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【集中講義Ⅲ】ひぐらし命のうみねこコラボを真面目に読む

はじめに

またしてもうみねこについて語ります。

前回までの記事は以下のリンクをご参照ください。

さて、今回の議題は「ひぐらしのなく頃に命」におけるうみねこコラボの考察です。当然ながらうみねこのネタバレ全開なのでご了承ください。

・「ひぐらしのなく頃に命」とは

まずは「ひぐらしのなく頃に命」、通称「ひぐらし命」についてのご紹介を。

「ひぐらし命」は2020年にリリースされたスマホアプリです。

スマホアプリという事で基本的にはガチャと育成のキャラゲーですが、定期的に更新される「メインクエスト」をクリアすると、ここでしか読めない完全オリジナルストーリーが展開されます。詳しいあらすじは以下の公式サイトのリンクから読んでみて下さい。

謎のバケモノ「ツクヤミ」や不思議な力を得るためのギミック「ロールカード」、主人公達のタイムスリップなど、スマホアプリらしい超設定により、原作とはかなり異なるテイストに仕上がっています。一方で不気味な過去世界の雰囲気や雛見沢症候群による惨劇、脅威に立ち向かう仲間との絆や友情など、原作の良いところは踏襲している部分が多く、原作好きとしてはかなり満足度の高いストーリーです。

基本的に無料でできるゲームなので、ぜひぜひプレイをオススメします。

あとガチャのあるスマホアプリなので、キャラのビジュアルが豊富です。

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こんな感じのレナとか。

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圭一も衣装豊富です。

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しれっと羽入もいます。当然のように常設です。

キャラを集めるだけでも楽しいです。

さてそんなひぐらし命で「うみねこコラボ」がありました。

しかも二回も。そのうち一回は原作者である竜騎士07先生書下ろしで。

……というわけでそのコラボについて、それぞれ考察していきましょう。

うみねこコラボ第一弾「魔女の血ぬられた生誕祭」

第一弾は昨年11月にリリースされました。以下、簡単なあらすじ。

リゾート会社を経営する右代宮蔵臼の事業の一環として、六軒島をリゾート地とする計画が進められていた。そのモニターとして二泊三日の小旅行に行くことになった魅音・詩音・菜央の三人。リゾート地で過ごす週末を楽しみにしていた菜央だったが、道中出会った古戸エリカに因縁をつけられ、気分を害してしまう。しかもどうやらエリカは同じく六軒島に向かう客で、園崎姉妹とも意気投合してしまう。

そんな菜央達の前に、不可解な現象が起こる。その現象に首を傾げていた菜央の意識は突然、六軒島のどこでもない場所に導かれる。そこで出会ったのは六軒島の裏の主、ベアトリーチェだった……

とりあえずあらすじとしてはこんな感じでしょうか。

本編における主人公の一人、鳳谷菜央を主人公としたストーリーです。後々詳しく追って行きますが、菜央はうみねこ本編における戦人のポジションとしてベアトのお茶会に呼ばれ、現実の六軒島で起きた不可解な現象を巡って推理バトルを行います。

それでは以下に、重要と思しきチェックポイントを羅列していきます。

・エリカの登場について

エリカ登場ですね。参考画像を貼っておきます。

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登場時に大した意味もなく子どもを転ばせるというゲロカスムーブをかますいけすかない女。

さて、エリカの性格の悪さについては今更語るまでもないのですが……

・ドラノールの登場と存在の階層について

エリカのゲロカスムーブに苦言を呈するドラノール。存外にエリカと仲が良いようです。

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さてこのドラノール、明らかに船の上にいるエリカと話をしています。同様にエリカも「アンタと水平線を眺めながらお喋りがしたかった」と、船の上にいながらにしてドラノールと話をしています

つまりドラノールが顕現しているのは紛れもなく六軒島の船の上であり、メタ世界ではなく菜央達と同じ世界にいる事になります。

しかしこの後、ドラノールが六軒島に同行している描写はありません。うみねこ原作においても、ドラノールがゲーム盤の上に現れた事は一度もありませんでした。

つまりここのドラノールは、EP4における縁寿の友人たるさくたろうや煉獄七姉妹のように、エリカの愛によって視えている存在という事になるのでしょう。もっとも、EP6にて大した意味もなく真里亞の魔女幻想を破壊するような愛の無いエリカにしてはウエットすぎる解釈な気がしますが。

そこで思い出してほしいのが、ゲーム盤の上におけるエリカの特異性について。【集中講義Ⅱ】でもちょっと触れましたが、エリカは戦人や縁寿と違い、ゲーム盤の上にいる駒の状態でもメタ世界を認識した発言をしていました愛によって信じるまでもなく幻想世界の存在を確信しているので、愛がなくても視える……という論法が通用するのではないでしょうか。

・時系列について

六軒島への道すがら、エリカは園崎姉妹にかつて六軒島へ漂着した時の事を語ります。EP5、6での事ですね。

また、朱志香もエリカ漂着を事実だと捉えています。

エリカ漂着は六軒島事件の年……つまり1986年の事

しかし菜央がタイムスリップした先は昭和58年……つまり1983年の事

時系列が合いません。

仮にエリカ漂着が1986年とは別に1983年以前にあったとしても、1986年時点で勤続2年目になる郷田がこの時点でいるのは矛盾しています

……

まあ実際のところ、「ひぐらし」と「うみねこ」で時系列を合わせるのは無理でしょう。ひぐらしに合わせるなら、うみねこではベアトリーチェ誕生前なのでエリカもベアトも出てこれませんし、うみねこに合わせるなら、ひぐらしでは昭和58年の惨劇を乗り越えたゴールの先となってしまい、メインストーリーに影響が出てしまいます

それをコラボさせるとなると、どうしても矛盾は生じてしまいます。なのでここは時系列を気にしない方向で読むのが正しいのでしょう。

・立ち絵について

今回のうみねこコラボ、立ち絵があるキャラと無いキャラがいますね。ちょっと簡単に下にまとめてみましょうか。

立ち絵があるキャラ:エリカ、ドラノール、ベアト、朱志香、紗音、嘉音

立ち絵がないキャラ:蔵臼、夏妃、郷田

例えばエリカやドラノールには立ち絵がありますが、蔵臼や郷田にはありません。この違いは一体何なのでしょう。

最初は、ガチャで登場するキャラを印象づけるためだと思いました。エリカ・ドラノール・ベアトはコラボガチャに登場するキャラでしたので。

でも朱志香、紗音、嘉音はガチャで出てこないのに立ち絵があります。

まあ朱志香は物語進行の都合上結構重要なキャラなのでいいでしょう。でも紗音……特に嘉音は重要なキャラではありません。郷田の方が登場時間は多いくらいではないのでしょうか。

……やっぱ人気の問題ですかね。おじさんやおばさんより美少年・美少女の方が絵面が映えますもんね。

でももう少し踏み込んでみましょう。

うみねこコラボ第二弾については後程詳しく語りますが、朱志香はそちらでも登場します。残念ながらガチャで登場はしませんが、今回よりも重要なポジションでの登場になるので、立ち絵があるのも納得の立ち回りでした。

つまり、他の場所で重要な役割を担う予定のキャラには立ち絵が与えられている……?

いえいえ、そんな事は無いはずです。だって紗音も嘉音もうみねこコラボ第二弾には出てこなかったのですから。あの場面を逃せば、他に登場する機会なんて……

あっ……

うみねこコラボ第三段、あるんですかね……?

そうなると紗音・嘉音の活躍が期待されますね。

反面、蔵臼・夏妃・郷田の扱いはお察しですが。

・紗音のミステリ好きについて

ここ、プレイヤーとして解釈一致な設定です。

・ばっちゃの名にかけて!

ベアトがこれ言うのちょっと笑いました。

ばっちゃの名もベアトじゃん。

・ベアトvs菜央(一回目)

菜央の頭の良さが強調されます。さすがレナの妹、本編でも4つ年上の一穂と美雪を差し置いて頭脳派ポジションに収まっているだけありますね。

そしてそんな菜央と比較される戦人……

いや、戦人の時に関してはベアト側の事情が全然違いましたし、そもそも戦人側のメンタルからして今回とは違います。比較するのは酷でしょう。

・ベアトと紗音の関係性

今回の事件、鍵の一つとなったのはベアトと紗音の違いです。

敢えてネタバレを恐れず言いますが、ベアトと紗音は同一人物です。少なくとも一なる真実ではそう語られています。ですが、二人の間にははっきりとした認識の違いが表れています。

「名探偵」も「事件簿」も好きな紗音と違い、「事件簿」派のベアト。

また、紗音を指して「たまにおっかない」と他人事の調子。

これは紗音の人格障害が色濃く反映されている証左でしょう。

幻想世界において、紗音は戦人への恋心から逃れるためにベアト人格を生み出しました。その時点で二人は別個の存在として成立したのでしょう。

趣味嗜好の違いは、おそらく一なる真実における時系列によるものでしょう。すなわち、ベアト人格を生み出すまでの紗音は「事件簿」派で、その後「名探偵」も好むようになった……と。

それを加味したうえでベアトが紗音の振舞いの不思議さに頭を抱えるシーンを見ると、"元々同一人物であるはずの紗音の心理が「名探偵」派ではないベアトには分からないと"いうプレイヤーへの遠回しなヒントという事でしょう。

ちなみに今回のお話とは全く何の関係も無い余談ですが、漫画「金田一少年の事件簿」の連載開始は1992年、「名探偵コナン」の連載開始は1994年……時系列順だと金田一の方が先なんですよね。何の関係もありませんけどね。

・ベアトvs菜央(二回目)

推理の内容については何も言う事はありません。

ただ……

エリカ、ずるくない?

何がずるいって、証拠の後出しですよ。

EP6の時も思いましたけれど、エリカって魔女との闘いを意識した上で盤上世界の立ち回りを変えられるから、他のキャラより圧倒的に有利なんですよね。

その上で敗北するエリカ。エリカは調子に乗っている時よりも無様晒している時の方が映えますね。好きです。

・真相

なかなか面白かったです。論点は紗音の認識のみですが、その一点がなかなか難しく、個人的には満足でした。

ただ、客人がホストの貸し出し物であるシーツに勝手に魔法陣を描くなよとツッコミを入れたくはありましたが。右代宮家が寛大でよかったです。

・オチ

菜央がただただ不憫で面白かったです。フロントオープンスカートってそういう事じゃないでしょうよ。

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シエスタ衣装の菜央。超かわいい。

作中では言及されないし、あまり下半分のビジュアルを見る機会が多くないので気が付きませんでしたけれど、確かにシエスタ姉妹兵の服装は控えめに言ってとんだセクハラ装備ですよね。何がペンドラゴンの記念兵なのか、アーサー王はとんだ変態じゃないですか。

そういえば煉獄七姉妹も変態的衣装でしたよね。マリアージュ・ソルシエールには変態しかいないのかもしも真里亞が生きていたら、戦人顔負けの変態淑女になっていた可能性が……?

・総評

うみねこコラボ第一弾、面白かったです。

「ひぐらし卒」放送直後というタイミングだった関係もあり、てっきりその辺に突っ込んでいくスタイルと思っていたので、そうじゃなくて安心しました。

さて、お次は第二弾を見てみましょう。

うみねこコラボ第二弾「昭和58年・右代宮縁寿の困惑」

第二弾は昨年12月にリリースされました。以下あらすじ

リゾート会社を経営する右代宮蔵臼は、この度雛見沢を新たなリゾート地に仕立て上げる計画を立てていた。その計画を不安に思った娘の朱志香は、戦人とともに雛見沢へ視察に赴く事にした。

しかし雛見沢は現在、正体不明の怪物「ツクヤミ」が溢れる危険地帯。こんな事が蔵臼の耳に入ればリゾート計画は即刻中止。ただでさえ屋台骨が揺らぎ切った蔵臼の会社も大変な事になるのが予想された。

そんな懸念を聞いた雛見沢部活メンバーは、徹底したツクヤミ退治を決行するが……

・時系列について

今回は縁寿目線のお話という事で、冒頭は1998年(推定)から。縁寿の画像を下に貼っておきます。

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縁寿のいる時系列では、雛見沢はダムに沈んでいます。

護衛(何故か名前が出てこない天草)の話だと、明らかに今回のイベントが絡んだ過去の話のようです。すなわち命世界の行く末がダムに沈んだ雛見沢という事でしょう。

イベントでは梨花が登場しているので、基本的に第一部の話という事でいいのでしょう。という事は第一部8章のあの後、村はダムに沈んだという事になります。つまり第二部平成編は、第一部と地続きという可能性が濃くなった……ような気がしますね

ちなみに縁寿の発言の中で、「10年も経っていない」というのが気になりました。ここまで天草は一度もダム建設の時期に関する事を言っていませんし、本当に10年以内(遅くとも1988年)とするには、雛見沢大災害(1983年)と時期が離れすぎている気もしますが……?

・戦人について

思ったより普通に戦人が登場して驚きました。

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主人公であるにも拘わらず第一弾コラボでは名前のみしか登場しなかったので、てっきり意図的に出てこないだけだと思っていましたが……そうではないようです。

親族会議で6年ぶりに再会するはずの朱志香と一緒にいるところから、その辺りの設定はオミットされているようです。これに関しては「翼」や「羽」等の番外編でも同様なので、そういう感じなのでしょう。

しかし戦人、扱いがめちゃくちゃ酷いですね。仮にも主人公なのに、この扱いの悪さは一体何なのでしょう。せっかくなので一個ずつ挙げてみましょうか。

①美雪・菜央から女絡みのトラブルの気配を指摘される

……

正論ですね。

まあ一なる真実ではフェザリーヌ……もとい幾子先生とよろしくやってますし、まあまあ平穏にやってると言ってもよいのではないでしょうか。

②ツクヤミに襲われて情けない悲鳴を上げる

まあバケモノに襲われたら大なり小なりそうなるでしょうけれど……でもやっぱりちょっと情けないですよね。霧江さんならこんなに取り乱さないだろうと考えると余計に。

③ツクヤミをあっさり受け入れる

設定上、戦人は最も魔法抵抗力が高く、胡散臭いものを信じないはずなのですが……命の世界観の都合というものがあるのでしょうけれど、あっさり信念を曲げさせられて不憫です。

④恰好の話題で不当に貶められる

性別が逆だったら完全にセクハラを通り越してもはやいじめレベルの言い草。戦人が何をしたというのか。

⑤おっぱい好きが女性陣にバレて白い目で見られる

これは自業自得。擁護不要です。

でもうみねこ本編ではそんな戦人のオープンさに引く人が朱志香くらいしかいなかった(紗音は無抵抗、真里亞は乗り気、絵羽と霧江は大人なのでスルー、縁寿はブラコン)のと、あまりふざける場面が多くなかったので、この展開に唐突さを覚え、自然と戦人が悪くなく見えてしまいます。不思議。

⑥朱志香との約束を忘れて大騒ぎする

これも自業自得。

①と合わせて紗音との事を暗喩していますね。

⑦梨花をナンパしていると勘違いされて引かれる

これは戦人のキャラストーリーですが……あんまりだと言わざるを得ないです。

第一弾コラボでエリカがベルンに言及したり、ベアトが戦人に言及した時は皆スルーしていたのに、ちょっと戦人がベルンに言及したら普通に反応するのは酷いです。

しかも女性陣は戦人の言い分を完全に無視する始末。あまりにも可哀想です。

何故戦人はこんなに扱いが悪いのか。せっかくのコラボなのに泣けます。

・梨花の恰好について

第一弾コラボの菜央に続いてセクハラ装備させられる梨花。

しかし菜央の衣装と違ってうさみみの片方が傷ついているのが象徴的です。羽入の壊れた角を彷彿とさせられます。

もっとも、特にストーリー展開と関係なさそうな衣装の事なので、特に言うべき事はないのですが。

・開発計画のコンセプトについて

蔵臼おじさん、無能。

そんなんだから遺産を遣いこんじゃうんですよ。

・オチ

なんという雑な炎上エンド。

まあ繁盛しちゃったら縁寿の未来と繋がりませんし、しょうがないですよね。

でも蔵臼おじさんは死亡ですかね。まあ致し方なしという事で。

・縁寿について

……

…………

……………………

縁寿、いる?

ほとんど傍観しているだけで展開に影響を及ぼしませんし、このストーリーで縁寿が得たものは何もありません。

もしかしてこれも、うみねこコラボ第三段の布石……でしょうか。

気になります。すごく気になります。

・総評

うみねこコラボ第二弾は、良くも悪くもコラボイベントらしい感じでした。人気の高い戦人や縁寿とガチャで出す一方でストーリーは可もなく不可もないといった風。だからこそあまり語る事が無いのが残念です。

まとめ

さて、ひぐらし命のうみねこコラボについて、うみねこ寄りの視点で読み解いてみましたが……

あんまり考察にはなりませんでしたね。

元々命の世界はパラレルワールド的な見方が強いので、本編と比較しようがない関係上、同様にうみねことの関連性も引き出せないんですよね。あわよくば「ひぐらし」世界と「うみねこ」世界の関係性を洗い出して「ひぐらし業・卒」への探求の足掛かりにしたかったのですが……

という事なので、これは単に感想記事として処理しちゃってください。次回はしっかり考察すると誓います。

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