『雨とビールと丸メガネ』 【ショートショート】
雨音が動悸を加速させる。彼女に会うのは久しぶりで、少し早く着きすぎてしまった。傘を買うまでも無いか、と梅雨の雨脚を舐めすぎた。店に着くやいなや雨は激しさを増し、もうこの店を出させまいと、雨粒混じりの風が店の窓を勢いよく殴る。
「お一人様ですか?」
「いえ、後から一人くるのですが、大丈夫ですか?」
「はい、ご案内致します」
愛想のいい女性店員は若干濡れた私の髪や服を見て、
「ギリギリセーフでしたね」
と言ったが何のことかわからず、不思議そうな顔をしていると、
「