漫画紹介「武蔵野線の姉妹」
ジャンル:ギャグ、全5巻
「武蔵野線の姉妹」は「FlexComixブラッド」にてウェブ連載されていたギャグ漫画で、作者は「邪神ちゃんドロップキック」のユキヲ先生です。かなりカルトな人気作のようで、アニメ化こそされていないものの、何故か実写映画化されています。
「邪神ちゃんドロップキック」のアニメ二期が放送中のためか、この5月に完全版も発売されました。良い機会なので、語っていきたいと思います。
・あらすじ
マネーゲームによって、若くして一生遊んで暮らせるだけのお金手に入れたランは、言葉通り遊んで暮らすセレブニート。有り余る私財で同じくニートの妹に家事をさせつつ、二人暮らしを楽しむ人生エンジョイ勢。しかしそんな現状を快く思わない妹は、ある日突然姉に対して「働く」事を宣言する。
姉妹愛と自立をテーマにしたニートとろくでなしの物語。
・魅力その1、セレブニートな主人公
主人公のランは筋金入りのニートです。社会人の年齢でありながら縛られるものが無いその立場は実にフリーダムで、だからこそキャラクターとしても様々な一面を見せてきます。
ネットの影響で被害妄想や思い込みが強く、見ず知らずの他人に絡んだりして他人に迷惑を掛けて平気な顔をしている一方で、ニートである事への罪悪感から自己評価が著しく低く、自虐的な言動も目立ちます。
ここまで連ねると問題だらけの人格ですが、決して悪人ではありません。他人が困っているところを見れば一も二もなく助けに入るだけの正義感はありますし、他人への思いやりも十分に持っています。
だからこそ問題だらけの人格の持ち主は、作中でよく愛されます。
その立ち位置はまさに主人公。応援したくなります。
ギャグ漫画としても、彼女のエキセントリックな言動は面白いです。周りに常識人が多いだけに、面白さが引き立ちます。
・魅力その2、可愛いキャラクター
ランの妹、通称パンドラが働くのは、メイドカフェです。そこではパンドラム含めた可愛い衣装のキャラクターが登場します。客であるランもロリータ趣味の服装ばかりを着るため、作中のコマの多くがひらひらした衣装で満たされています。
キャラクターデザインも一貫して「可愛さ」に終始している傾向があり、もはやこの漫画の魅力の半分くらいは可愛さで出来ていると言っても過言ではないかもしれません。
「邪神ちゃんドロップキック」と違って暴力的な描写も抑え気味で、漫画としての読みやすさはかなり高めです。
・魅力その3、何とも言えないギャグ
この漫画のギャグは時折、ランの自由度に合わせてなのか非常に型破りでフリーダムなものになります。
何の脈絡も無く宇宙人が登場したり、二ページ近くに渡って作者が登場したりと、文字に起こすと大変意味不明です。
ですがそれは、シュールさには繋がりません。上手く表現しづらいのですが、大真面目な自由さとでも言えばいいのでしょうか。
決して斬新というわけではないのですが、画風と上手くマッチしていていい感じの面白さになっていると思います。
総評
ここまで書いておいてなんですが……あまり魅力的な紹介文に出来なかったかもしれません。この漫画における最も大きく重要な主題を見逃しているような、そんな気がします。
ですが、紹介文そのものが嘘というわけではありません。この漫画の魅力をわたしなりに精査した結果、こういう感じに行きついたという事です。
「邪神ちゃんドロップキック」と比べるといくらか万人受けしやすい作品ですが、大筋の作風は同じなので、「邪神ちゃんドロップキック」が好きな人にもオススメできます。
私的好感度:66/100、オススメ度:80/100
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