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漫画紹介「CITY」

ジャンル:ギャグ・日常、既刊11巻

「CITY」は講談社「モーニング」連載のギャグ漫画で、作者は「日常」のあらゐけいいち先生です。

既に11巻と、ギャグとしては長めの巻数ですが、オススメです。

・あらすじ

とある町の物語。個性的な人々が集う「City」における群像劇。

・魅力その1、独特なハイテンションギャグ

この漫画はギャグですが、ごく一部の例外を除いて「ツッコミ」という概念が存在しません。「日常」で言うところの長野原みおに相当するポジションのツッコミ役は存在するにはするのですが、後述する群像劇という物語形式の都合上、彼女の登場回数はそれほど多くはありません。

ツッコミ役が不在の町は、ギャグに振り切った空間で満ちています。

悪く言うとひたすら激しい絵面と語感のゴリ押し、良く言うと非常にシュールです。シュールな世界観が当たり前のように横行している独特なギャグ形式です。

また、見逃せないのがこれまた独特な疾走感。「日常」よりもある意味振り切った方向に舵を切っているのか、とにかくギャグの展開が非常に速い回が多いです。いろいろと細かいところを気にしていられないので必然的にシュールさが高くなり、面白いです。

・魅力その2、箱庭的群像劇

物語はほぼほぼ町の中のみで繰り広げられます。こう述べると閉鎖的な印象を受けるかもしれませんが、舞台が町というのは、学校や部活モノなんかと比べるとずっと広いです。大学生、高校生、中学生、中華料理屋に運送屋、警察官に素封家の令嬢と、括りに限りがなく、幅広いです。

そして彼ら彼女ら一人一人にが有する人間関係やドラマが思わぬかたちで交わり、発展し、大きな物語が紡がれます。

便宜上の主要人物という概念はあれど、明確な主人公は存在しないといっていいでしょう。それゆえに自由な回が多く、ザッピングするような感覚で読める漫画です。

・魅力その3、破天荒なキャラクター性

群像劇であるため、自然とキャラクター性は重視されます。

主要キャラはいずれも濃い面子ばかりで、見ていてとても面白いです。

大学生の「南雲美鳥」はギャンブル中毒の万年金欠で、非常に高い運動能力と短絡的な思考回路のせいで欲に目がくらんでおかしな催しに巻き込まれる事が多いという、典型的な主人公的ポジションの人物です。

「こち亀」の両さん然り、こういうタイプの人物はいるだけで面白いです。

そんな南雲に振り回される後輩の「にーくら」はこの漫画唯一のツッコミ役です。が、彼女もまた割と暴走しやすいところがあり、こういうところも「日常」の長野原みおによく似ています。時々崩れるツッコミ役というのは魅力的です。

町で出会った同じ大学生の「泉わこ」はマイペースな楽天家で、いくつもの意外な特技を持つ……いわゆる「ジョーカーポジション」のキャラクターです。引き出しの多さから、主要人物の一人は欲しいキャラクターですね。

……なんか、文字だけじゃあんまり魅力が伝わらないような気がしてきました。やっぱり絵面重視のシュールギャグだと、キャラ魅力も実際に目にしないと伝わらないのか、あるいはわたしの文章力の問題かは定かではありませんが……

いずれにしても、まずは読んでみてほしいと思います。

総評

「日常」と同じシュールギャグですが、テイストは相当違います。こちらは日常よりもシュールさが振り切れている分、置いてけぼりになる事が多いのですが、破壊力は大きいです。

「日常」好きもそうでない方も、まずは一巻をお試しあれ!

私的好感度:76/100、オススメ度:76/100

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