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漫画紹介「海浜秀学院のシロイハル」

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ジャンル:下ネタ、既刊なし

「海浜秀学院のシロイハル」は小学館のコミックアプリ「マンガワン」にて連載中の漫画で、作者は「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」「ライト姉妹」等の谷川ニコ先生です。

8月後半に連載を開始して、今現在3話まで公開されています。「裏サンデー」でも第一話が掲載されているようです。

谷川ニコ先生の新連載という事で、期待が高まる一作です。

・あらすじ

全寮制の男子校、海浜秀学院。娯楽が少ない生活の中で優等生、叶が見出した楽しみは……自慰

「自慰ノート」なる活動記録の完成を目指し、日々大真面目に邁進する叶とそれを補佐する常識的な感性の持ち主、星の性欲と青春の物語。

・魅力その1、ド直球な下ネタ

作者である谷川ニコ先生の著作はいずれも、下ネタ色が強いものばかりです。

「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」……通称「わたモテ」は、主人公の女子高生がネットに毒されているせいかおっさん的な思考の持ち主で、毎話のようにクラスメイトにセクハラしています。

「クズとメガネと文学少女(偽)」では性欲にまみれた恋愛模様を展開するクズな男子高校生の視点が頻発しました。

「ライト姉妹」だと、同級生のお姉さんに密室で真面目に怒られるというシチュエーションに興奮を隠せない変態女子中学生がギャグ部分を補強していました。

例外は「ナンバーガール」くらいでしょうか。それくらい、どの作品にも「下ネタ」が強く根付いています。

しかしこの漫画、「海浜秀学院のシロイハル」においてはそれらさえも比較にならないほどに濃密な下ネタ成分で溢れています。

主題からして下ネタです。第一話からして3ページ目でオナニーという単語が伏字抜きで飛び出して、その話だけで合計22回この文字列が見られます。男子校であるがゆえに、今のところ登場人物は全て男子。それでこの下ネタの濃密さというのはとんでもない話だと思います。

そして何よりこのドぎつい下ネタ、滅茶苦茶面白いです。

通常、ここまでストレートな下ネタには少なからず嫌悪感を覚えるはずなのですが……そこはそれ、谷川ニコ先生の手腕の賜物なのでしょう。不快さよりも面白さが先行するため、下ネタ特有のいやらしさがほとんど感じられません。

こんな事は初めてです。この漫画の、限りないポテンシャルを感じずにはいられません。

・魅力その2、淡々と進むシュールさ

今のところの主要人物は叶と星の二人のみ。まだ始まったばかりの物語なので何とも言えないのですが……この二人は非常に淡々とした性格です。

叶は静かな異端児で、星は静かな常識人と、そんな印象を受けました。

大まかな分類をするなら、「わたモテ」よりも「クズとメガネと文学少女(偽)」に近いキャラ造形です。クールで落ち着いたイケメンが基本単位で、そこからキャラごとに個性が分かれている感じだと言えば分かりやすいでしょうか。

まだ3話目なので、まだこの二人の内面や詳しい性格は明らかになっていません。ですが二人とも、この落ち着いた感じからは大きく外れておらず、だからこそ話のテンポが異様に早くて面白いです。

そして大真面目な顔をして話をするのがオナニーの事なのが、なおの事面白いです。控えめに言って最高です。

・魅力その3、青春

叶はともかく、星の内面描写はまだ乏しく、彼の心情はあまり明らかになっていません。当初叶の自慰ノートにドン引きしていながらも話を聞くうちに彼の協力要請を引き受けるようになったのは、彼に一体どういうバックボーンがあっての事なのでしょうか。

キーワードはおそらく青春。

この漫画で言うオナニーは、部活や勉強、恋愛と同義です。何かを求めてひた走る純情な思いに、貴賤は無いはずです。

そう思って改めてこの漫画を読むと、不思議と爽やかさを感じないでしょうか。この漫画は、青春の物語なのです。

総評

まだ全容が見えない以上、安易に評価をつけるべきではないのかもしれませんが……

ものすごく面白い漫画だと思います。

現時点での期待値は、ここ数年の新連載で最大かもしれません。人気が出るタイプの漫画ではないかもしれませんが、今のうちに目をつけておきたい気持ちでいっぱいです。単行本まで出たら絶対買うので、それまでずっと連載していて欲しいところです。

私的好感度:100/100、オススメ度:91/100

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