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漫画紹介「怪異と乙女と神隠し」

ジャンル:SF・ホラー、既刊2巻

「怪異と乙女と神隠し」は小学館「やわらかスピリッツ」連載の漫画で、作者はぬじま先生です。

まだ2巻しか出ていないこの漫画ですが……

間違いなく次に来ます。

ものすごく面白い漫画だと、自信をもって他人に紹介できます。

ので、早速紹介していこうと思います。

・あらすじ

作家の成りそこないとして燻る書店員、緒川董子はひょんな事から不可思議な噂の本を手にする。

通称「逆万引きの本」。いつの間にか書店の本に紛れている奇書という、ありがちな都市伝説の対象。しかしそれはただの都市伝説ではなく……

本の怪異に取りつかれた彼女に救いの手を差し伸べるのは、同じく書店員にして年齢不詳の謎の少年、化野蓮。

二人の書店員がコンビで魅せる怪異譚。

・魅力その1、王道なSFホラー物語

SFホラー……その中でも怪異譚といえば、不可思議さや不気味さ、そして魅力的なファンタジー要素が不可欠です。この漫画における怪異は、それらの要素を絶妙に満たしています。

恐怖演出はほどほどに、出所不明かつそれなりに説得力のある解説が挟まって、物語そのものの質が非常に高く、それでいて必要以上の重さやシリアス展開にはならず、悲劇的ではあっても残酷ではない……と、非の打ちどころがありません。

控えめに言って最高だと思います。

・魅力その2、濃厚で共感性の高い人物描写

作中において存在する怪異は、今のところ意思を持ちません。怪異そのものは基本的に他人に牙を剥かず、脅威となるのは怪異を使役している人物です。

怪異を使役する人間には、それだけの事情があります。この物語においては、その「事情」が重要視される傾向にあります。

そしてその事情を語るための人物の感情、過去の回想、思想等の根拠となり得る事実の提示が、この漫画は非常に秀逸です。

何より共感性が強いです。現在のところ2人の人物が怪異を使役しており、それぞれの事情が明らかになっています。

いずれにしても決して奇抜なものではありません。お話だけを見ればありふれたエピソードに過ぎないのですが、それを特別面白いものに昇華しているのは、作者様の技量に他ならないでしょう。思わず自分と重ねたくなる人物描写というのは、たまらなく甘美です。

・魅力その3、魅力的な主役

主人公……というかメインの登場人物である緒川董子は、非常に魅力的な人物です。

怪異譚の主役でありながら、怪異に対する知識は全くありません。どちらかというと相棒である化野くんの方が怪異に精通していたり謎の能力を有していたりと主役に相応しいキャラクター設定ではあるのですが、無知な董子さんが主役である事で、読者から見て物語そのものとの距離が非常に近しく感じられます。

キャラクターとして、お人よしで面倒見がよく、好奇心旺盛なのも語り部として優秀で、時にアンタッチャブルな言動をするので見ていてとても面白いです。

総評

現在まだ2巻ですが、今のところ何一つ欠けた部分の無い最高の作品だと思います。個人的にですけどね。

私的好感度100/100、オススメ度96/100

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