S.J.ボルトンとシスターフッド。

『三つの秘文字』『毒の目覚め』『緋の収穫祭』とS.J.ボルトンまとめ読みをしたわけですが。

幾つかのレビューサイトを見るに、1作目より2作目、2作目より3作目のほうが評価が高い。ホラーっぽい雰囲気の導入部から盛り上げて、謎解き、幕の降ろし方までのバランスは3作目が1番いいのだろう、それはわかる。

でも、個人的な好み、血沸き肉躍る度からしたら圧倒的に1≧2>3なのである。ボルトン作品で減少していった要素は何か。それはシスターフッド、女の友情だと思う。特に1作目の夜の逃避行シーンは、想像できる風景の美しさ、募る悲しみと共に心に残る。

1作目2作目に共通なのは、人づきあいが上手くなく、劣等感の強い女性が主人公であり、主に彼女の視点で物語が進んでいくことだ。専門職に就いており高い評価を得ているものの、親しい女友達がいるわけでもない。色恋がうまくいっているわけではない(少なくとも、新たに知り合った男性に心が動く程度には)。周囲から「優しい人」と思われていない。

そんな彼女たちが、同じく孤独な女性と知り合い、互いに「相手の為に何かする」気持ちを少しだけ芽生えさせるシーンが好きだ。そして3作目に足りないのはそこなのである。

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