ベーコンを焼く音


ベーコンを焼く音って、安眠に良いらしい。

どこで聞いたのか、拾ってきたのかも
さっぱり覚えていない話。

雨の音に近いから?
とかそんな最もらしい理由も一緒についてた気がするけど、この際理由なんか
覚えてなくても良い気がした。

出所不明でも、この幸せな気持ちになれる
美味しい説を、私はずっと大好きでいる。




疲れた時に度々思い出しては、
「今日、ベーコンしちゃおうかな」
なんてスーパーで、めちゃくちゃ分厚いベーコンブロックをウキウキで仕入れてきたりする。

「ベーコンって意外とお値段するから、中々買えないんだよねー」

友達と一人暮らしのあるあるトークを繰り広げる私も、この時ばかりはご褒美を言い訳に
全力で財布の紐を緩めていきたいと思う。


買うのはペラいのじゃなくて、ブロック。
それはもう、普通に焼いても絶対火なんか通りっこなさそうな、重厚な肉の塊を選ぶ。

冷静になって考えればわかることなんだけど、
あれは薄く切って、
何日かにわけて使うのが正解なんだろうね。

私は「そんなことは知るかー!」とばかりに、
自分の心に正直に、
それはもう、とびっきりワイルドに。

えいや、とそのままブロックごとフライパンにぶち込んでいきます。最高!!
(疲れた頭に、正常な判断能力などない)



今の話の流れで、
万が一にもやっちゃう人がいるかもなので
話しておくべきことが1つあって


この話、そもそもは、
「ASMRとして、ベーコンの焼く音を聞いて寝ると良く寝れるよ」って意味なので

本当にベーコンを焼けなんて誰も言ってないし、説を提唱した人も、「まさかベーコン焼きながら寝る人間などいないだろう」と思っている。

ほぼ確定で、火事になるよ…

多分作ってる最中で、10割の人間は
「あれ?安眠??」って気がつくと思う…

両立出来ないそこに、安眠はないのです。



じゃあなんでお前はベーコン焼いてるんだ?、
となると

私だって、初めてこの説を聞いた時はさすがに
いきなりベーコンなんて買ってこないで
きちんと焼く音の動画を調べたんだけど、

(YouTubeって本当になんでもあるんだなーって、関心通り越してビックリしちゃうよね)


お布団に寝転がって、ベーコンがパチパチと
焼けていく音を、目を瞑って聞いていて

「確かに雨の音に似てるかしら?焚火のが近いかも?」なんて、考えたりもしてた。


ひとしきりパチパチ音が流れた後、
少し音が途切れたタイミングがあって、
終わった?って動画を止めようとした瞬間だった。


モシャモシャ……モグモグ。


(………??いやいやいやいや唐突な咀嚼音!
これは、絶対の、絶対に!
ベーコンを焼いて出る音じゃないよね?)


パッと目を開いて慌てて画面を見たら、
案の定…!
動画の最後に、投稿者がムシャムシャと!
焼いたベーコンを喰らってたわけです!!!

なんと贅沢に、卵までのせて!!!!


「食べ物は粗末にせずに食べようね」って思う私だってさすがにこの時に限っては、
「スタッフが美味しく頂きました✌️」
はテロップだけでいいよ、と思っちゃった。


眠ろうとしてたのに、この高鳴るお腹、
どうしてくれるんだろうか。

それで、唐突でお呼びではない飯テロに
何だかちょっと騙されたような気さえしてきて

グーと主張するお腹に困り果てながら、
「どうせ聞くなら、ベーコン焼いて食べてやろう」と強く思ったわけです。

事の顛末はこう。



結局、行き着いた先は動画投稿者と同じ
「せっかくなら食べよう」だったけど、これはどうにも仕方ないことだと思った。

人類誰しも、深夜のベーコンには勝てっこない


そりゃ元も子もない話をさせてもらえば
実際眠るだけなら、雨音でいいんだけど

私はどうしても分厚いベーコンの方で、
疲れを癒したいという気持ちがある。

なんたって、ワクワク感が違うのだ。


このワクワク感については、
「夜にベーコンを食べることをどう思うか」
に起因してくるんだけど、

食べ物って、何となくこれは朝食べるとか
これは昼とか、自分の中で決まってるものがあるよなぁ、と私は常々思っている。



焼きそばやパスタは昼。
コロッケやハンバーグは夜、みたいな。

それでいうと、私の中でベーコンは朝食。


何となくそんな自分ルールがある中で、
寝る前にベーコンをジュージューと焼く行為は、ちょっと楽しい気持ちになれる。
非日常を感じる時の、特別な気持ち。

香ばしい香りの中、
ベーコンが弾ける軽やかな音と一緒に、
疲れまでが弾け飛んでいく気がする。

その後、巨大ベーコンを黙々と食らいついて食べる贅沢さ。
卵やチーズなんかを、のせてもいいね。
お酒の、おツマミとしたっていい。



そうしてお腹いっぱいの中、1日のおしまいに
ベーコンが焼ける音を聞きながら寝るんだ。
夕食を思い出して、ホクホクとした気分で眠りにつくことができる。

これがちょっと疲れちゃった日の、私の夜の過ごし方になっていたりする。

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