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漫画紹介「金田一少年の事件簿」

なんだか今更な気もしますが……ここ最近「37歳」が段々面白くなってきたので、改めて語りたいと思います。

「金田一少年の事件簿」は1992年から週刊少年マガジンで連載を始めた漫画で、現在はイブニングにて続編「金田一37歳の事件簿」を連載しています。作者は原作が金成陽三郎先生と、途中からは天樹征丸先生、作画はさとうふみや先生です。

・あらすじ

劣等生のレッテルを貼られた駄目高校生、金田一一。成績や素行が悪く、他人を困らせてばかりの彼は幼馴染の優等生、七瀬美雪の悩みの種。

しかし実は彼には隠された才能があった。普段の素行からは信じられないIQ180の天才的頭脳と、かの有名な名探偵の血筋。

その才覚は、事件との遭遇によって判明する……

・魅力その1、正統派な推理漫画

長編の推理漫画というのは、おそらくこの漫画が元祖なのではないでしょうか。それまで短編として……というか単発で推理モノの様相を呈していた漫画はあったようですが、ここまで本格的な展開を行ったのはこの漫画からだと思います。

閉鎖された空間……ないしはそれに近しい状況での殺人事件と、それに付随するトリックの解明という、正統派で王道な物語展開はしかし、ありきたりであっても陳腐ではなく、よく練られていて面白いです。

・魅力その2、劇的な物語性

推理モノとして、よく扱われるのが殺人事件ですが……

殺人を行うだけの動機と、殺人に付随して発生する人間の死という要素は、それだけで非常にドラマチックなストーリー構成の余地が感じられます。

とりわけこの「金田一少年の事件簿」では、その劇的さが非常に高い水準で味わえます。

たとえば「名探偵コナン」において、この要素はかなり淡泊です。こちらは犯人に対して読者が感情移入し過ぎないようにしてあると聞いた事がありますが……「金田一」とはスタンスが異なるという事です。

「金田一」ではむしろ犯人に対して同情的になれる場合が多く、その分犯人が抱える事情や過去が壮絶で、事件そのものの幕切れも非常に感動的に仕上がる事が多く、物語としての完成度は非常に高いです。

・魅力その3、意表を突いた展開

これは単にトリックや謎、犯人の正体などに留まりません。展開の意外さにかけては、突然こちらの予想を大きく裏切る場合がままあります。

たとえば被害者。この漫画では「主要キャラだから安全」という概念はありません。人間、頭では分かっていてもメタ的な視点を捨てきれません。「そんなわけがない」を裏切ってくれるというのは、最高ですね。

それでいて物語全体は崩れないし、正統派な堅実さを保っています。非常に良く出来たバランスだと思います。

総評

間に休載が挟まれているとはいえ、もう30年近く続く超長期連載漫画ですが、それだけ長く続くに値するほどの面白さを有していると思います。

こういう推理モノは制作側の知識とプロット力が多く求められるためか、類似の漫画はほとんど見かけません。だからこそ唯一性という意味で、全方位に薦めたい漫画の一つです。

私的好感度:92/100、オススメ度97/100

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