#出版物の総額表示義務化に反対します

恥ずかしながら、来年の三月に免除が切れること知りませんでした…

これは大変だ、ということで各府省への政策に関する意見・要望として送ろうと思ったのですが、2000字までイケるっぽいので文章にまとめました。出版業界には正直詳しくないので、間違っていたり不足している部分については加除訂正は自由ですので、よかったらコピペして使って下さい。

―――以下本文―――

1 意見の内容
  出版物を始めとする流通期間が長期に及ぶものについて、期限を定めずに消費税額を含めた総額表示の義務を免除することを求める。

2 意見の理由
①総額表示の義務化に正当な理由がないこと
 そもそも、消費税の総額表示が義務化されたのは、実際に支払う商品の総額が一目でわかるようにして消費者の利便性に資するためである。
 しかし、消費税の導入から30年以上経過した現在、消費税が課税されることは、購買活動の当然の前提となっており、税込みか税抜きかの表示さえ明らかであれば、消費者が総額を把握するのは容易である。
 また、出版物の総額表示免除がなされてから15年以上経過するが、その間、出版業界において消費者の混乱を招いたという事実もない。
 消費税率が段階的に上げられてきた経緯や今後の消費税率の変更についても報道が出ているという現状に照らすと、むしろ総額表示の方がどの時点での税率に基づく総額かがわかりづらく、かえって消費者の混乱を招きかねない。
②事業者の負担が過大であること
 2021年3月31日をもって消費税額を含めた総額表示の義務免除が終了となり、出版物も表示義務が課された場合、事業者には表紙カバーの刷り直しまたはスリップの差し替えという負担が生じる。これは、食料品などの他の事業でも生じる負担ではあるが、出版物を始めとする流通期間の長い商品については、消費税率が変更されるたびに、これまで販売されていた全商品を回収して上記対応を強いられることになる。しかも、本邦においては、消費税が 1989年に導入されて以降、導入時及び税率引上げ時に、一律一斉に価格が引き上げられるものとの認識が広く定着しており、消費者の混乱を回避するためには、今後消費税の切り替えが生じるたびに一斉に総額表示変更の対応をせざるを得なくなる。
③国民の不利益にもつながること
 もとよりの出版不況に加え、新型コロナウィルス蔓延に伴う自粛によって出版業界が打撃を受けていることは、論を待たない事実である。②で述べた対応を強いられた場合、事業継続を断念する事業者が出てくることは十分に予想でき、今後はさらに出版業界の淘汰が進み、出版物の多様性が失われることになる。
 出版は基本的人権である表現の自由の一手段であると同時に、表現者以外の消費者にとっても、その人格の発展に資するものである。
 そのような社会的役割を有する出版物について、①で述べた通り正当性のない負担を負わされた小規模事業者が淘汰されることになれば、絶版となる出版物が続出することになり、国民の多種多様な出版物へのアクセスが困難となって国民の思想表現の多様性が失われることになりかねない。
④まとめ
 以上述べてきた通り、総額表示の義務化には正当な理由がなく、事業者に過大な負担を強いるもので、引いては国民の不利益につながりかねないものであるから、出版物を始めとする流通期間が長期に及ぶものについて、期限を定めずに消費税額を含めた総額表示の義務を免除することを求める次第である。

以上