の五文字を句の上に置き、

からころも(唐衣)
き(着)つつ馴れにし
つま(妻)しあれば
はるばる(遥々)きぬる
たび(旅)をしぞ思ふ

と大和言葉の醸す詩的な情感に、杜若の表す初夏のさわやかな季節感、雅な貴族文化の香気を絡めた一時のまぼろしを、杜若の精が、中性的な、オンナ女していない「若女」のお面をつけて現れ舞います。
途中で業平の化身となり、衆生済度の光を振りまく存在であり、その和歌の言葉は非情の草木をも救いに導く力を持つと語ります。
草木国土悉皆成仏です。
一度「杜若」の舞台を見てみたいと思うこの頃です。

若女

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