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ヒューストン・アストロズのオフを考える

2022年にワールドチャンピオンに輝いたヒューストン・アストロズ。

昨オフはJustin Verlanderの流失こそあったもののJose Abreuとの契約、Rafael Monteroとの再契約、Michael Brantleyの復帰、LMJことLance McCullers Jr.のフルシーズンと地区優勝は確実、なんなら21世紀初の2年連続ワールドチャンピオンも狙えるのではないか?と言われていました。

しかし蓋を開けてみればAbreuとMonteroの不調、Brantleyの復帰が遅れに遅れて結局わずか15試合の出場に留まり、LMJに至ってはシーズンを全休。なんとか地区優勝こそしたものの2位のTEXとのゲーム差は0。
TEXとのALCSでは、シーズン中から苦しんできたホームミニッツメイド・パークで一勝もできず敗退となり、2023年シーズンはここで終了となりました。

補強組の成績を眺める僕

正直かなり期待外れのシーズンでした。
特に投手陣に怪我人が続出した上、トッププロスペクトのHunter Brownが投げる度に大炎上したことで先発補強をしなければならなくなった結果、トレードデットラインではチームの2大プロスペクト、Drew GilbertRyan Cliffordを放出してJustin Verlanderを連れ戻す悪夢の様なトレードが敢行されました。

Brownが燃えた時の僕
悪夢のトレード時の僕


Verlanderの獲得自体は成功と言えますが、昨年オフに簡単に流失させた選手を年俸負担があるとはいえトッププロスペクト2枚を差し出して連れ戻すのははっきり言って論外です。

また、Dusty Bakerの采配もかなり不可解であり、特に打率.282 OPS.846 war3.2Yainer Diazを異常に冷遇し、打率.191 OPS.606war0.2Martín Maldonadoを正捕手とする采配は年間を通して疑問の残るものでした。
おそらくFramber ValdezなどがMaldonadoと組むことを望んでおり、Bakerがそれに応えたものだと思いますが、37歳で打撃守備共にリーグ最低クラスの選手を正捕手に据える采配は、今年勝つためにも将来のためにもならない最悪のものでした。

不可解な捕手起用を見る僕


とまあここまで2023年のアストロズについて語ってきましたが、ここからは2024年に向けての話。
今年悔しい結果に終わったアストロズが来年再びワールドチャンピオンになるためにはどこのポジションを補強するのか。これを私なりに考えていきたいと思います。


さて、Mauricio DubonChas McCormickなど、新戦力が毎年出てくるアストロズ。しかし育成だけではやはり限界があります。もちろん育成も大事ですが、それだけにこだわっていては世界一のチームは作れません。補強をすることでチーム全体の層を厚くする必要があります。

私が考えるアストロズの補強の優先順位は
1.Yainer休養時の捕手候補
2.左打ちの外野手
3.リリーフ投手
4.耐久性があり、それなりのクオリティでイニングを食える先発投手

です。

しかし今年のFA市場は大谷翔平というMLB最高の選手以外の野手は不作であり、その大谷もYordan Alvarezがいるため獲得はほぼ無いでしょうし、ペイロールもそこまで余裕が無いため、Cody BellingerBlake SnellなどのトップFAには手を出せません(個人的にBellingerは嫌いな上に地雷臭がすごいので手を出さなくて良いのですが)

その中でまず捕手補強をするとなるとパッと浮かぶのはYasmani Grandalでしょうか。

今年のGrandalは2022年に続いて攻守共に低調なパフォーマンスに終始し、warは-0.7でした。守備面に目を向けるとDRS-19、2021年以降の3シーズン全てでマイナスになっており、今のGrandalに守備を期待するのは酷かもしれません。
しかし打撃に目を向けると、去年の.202 OPS.570からは多少成績を戻しており、野手有利のミニッツメイド・パークであれば控え捕手として十分な打撃を期待できるかもしれません。

またトレードでWSHからRiley Adamsを獲得するのも一つの手です。

Adamsは控え捕手ながら143打席で.273 OPS.807とそれなりに打てる捕手であり、その上まだ27歳でFAも最速で2028年と、衰えを心配する必要がありませんし、数年の戦力として計算できます。守備はお世辞にも上手いとは言えませんが、そもそもYainerのDRSは12と守備は上手い方なので、そこまで守備を考えなくてもいいでしょう。
問題はWSHがAdamsを出すかですが、まあそこはDanaが上手くやってくれることを期待します。


次に左の外野手候補ですが、Bellingerに手を出せないとなるとKBOからポスティングしたイ・ジョンフでしょうか。
イ・ジョンフは2022年までのKBO6年間で通算打率.342 OPS.902と無双しており、その上まだ25歳と非常に若い選手です。
今シーズンは7月に左足の靭帯損傷という怪我を負ったことで86試合のみの出場に留まったものの、それ以前のシーズンでは安定して出場しており、140試合を下回ったシーズンが2シーズンのみと、頑丈であることも魅力です。

アストロズは今年レフトにYordan AlvarezChas McCormickJake Meyersなどを起用していましたが、Yordanは守備力が低い上に怪我が多いためできれば守らせたくない、Jakeは守備は上手いが打撃に難があるためそもそもスタメンで使いたくない、かと言ってChasほどの守備力の選手をレフトで使うのはもったいないといった状況です。

仮にイ・ジョンフを獲得するとセンターにChas、レフトにイ・ジョンフという布陣を組むことができる上に、長年Michael Brantleyが担ってきた高打率枠にそのままはめ込むことができるため、イ・ジョンフはアストロズの補強ポイントにピンズドの選手であると言えます。
獲得するにあたっての障害はペイロールがカツカツといったところでしょうが、流石に20M〜30Mまでは高騰しないと思うので、真面目に獲得を目指して欲しい選手です。

他の左打ちの外野手でいくと、最も安く済むのがBrantleyとの再契約でしょう。今シーズンわずか15試合の出場に終わったBrantleyですが、54打席で.278 OPS.724と長打が少ないが故にOPSこそ低いですが率は残せます。
しかし年々低下する守備力、2年合計で79試合出場しかできてない点など総合的に考えると再契約はほぼないと言っていいと思います。正直半減の6Mですら高いと思いますし、そこまでして彼を残す理由もありません。

となると左打ちの外野手補強はイ・ジョンフの獲得を目指すのが良いのかなと考えています。


さて次にリリーフ投手です。と言ってもここは簡単な話で、MatonStanekを残留させ、もうひと枠を適当な選手で埋めるでいいのかなと思います。
Nerisは?と思われるかも知れませんが、彼は平均8.5Mとそもそも高く、その選手がわざわざオプションを破棄してFAになった。つまりMonteroと同額がそれ以上の額になることが予想されます。彼は来年35歳であり今年の成績自体は素晴らしいものの、今年のBABIPは.219と彼の通算成績と見比べてもだいぶ低く、運に恵まれていたことが分かります。

NerisのBABIP


このような点からわざわざNerisを呼び戻す必要は無いかなと思いますし、リスクが高いと思います。
となると誰と契約するかですが、個人的に取って欲しかったReynaldo LópezがATLと契約してしまったので、ここはとりあえず市場に残った適当なリリーフを拾うか、はたまたアストロズお得意の育成でどうにかするか。今のところはこれかなと思います。


最後に先発投手ですが、これはほぼ必要ないと思います。というのもおそらくLMJが来季開幕には復帰できていると思いますし、Luis Garciaも早ければ9月には戻ってこれるでしょう。
そして現状の先発ローテ候補を見てみると
Framber Valdez
Cristian Javier
Justin Verlander
Lance McCullers Jr.
J.P. France
Jose Urquidy
Hunter Brown
Brandon Bielak

とパッと思いついただけでもこれくらいいますし、MLB全体を見渡しても好投手揃いだと思っています。なので先発補強は必要ないとは思いますが、耐久面で信用できるのがValdezとJavierくらいなので、1枚くらいイニングを食える先発を取ってもいいかも...?とも思っています。

では誰がいいか。個人的にはLucas Giolitoを推しています。

Giolitoは2022年こそあとアウト1つ分規定に足りなかったものの、怪我が少なく一定のクオリティでイニングを食ってくれます。29歳で耐久力のあるGiolitoはそこそこ高くなるでしょうが、狙ってみてもいいのかなと思います。


とまあ私が考えるアストロズの補強ポイントと選手はこんな感じです。
もちろんアストロズにはいない球速で制圧するJosh Haderのようなパワーリリーフもいますし、左打ちの外野手でいうとBellingerなどもいますが、ペイロールがカツカツな点、ただでさえプロスペクトが不足してる中でQO選手に飛びつく理由もないため、無理してここら辺を狙う必要はないと思います。


さてここまでアストロズにして欲しい補強についてダラダラと書いてきましたがいかがでしたでしょうか。
今までMLBの記事は知識不足などもあり、1度も書いてこなかったのですが、今後は少しずつ書いていけたらなと考えています。

最後にはなりますが、今年は本当に悔しいシーズンでした。怪我人が続出し、夏には悪夢の様なトレードが行われ、最終的にはALCS止まり。今年の期待値を考えるとがっかりのシーズンでした。
しかし来年はJoe Espadaを新監督に迎え、怪我人も戻ってきます。Altuveも(多分)開幕からいます。
そんな中でアストロズがどんな戦いを見せてくれるのか。また僕たちファンに世界一の光景を見せてくれることを信じて、今回はここまでにしたいと思います。

それでは、ここまで駄文を読んで頂きありがとうございました!

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