夢小説のようなもの1

推しの弟の友人になって年上の推しを見る青春時代を過ごしたかったな、という気持ち悪い夢小説っぽいなにか。
推しの弟の名前は色を逆にして橙希くんになったよ。
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『橙希、久しぶりにゲームやらね?』
『いいよ。やろやろ。いつもみたいにうちでいい?』

LINEを送るとすぐに返事が来る。
こういうところが陽キャグループでもしっかりやっていく秘訣なんだろうな、と思いながら日時を決めていく。

橙希とは小学校の頃からの友人である。同じ学区だが家はいうほど近くもない。ただ、自分がゲームが好きで、橙希の家にはなぜか色々なゲーム機が置いてあったので、当時からよく遊び、高校生になった今でも2~3か月に一回は彼の家に遊びに行かせてもらい、一緒にゲームをしたり、お菓子を食べながらお互いの日常をだらだら話したりしている。

次の日曜日、彼の家に行き、チャイムを鳴らす。もう今更の関係なので鳴らした後は勝手にドアを開けて入っていく。
「こんちわー。梅雨ですー。」
「おー。こっちー。」
聞きなれた声がする。
靴を脱ぎ、リビングへの扉を開けるとそこには橙希と、

美しい女の人がいた。

「おっ、梅雨くんじゃん。久しぶり。」
「あ…うす…ルリコさん。お久しぶり…す…」
後半は照れながら消え入りそうな小さな声であいさつをする。

彼女はルリコさん。橙希と少し年の離れた姉で、今は大学生をしている。
当然彼女とも小学校のときからの知り合いで、3人で一緒にゲームをしたり、時にはルリコさんがやっているのを2人で眺めてたり、代わりにレベル上げをさせられたりとひどい目にもあってきた。

だが、その思い出も踏まえて、僕の初恋の人であり、いまだにその恋心は消えずにくすぶっている。

橙希には悪いが、僕が彼の家に何回も来るようになったのはゲームだけじゃなく、彼女に会えるかも、という目的も同じくらい大きかった。

画面を見ると今は自分が来るまで2人でスマブラをしてるようだった。
「はぁwwざっこwwww」
彼女のピカチュウが容赦なく橙希のネスをバットで吹き飛ばす。
この時見せる彼女の笑顔は昔の面影を残しつつも、よりきれいになっていて、思わず胸が高鳴った。

「顔真っ赤だぞww・・・さて、そしたら時間だし行ってくるわ。留守番頼んだぞ。家から出んなよ。」
そういうと彼女はカバンを持ち入れ違いに出かけて行ってしまった。

残念な気持ちもありつつ、明らかに不機嫌な橙希に声をかける。
「このままスマブラやろうぜ。にしても、あいかわらずルリコさんゲームうめぇな。」
「暇さえあればずっとゲームしてるからな、ねーちゃん。移動中もGBAで昔のソフトやってるっぽいし。もう中毒だよ。中毒。」
そういって橙希はさっきまでルリコさんが使っていたコントローラーを渡してきた。
結構な時間遊んでいたのか、コントローラーには温かさが残っており、触っただけで体温が伝わるような気がして、ドキドキしながらそれを受け取った。

1時間ほど戦い、通算では橙希の勝利数が上回ってきたこともあり、機嫌もよくなってきたのでいったん休憩する。
ポテチをつまみながら、お互いの学校の不満点などをだべっていると
「あ、そーだ。ねーちゃんで思い出した。こるの前ねーちゃん声優のオーディションに受かったらしい。」
「えっ?マジで??ルリコさん大学生じゃないの??」
「なんか俺もよく知らんけど。えっとなー」

そういうと橙希はテレビの下に置いてあるゲーム機ゾーンから一冊の雑誌を取り出した。
よく知らんけど、とかいいつつ、すぐ出せるとこに置いてるじゃん、
と心で思っていると
「ほら、ここ。写真と一言が載ってる」
彼が見せてくれたのは声優特集がされている雑誌のようだった。
自分はゲームは好きだが、声優やアニメの雑誌を買うほどでもなかったので、そんな雑誌が存在することすら知らなかったが、そこには白黒で小さく
ルリコさんの名前と、よそいきのキリッとした表情の写真が載っていた。
「本名じゃなく、芸能人?なら芸名とかつけたらよかったのになwwあと普通こういうのって笑顔で撮らね?真顔w」
橙希は笑いながらそういうが、あまり自分の耳には入ってこなかった。

憧れの人が、遠くの世界に行ってしまう気がして。

それから何本か別のゲームをしたのち、僕は橙希の家を出た。
帰りに本屋に立ち寄ってあの雑誌を探してみる。
アニメ・ホビーの欄に並んでいるのを発見し、一度手に取ったが、もう一度その写真を自分の目で確認したら遠くへ行ってしまう予感が確実になる気がして、結局買わずに雑誌を本棚に戻し、そっと家に帰った。

ルリコさんと昔3人で悩みながら楽しんだゼルダがきっかけで大きく知名度を上げることになるのは、この2年後のことである。
僕はその時、笑顔で番組をみれていたのだろうか。

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もう金でも言ってたけど、なんで推しをテーマにするとバッドエンド、ビターエンド気味に着地したくなるんだろうか。
推しには自分以外と幸せになってほしいんだ。

あと、シチュエーションありきでノリで書くと、最後の締め方が全然わかんない。






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