カミングアウトしたら炎上した話まとめ

えー、と。

何から話しゃいいのか。

まずは沢山の誕生日のお祝いのコメント、そしてそれよりも沢山の反応ありがとうございます。
こんなに多くの方に私のちょっとした漫画が読まれるとは思ってもいませんでした。あってもせいぜい数十のいいねで終わるものとばかり考えてました。
が、そんな私の想定はあっという間に覆されました。
今この文章を書いてる最中でも1600のいいね、400件のリツイートのうち半分が引用RT、100人以上の新規フォロー、質問箱にも何十の質問が届けられ、否定も肯定も入り混じる、ぐっちゃぐちゃの通知がこの3日間鳴り続けました。
中にはカミングアウトした私に対し「勇気をもらいました」「衝撃を受けました」「つらい気持ちになりました」と返信をくれる方も多くいます。

これはまずい。
一時期トランスジェンダー否定派の意見が多かった時「めんどくさいのでこれ以上こっちからなんか言ったりはしないよ」とツイートをしていましたが、私のこのツイートに「勇気」を見出した人が出てきました。私はFF内でゆったり過ごすだけで十分だったのが、いつの間にかもっと重いものを背負って舞台の上に立っていたみたいです。
ここまできたらそんな適当な姿勢は許されません。私は思いを馳せてくれた沢山の人の期待に応えなくてはいけなくなりました。
私は私にできる限りのことをします。漫画……はちょっと忙しくてこれ以上描いてる暇がないんで、文章を書くことにしました。
これを書くまでの間に本当に沢山の意見を見聞きしましたが、全てを吸収し理解したわけではありません。私はあまり頭がよろしくないのです。なのでもしかしたら文章が拙かったり、発言したことの時系列があべこべになってしまったりするかもしれません。ご了承ください。
皆さんから頂いた質問、批判、期待に少しでも答えられるようにしたいと思いますので、読んでいただけたら幸いです。

経歴を知らない人の方に説明しますと、私は8月13日にこんな漫画をツイートしました。

私が性同一性障害であり、トランスジェンダー女性であり、今まで勇気が出せず身の形振りに苦闘してきた結果、ネット内のフォロワーだけでもお伝えできれば少しでも私の気が晴れるのではという内容の漫画でした。

このツイート、最初に私が描いていた時は本当に軽い気持ちでした。今まで私をフォローしてくれていたフォロワーに改めて私を紹介できれば、またそれ以外の人が読んだとしても「周りの目を気にしないようになれば人はもっと自由に出来るよね、そうなれるといいね」と思っていただけるものかと思っていました。だからこそFF内へ向けた漫画だとは言いつつも、私は軽い気持ちで「#LGBTQ」「#トランスジェンダー」のタグを付けて投稿しました。


ここで皆さんに謝罪しておくことがあります。ひとつは漫画内の一番最初を飾る3個目のコマ内で「性同一障害です」と言っています。正しくは「性同一性障害」でした。この話をする上で一番やってはならない根本的なミスを犯しました。ごめんなさい。
もうひとつ、4ページ目から語られる「私が身体的に男性であるが故周りを気にして出来なかったこと」の話。あそこでもっと自分の身体違和感の話をしておけばよかったといくつか指摘を受けました。女性の格好をして男性を名乗っている人が世の中にいる以上、私が女性の格好をしたいから女性になるの理屈に筋が通らなくなると考える方がいました。あそこのシーンでもっと「男性の身体でいることが嫌だった」話をしておけばよかったんですね。これは私の表現力と読解力の欠如による失敗です。その点で不快感を与えた方はごめんなさい。


話を戻して。
それから1日寝て起きて、8月14日の誕生日当日、私は目を見張りました。
「それは女装がしたいだけの男性だ」「従来の女性らしさに囚われすぎている」「心の性が何か、女性の心が何かわかってないくせに」そんな引用RTで溢れ返っておりました。中には粗探しのように私の過去のツイートを掘り返し、「こんな下ネタを言ってるお前はミソジニーだろ」と批判してくる人もいました。
私は普段から性的マイノリティの話題に対し熱心に勉強をしているわけではありません。この一連の騒ぎが起きる前の呟きを見てもらえれば分かると思いますが、オタク語りばかりしていますねえ。私のような浅い知識で語ったトランス女性の漫画よりも、毎日熱心に誰かを否定して常に性に対する情報を喰らっているこの人たちの方が、実際は正しいのではないか?ここ5年ほど思い連ねてきた私の「女性になりたい」という感情が、願いが、あっけなく崩れていってしまうのではないか?という疑問が私の頭をよぎりました。
そうは思いつつも、一度これらの引用RTになんらかの対応をしなければと思い、その日の午後、送られてきたコメントの中で一番丁寧な文章で燃えづらそうな質問箱に対して回答をしました。こちらは外部サイトなので詳しく読みたい方はURLから飛んでください。

https://peing.net/ja/q/de5163c5-3fb4-4dde-a952-3c614350da9b

「私は女ですが」って質問内に書いてあるんだから最初の文あれでよかったよね。まさかとは思うけど他のトランスジェンダー否定派の皆さんこんなボロクソ言われてる私が謙って返信すると思ってないよね。これで女性差別だなんて言われたら皮肉も言えなくなっちゃうよ。
立て続けにこんな質問も届いたのでこれにも回答をしました。

https://peing.net/ja/q/b5db872a-b674-4c44-b25f-447b2407b0a7

この2つの回答の中で「可愛い=女性ではないけど、可愛い姿になるのに一番近い道は女性になることではと考え、そこから試行錯誤していくうちに女性になりたいと考えるようになった」「可愛い姿の話ばかりしてるけどそれだけじゃなく男性の体にも違和感はあった」「元々はフォロワーにちょいと声をかけて知らせるだけが目的だった。他のマイノリティの人たち全体がこう思っているという話ではなくあくまで私個人の話」「私が人の目を気にしないようにみんながマイノリティを気にしなければ誰も問題にはならないはず」などと主張しました。

これらの質問に対応してる時はまだ否定派のコメントが殆どでした。炎上してからほぼ1日が経とうとしていたので、もう私はウンザリしてしまいました。のでもういいです、と。こんなのに対応してる暇はありません、という気持ちで、こうツイートをしました。

ここから私側からは何も発信してません。日常的なツイートはしてますが、これ以上の弁解も、コメントに対する反応もしていません。私のツイートはこのまま燃え尽きて、否定派の人たちにネタにされ続けるんやろかと諦めていました。

ところが事態は一変。

このツイートから1日経って8月15日から「らしさがどうとか関係なく好きな性で好きな格好をしていい」「20歳でカミングアウトをした勇気を讃えるべき」「叩いている連中はトランスフォビアだから気にしないで」というような、私を擁護するコメントが急に増え始めたのです。これはどうしたことか。あまりの急展開に頭の処理が追いつきません。ミスターサタンにでもRTされたのでしょうか。どこで転機が来たかはさておき、トランスジェンダー肯定派に私のツイートが知れ渡り、肯定派の意見が集まり始め、現在の状況になり、浦島太郎はおじいさんになりましたとさ。


ここまでが全体の流れです。


それで、ですね。

今こうして私が起きたことを必死に書き連ねてる間にも沢山の人が私の漫画について反応して、考えて、質問を投げかけてくださってます。本当にありがとうございます。
どうせ考えるならもっと情報源あった方が視野を広げられることでしょう。
ということで今まで来たコメントに対して一部だけではありますが回答していきたいと思います。
私は回答者側なので答えを全て持ってる神の視点で話すから気づかないかもしれませんが、否定派が肯定派になる、肯定派が否定派になるようなそんな答えが飛び出すやもしれません。どうぞ引き続き見てってください。

「女性ホルモン剤は投与されてるんですか?性別適合手術は?診断は?」

女性ホルモン剤は錠剤系のものを3年ほど前から飲んでいます。注射剤などは使用したことはありません。効き目は…どうなんでしょう。口コミほどの反応はありませんし医師の診断なく購入できるものなのでそれほど良くはないのかもしれません。
今ちょろっと言ってしまいましたが医師の診断、また性別適合手術は行っていません。これはちゃんと理由があります。先立つものです。今年20歳になった貧乏学生には、親の許可得ず定期的に医者に係ることなど到底無理です。インターネット上で出来る診断はいくつか試しましたが、どの診断でもトランスジェンダーだと判断されました。「そんなのネットだからだろ、医者の方が的確だ」と仰る人は、専門家とはいえ医者もひとりの人間であることを忘れないでください。私はネットの診断も医者からの診断もそこまでは気にしてません。どちらにも間違いは生じますし、心の病は誰かが断言できるものではないでしょう。

「性対象はどちらなんですか?」
性的嗜好の話をすると男性です。男性の身体に興奮しますし、セックスをするなら男性相手の方が嬉しいです。こんなこと言わせんじゃねえよ。
ですが、今私が付き合っている方は女性です。付き合い始めてもう4年ほどしますが、セックスはしたことがありません。身体目当てで付き合っているわけではないです。だから言わせんなよこんなこと。
じゃあ彼女の何がいいの?と聞かれたら、どんな私でも可愛がってくれるところです。付き合い始めの頃、私は自分の性自認に対してまだ悩んでいました。彼女にもそうであることはまだ隠して付き合っていたのですが、そんなことは彼女には関係ありませんでした。私が男性を名乗り男性として過ごしていても、いつも私のちょっとした仕草に「とても可愛いね」と言葉をかけてくれます。それが本当に嬉しかったし、私が可愛くなることを魅力に思ってくれるのが救いでした。実際にトランス女性であることを告白した際も、「あなたがどうであれ私にとっては可愛い存在に変わりはない」と受け入れてくれました。私が今自信を持って可愛い女性になりたいと主張できるのは、彼女の支えがあるからです。

「外出時トイレはどちらを使っているんですか?」

男性トイレか多目的トイレを使っています。女性の格好であれ、まだ身体的には私は男性です。そして世の中には男性の身体向けに設計されたトイレが存在します。と言ったけどスカート汚しそうだからいつも個室へ向かいます。
人の目はもちろん気になりますので、急ぎでなければ公共のトイレは使用しません。コンビニや駅などでたまにある男女兼用の多目的トイレも、私以上に必要としている人がいるなら場所を譲ります。これで決して女性に近づきたいから女性を名乗っているわけではないと理解してもらえたでしょうか?

「でもこんなツイートしてんじゃねえか」


はい。人を叩きたくてしょうがない暇人が探してくれたので一応言い訳程度に話をしましょうか。
一番目のやつはツイッターがサーバーエラーによってダウンした時のツイートです。「ツイートができない故気にせず下ネタを言っていたら間違って下ネタをツイートしちゃった!恥ずかしい〜」というネタに私も便乗した結果がああなりました。

「盛りマン剃り残し〜」の部分は当時ツイッターで少し流行っていた「こんな女性実際にはあり得ないけどエロ同人の世界では成り立つ性癖を全部乗せしたらこうなったと」いうネタ画像の「性癖トガリネズミ」のセリフから。
残り2回の「セックス」はアニメ星のカービィの登場人物コックカワサキが、大声でセックスと発言したように編集してある動画から、それぞれネタとして引用したものでした。
二番目のツイートに二枚目の画像は、
無理な条件で彼氏を募集するというツイートをコピペして、最後にオチをつけるというネタが流行ったのに便乗したもの(4つめの条件がアニメキャラのベティブーブの主題歌になっており、ベティちゃんみたいなアニメキャラの子となら…という現実ではあり得ないオチになっている)
三枚目の画像は、「3:3で合コンをするならどのポジションか」という質問に対して、恋愛漫画でありがちなシチュエーションをとても汚い表現で語ったのち、私は誰とも知り合えずひとり寂しく帰る、というオチをつけたものでした。詳しくは見て。( https://peing.net/ja/q/a4318791-dbbf-44ac-8416-a141860b8794 )
残り二つはどういう意図があって言ったのか覚えていませんが、昔のツイッターでの私はキツい下ネタをガンガン言うようなキャラでした。どれも本気で思って発言したわけではないと思いますし中高生の下ネタに対してムキになってる大人と戦いたくないんで鵜呑みにしないでください。
オタク文化の中では、性的な発言がかなり自由に飛び交っているような場所があります。これは実際の女性に対してそのような思考を持っている人だからではなく、インターネットの発達によってそういった欲望があっちこっちに飛び回り飽和状態になっているのが原因です。私なんか相手にしなくてもそういう状態になって際どい発言をしている人は沢山いますし、エロ漫画を描いてる人のほとんどがそうだと思います。常に女性差別に関心を抱いて間違った因子を叩くことしかしてない人たちとは住む世界が違うんです。
というわけでどれも実際の女性を見下して発言したわけではありませんし、まだ自認がしっかりしてなかった過去のツイートを探してまとめてんの見苦しいです。というか探せば男性に対しても性的なツイート見つかると思います。印象操作やめてください。

というかこんなことまで細かく説明しないとわからない事態になるなんて思っても見なかったんだよ!


【8/18 追記】

この文章を書いて投稿するちょっと前くらいに、新たな私のツイートまとめ画像が誰かの手によって作られました。これを投稿した時はまだついさっきの出来事だったので放っておいたのですが、流石に上記の「中学生だった頃の節操のない下ネタ」という言い訳では済まなくなってきたので、触れないのはフェアじゃないなと思いました。
皆さん見飽きてるとは思いますが、今一度例の画像を


はい。
いや、自分で見返してても本当にひどい発言ばかりです。「他の人だって発言してる私だけじゃない」といくら騒いだところで私の発言の罪は軽くなりませんし、言い逃れできるものではありません。
再度話しますが、この時期の私はかなり荒れており、ちょうど2016年頃は本当にピークの時期でした。身内のフォロワーさん達とタイムライン上で毎晩のように猥談をしていましたし、それもどんどんとエスカレートしていました。下ネタと言うだけでは擁護できないレベルに。
漫画内で「性自認を改めたのは中学生頃」とありますが、2016年の中3の時期でまだ自認は完全には改まっていません。女装を覚え始めたのがこの時期でしたし、そこから女性になりたいという欲求が芽生え始めたのも今まで再三話してきた通りですが、当時の私は「女性になる」ということがどういうことかまだ理解しきっていませんでした。
今になってかなり知識が増えたおかげで、過去の発言が如何に危ない思想であったのか理解できるようになりました。「ツイッターでの発言なんかで人を判断することはできない」と思っていたのですが、ツイッターで自己表現をするときにそれがそれだけ尾を引くか身に染みて思い知らせれています。
私が今なりたいと思い憧れている性の人たちは、普段からこのような恐怖に怯え、男性に、そして私に立ち向かっていることを改めて理解しました。同じ土俵に入りたいと言っている輩の背中にこんなものがくっついていたら怪しまれるのは当然です。

私の過去のツイートで不快だと感じた皆さん、本当に申し訳ありませんでした。

一度燃え盛ってできた火傷はすぐに癒えることはありません。私がいくら謝ったとて、私への印象がすぐに変わるわけではありません。いつまでも私は何も考えてない中学生のままで定着してしまうかもしれません。
ですが信じてください。私はあの頃とは確実に違います。5年も経てば知識も増えますしもっと広い目で物事を見れるように成長できます。下ネタというか度の過ぎた性的発言は明らかに少なくなっています。7コマ目の「ツイートする内容は変わらない私は前からこんな感じ」はこの発言を指しているわけではありません。私の好きなアニメ漫画ゲームの話や、もっと他の日常的なツイートのことです。
わざわざ触れなくてもいいものを言及して信じてほしい、私は変わったと訴えています。あなた方は中学生が言った性欲丸出しな発言と、人生の転換期に新しい一歩を踏み出したくて前へ出た私の告白、どちらを信じてくれますか?


と、こんなところでしょうか?全部には答えられていません、申し訳ないです。これで私を叩きたい人たちは景色が広がったんでしょうか。そんなことはないと薄々感づいてしまいますがそう願いたいですね。

で、ここまで語ってきてそろそろまとめをしなきゃいけないわけですが、これがどうにも苦手なんですよね。
何せ私が伝えたいことはだいぶ出尽くしてしまったし、本当だったらあの漫画だけで十分だったんだけど、あれはどうだこれはどうなんだと揉まれに揉まれてしまって自分の論が薄れつつあります。
しかし私の芯の部分は今も変わってはいません。私はまだ女性として生きていきたいし、私をそう突き動かす原動力が間違いだとは思っていません。
3日間かけて炎上した結果、何も変わらなかったということですね。

【8/18 追記】
嘘ですね。ちょっと反省してますね。間違いだと思ってないのは私がトランス女性であることであって、過去の発言は明らかに間違いですよね。その件は本当にごめんなさい。

再度言いますが、LGBTの問題を抱えている人だけでなく、なんらかの人権問題に悩まされている人、そしてそれを目撃した人、近くにいる人たち全員に言えることなのですが、これらの問題を解決する一番の行動は「誰も気にしないでいること」です。黒人であろうが在日韓国人であろうが、私のようにトランス女性であろうが、その人がそうであることを気にしなければ、そこから問題が生まれることはありません。いつどこで犯罪が起きるか分からなくて怯えてしまい、全体に対して批判の声をあげる気持ちはわかります。ですが、批判はその立場にあやかって犯罪をする奴がいた時のみ、そいつだけにすればいいことです。知らない奴が犯した知らない犯罪のせいで私が炎上するのはお門違いです。
私は女性差別や性的搾取を受ける恐怖に怯える人の気持ちを完全に理解することは出来ません。私が恐怖に感じる人たちもいるでしょう。ですが他人を縛り上げて自分たちの自由を確保する道は何も変わらないと思います。私を叩くのは私がこの立場を利用して女性トイレに入り女性に手を出してからにしてください。

改めて、私の誕生日を祝ってくれた皆さん、私を応援してくれた皆さん、本当にありがとうございます。否定派のからのコメントが無ければ本当は全部に感謝の返信をしたかったのですが、一度「これ以上触れない」と発言してしまったためこんな形での対応になってしまいました。ご了承ください。
今回の騒動で、色んな性の形、色んな人生を歩んだ人から励ましの言葉をいただきましたし、この問題は私一人が抱えているわけではないと思い直すことができました。私が気づかぬうちに皆さんに分け与えていた勇気が、皆さんの中からまた伝達しあい、LGBT全体に広がっていけば幸せだと思います。

本当に長文になってしまいました。果たして読み切った人はいるのでしょうか。あの漫画と違って大多数に発信することを目的とした文章がこれでいいのか不安で仕方ないです。ではまた、この文章が燃え始めたときにでもお会いしましょう。

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