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#14 夏バテに『干物』

最近,干物にハマっている。

暑くて食欲がないなぁー
と思っていても、
夕食の時間は刻々と迫り、
火を使う料理は作りたくない…
と焦る夕暮れ時。
さぁどうする?!
どうしよう…

そう、
こういう時に
最近頼りにしているのが

『干物』

これが抜群なのだ。

干物を焼く香ばしい香りが漂ってくると、急に食欲が湧いてくる。
皮はパリッと、
身はふっくら
口に入れた瞬間に、
脂があふれだし
濃厚な味が広がる…
たまらなく美味しい。

夏バテしそうな身体を救ってくれるタンパク質やビタミンなども多く含まれ、栄養価も高い、熟成することでアミノ酸が増加し、うま味も最高潮。
そして食べる前に
焼くだけという手軽さ。
全てにおいて優秀で、
主婦の味方。

・・・と気がついたのは、
つい最近のこと。

今まで私の干物扱いは、
ひどかった…
”朝ごはん用”にと、
冷凍庫で
いつ出番かわからないが
とりあえずキープをしておき、たまーに、気が向いた和食の朝ごはんの時に、登場させる都合の良い食材だった。
だって、
魚は、やっぱり新鮮な魚をお刺身や焼魚や煮魚で食べるのが一番!夕食のメインに干物なんて…と思い込んでいた。

月に一度、義父と木津市場(大阪のナンバにある一般人も買えるこじんまりとした市場)に買い出しにいく。
新鮮できれいな食材が充実し、近所には売っていないような目新しいものもある。
食べることが大好きな義父にとっては、市場でのお買い物は唯一の娯楽なのだ(今年で90歳だが、食べることが好きなだけにすこぶる元気だ)
義父が必ず買うのが、お気に入りの「サンマの干物」。
義父の選ぶものにハズレはないので、私も便乗し、買ってはいたものの、『干物』っていうだけで、なんのためらいもなく、即冷凍庫行きだった。
その干物には「ハマノ」というシールが貼ってのは、なんとなく記憶していたが、特に気に止めることもなかった。

ハマノさんの灰干しサンマ

ある時インスタで、新鮮な魚をさばき、美味しそうな干物をアップしている投稿を見かけ、プロフィールを覗いてみると、「ハマノ」となっている。
あっ あのサンマの…
わざわざ大阪まで買いに行っていたが、なんと近い所で作っていることを知って、すぐに工場に訪ねてみた。

息子ほどの可愛いお兄さんが、(勝手におじいさんを想像してた)
冷凍庫からあらゆる種類の干物を出してくれた。
サンマだけでなく、定番のイワシやサバはもちろんのことアナゴやキンキ、高級なノドクロや金目鯛まで...
その他にも旬の魚をいろいろ干物にしていると云う。

よく肥えたキラキラしたお魚さんたちがキレイに開かれ、ピチッとラップに包まれ、とても丁寧に扱われているのがわかる。
全種類を即購入し、その日の夕食から、急にメインへと踊り出たのだ。

まずは、地元で獲れたという金太郎イワシを戴いた。
イワシ?と思えない程大きく立派である。
これが、臭みもなくジューシーでなんとも美味しい。
今までの串挿しされ並んだ塩辛いイワシとはぜんぜん違う。

ハマノさんの干物は『灰干し』と云う製法で作られているそうだ。

砂風呂のように、魚の灰干し中

新鮮な魚を開き、塩水に一定時間漬けて、自然の火山灰をかぶせ、水分を吸収させる。空気に触れさせないので酸化せず、臭みもなく、表面も乾かないので身がふっくらと仕上がる。

丁寧な手作業で捌かれている。
塩水に入浴中
ラップされた金目鯛

熟年の感覚で、素材に合わせ、塩水に漬ける時間や濃度、使用する火山灰の配合などで美味しさを左右されるのだろう。
この深い味わいは、テマヒマかけて作られているからだったのだ。
これは美味しいはずだ!

一夜干しや天日干しぐらいしか今まで知らなかったが、干物の製法もさまざまな知恵で発展しているようだ。
こんな美味しい食べ方をどうして忘れていたのだろう。

縄文時代から食べられていたという干物は、先人の知恵の賜物。
冷蔵庫がない時代、干すことで細菌や微生物の繁殖を下げ保存性を上げ、腐りにくい。
自然の影響で収穫が左右される魚介類は、多く獲れた時に保存をし、また海がない地域へ持っていくこともできる。
干すことでうま味も増加し、栄養価も高いと、一石三鳥なのだ。

今年の日本の夏の異常気象を体感すると、ますます温暖化が進み、海の生態も急速に変わっていくのではないかと心配になる。
貴重な水産資源を守るためにも、獲りすぎた魚はロスにはせず、干物にして美味しく食べきるとかはできないものか…

『干物(灰干し)』が、
もっともっと陽の当たる存在になってほしい。
熟成肉は、一時期ブームになったのだから、熟成魚もブームにならないだろうか…

今日はどの『灰干し』を食べようか⁉︎








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