感想「かくしごと アニメ11話」
とうとう残り2話になりました。いよいよ物語も佳境です。最後まで堪能します。
・最終回平気彼女
タイトルの元ネタは「最終兵器彼女」でしょう。
しかしすごいタイトルですね、これ。視聴者側は全然平気ではありません。毎週の生きがいを一つ失うわけですから、切実もいいところです。こんな事を言っても仕方が無いとは思いますが。
さて、本編ですが……
・家族会議をしたがる姫ちゃん
この子、結構何でもしたがりますよね。微笑ましい一方で後藤パパは葛藤が多くて大変です。姫ちゃんは後藤パパとの二人での生活を気に入っているようですが、決して母親がいらないと思っているわけではないようですし、ナイーブになる気持ちも分かりますが……非常に気にしいです。
でもそんな後藤パパだからこそ、なにかと溜め込みがちな姫ちゃんと上手くやってこれたのかもしれません。この二人、言いコンビです。
・会議についての会議
珍しくまともな勘違いネタです。いや、王道だからこそ面白いのですが。
しかし後藤先生・十丸院さん・一子先生の三人の組み合わせは珍しいです。三人ともかなり重要な登場人物なのですが、アクが強い人物達なだけに一堂に会する機会はなかなかありません。全員がボケ役なので常識人を挟みたくなる布陣という事でしょう。勘違いネタでは勘違いしたままお話が進むので、問題ないのですが。
・めぐろがわたんていじむしょ
この面々がきちんと活躍するの、何話ぶりでしょうか。探偵団としての活躍もさることながら、意外と登場回数の少ない主要キャラですね。仮にもエンディング曲をカップリングしている面々なのに……
あ、そうだ。
エンディングテーマ「君は天然色」のイメージアルバムが発売されています。原曲である大滝詠一氏ボーカルのもの以外にも、めぐろがわたんていじむしょ一同がボーカルを務めるバージョンや、作中のアイドル千田ちゃんがボーカルを務めるリミックスもあって、なかなかいいアルバムでした。
横道に逸れてしまいました。失礼しました。感想の続きを話します。
しかしこの千里ちゃん似の子……莉子は性格まで千里ちゃんに似ているのか、随分きっちりした性格なのが面白いです。絶妙に「さよなら絶望先生」のキャラを使いまわしているこの漢字、好きです。
・家族会議で誕生日についての話をしたがる姫ちゃん
ここはアニメオリジナルでした。一度終わったはずの事柄を引っ張り出してくるのは一話完結型のギャグ漫画には珍しいので、よく覚えています。ここで改変が挟まれる理由は……後で分かります。
・編集長との食事会
また勘違いの波動を感じます。
十丸院さんは無能を通り越して邪悪です。単行本のおまけページでは未だに実家から仕送りを受けるほど経済的に余裕がある事が判明しているくせに、おいしいものを食べたいという理由だけで後藤先生をダシに編集長を使ってタダメシを食らおうとは、やっぱこの人ぶっちぎりでやべー人です。
この場合も勘違いではあるのですが、問題なのは十丸院さん自身が勘違いを是正できる立場にあるという事。勘違いに気が付いていながら正そうとしない辺り、本気の邪悪さを感じます。
気まずい空気の中、食事に没頭する十丸院さんマイペース。これは無敵です。
しかしこのシーン、面白いですね。アンジャッシュのコントみたいです。左下にテロップが出てきてもおかしくないです。
編集長:カラーページの事だと思っている
後藤先生:打ち切りの事だと思っている
……みたいな。
しかしこの編集長、十丸院さんと違って漫画家の後藤先生に対してきちんと礼儀を尽くしていて、偉ぶらない人格者です。
当たり前と言えば当たり前ですが……十丸院さんがちゃらんぽらんなせいでこの人の人格者っぷりが浮き彫りになります。
まあ、さすがに編集長を悪くは描けないでしょうけれど。
・カラーは有終の美
ここのシーンでの想像図、他はよく分からないのですが……一番上のページは「さよなら絶望先生」の最後の一シーンですね。
島に現れたウエディング姿の絶望少女から逃亡する先生が、鐘の鳴る海沿いの教会でいるはずのない可符香と出会う、漫画史に残りかねない最高のエンディングでした。こればっかりは本編を見て、感動してほしいところです。
ちなみにこの想像図は原作でもありました。久米田先生自身が、「絶望先生」を懐かしんでいるという事になるのでしょうか。同時に「せっかち伯爵と時間どろぼう」や「太陽の戦士ポカポカ」なんかではない辺り、その辺はタブーなのかもしれませんね。
何にせよこういう小ネタ、大好きです。
・謎の請求書
「船のチャーター費」をはじめとする不穏な雰囲気を纏った請求書。これはおそらくアニメの最終回で回収されるでしょう。原作では既に回収されていますが……騒動の結末まではまだ明かされていません。とりあえず来週の12話視聴の前にもう一度おさらいしておきたい部分です。
・風のタイツ連載終了予定
何故芥子くんの話を聞いてあげないのか。こういうスルーの流れ、不憫なんですがどうしても笑ってしまいます。彼は彼で、華のある弄られ役です。
終了(誤解)を受けて、ブーストされる風のタイツ。段々面白くなくなる漫画は多いですが、段々面白くなる漫画というのは珍しいので、こういう展開はフィクションの中でも大好きです。
・十丸院さん原稿紛失
これはひどい。
何が酷いって、実際にそういう事件があったという事。しかも久米田先生がかつて在籍していた雑誌内ではそれが原因で、裁判にまで発展しているデリケートなケースです。こんなネタ、地上波に流していいんですかね……? もしかして、私怨でも入ってます?
しかもそれが原因で、ブーストも終わってしまいました。切ない流れです。
・家族会議について
念のため言っておきますが、ここから先は全てアニメオリジナル展開もしくは単行本未収録のお話です。わたしもここから先は何一つ予想がつかない領域です。楽しみで仕方がありません。
さて、会議の流れなのですが……
親子の会話が幸せすぎて、不穏です。
そして唐突に飛んだ半年……ほっこりとした雰囲気が全てこれから先に起こる悲劇の前フリみたいで、胸の置き所が分からなくなる展開でした。
母親がいなくとも、姫ちゃんは幸せです。後藤パパがいる限り。
・オルゴールの音色
ここが関係あるかどうかは分かりませんが、この音色はトロイメライですね。「さよなら絶望先生」において可符香が不気味な歌詞をつけて歌い、最終話において非常に重要な役割を果たした音楽です。それがここで流れるというのは、単なるファンサービスでしょうか。それとも……
・これから毎年……
もう見ていられない……
・姫ちゃん18歳パート
ついに時間軸が重なりました。
やはりここから先は全て18歳パートの物語になるのでしょう。
さてここで、ついに姫ちゃんが鎌倉に向かう事になった流れが判明します。
この辺りは非常に重要な部分なので、間違いなく原作でも補完される部分でしょう。という事はつまり、少なくともこのパートにおいてのみは、オリジナルではなく原作の先取りという事になるのではないでしょうか。
本誌では18歳パートが無く、あくまで単行本での補完というかたちを取っているため、この部分は本誌を読んでいる方すら知る由もないところであるはずです。
果たして姫ちゃんのいたアパート?にかくしごとについてのリークを出したのは一体何者なのか。
物語がどういう結末を辿るのか。
全てが来週のアニメで明らかになるかと思うと、ゾクゾクが止まりません。
なんだかんだ言ってこれまでのお話は全て原作を忠実になぞっていたので、新しい発見こそあれど大筋は全て知った上での視聴でした。
が、ここから先は未知の領域です。これほど素晴らしいお話があるでしょうか。「鋼の錬金術師」みたいなアニメと原作のリンクのさせ方に、脱帽する他ありません。
総評
今回は総じて、ギャグとシリアスのバランスが良くて、かつ両者の水準が非常に高く、終始楽しんで見られました。
そして来週は最終回。
ついに単行本の枠組みを超え、明確に一線を越えてくる新展開がアニメで展開されるとなると、見逃すわけにはいきません。たとえ首だけになっても視聴します。
楽しみで仕方がありません。
11話の満足度:100/100
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