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【エクストリーム帰寮】ゆるふわ20km勢のつもりが無念のリタイア、そして再走へ

0.はじめに

こちらはエクストリーム帰寮2021 Advent Calendar 2021の20日目の記事です。

エクストリーム帰寮とは、京都大学熊野寮の寮生が主体となって11月末に開催される熊野寮祭の企画の一つです。車でどこかへ連れていかれて降ろされ、そこから寮まで歩いて帰るという内容で、現金を持ってのスタートは非推奨(なお道中で稼ぎ、それを使うのはアリ)、地図アプリは禁止、ヒッチハイクは禁止というルール(詳しくはこちらを参照)。

私は同行者と二人でエクストリーム帰寮に参加しましまたが、その道中や、反省会、それを元にして後日再走した様子について記します。

1.希望の出発

寮を出る前、運営が売ってる詰め放題100円のパンをゲット!完全にピクニック気分です。

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運営からもう一つ、反射タスキ(下の同行者のツイート参照)を提供いただきました。夜間の車道を歩くには何らかの光を発するものが必要かと懐中電灯は持参していましたが、これは手が空くので助かりますね。

スタート地点まで連れて行って貰うドライバーさんとマッチングします。私たちはポケモンのヤドンの着ぐるみを着たやどんさんでした。この方は、手ぶら着ぐるみで鈴鹿から帰寮成功した方で、その壮絶な経験はこの記事で見られます。

私たちはスタート地点を熊野寮から「直線20km」と指定したので、半径20kmの円周のどこかに降ろされることになります。多くの人は30km以上ですが、普段運動をしないので……。

帰寮開始は2:40、とりあえず電波は通じるようです。か、還来神社……?(※もどろき)

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綺麗な公衆トイレでここが大津市だとわかります。初めからトイレに行けるのは有り難すぎる。

さらに、下弦の月を見て方角を確認、ここが琵琶湖西岸の山奥だということが分かりました。道は山を登る方向と下る方向の二手に分かれておりましたが、山を延々と進むルートよりも、湖西の街に下りて山科経由で帰京が賢明と判断、下山を選択します。以下はこの時点での脳内地図です。

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歩き始めようとしたところで、颯爽と登っていく帰寮者と遭遇。逆行しているのでしっかり不信がられます。

それでも自分たちのルートが正解だと考え、下山開始。まあ10時には帰れるだろうと、たかを括っていました。

2.京都から離れていく疑心暗鬼の2時間

スタートから20分後の3:00、ようやく青い看板を発見。琵琶湖大橋に向かっていることが分かり、脳内地図がそこそこ正しいことが確認出来ました。

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しかし、すぐに「京都」方面を逆方向に示す看板も発見。単純な距離で言うと離れて行っている覚悟はあったつもりでしたが、どちらが正しかったのか不安に。

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さらに3:45には「京都」までの距離が書かれた看板も。直線20kmで指定したのに、京都まで24kmの不思議……。しかし、ここまで1時間歩いてきているので、今更引き返せません。

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正直かなり弱気になっていました。

この時点での脳内地図はこんな感じで、雄琴の南方、比叡山坂本のあたりで街に出られると思っていました。

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4:15、湖西道路に突き当たり、ついに進行方向に「京都」の2文字が出ました。ついに我々は肯定されましたが、既にスタートから1時間半近く経っていたので複雑な心境です。

なお湖西道路は自動車道なので、さらに琵琶湖に近づき、南下できる道を探すことになります。さらに30分後の4:45、ようやく県道558号で南に向かえるようになりました。

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3.悲喜こもごもの湖西南下

ついに開始した湖西南下でしたが、5:00、初めてまともに休憩が出来るとウキウキで入った堅田駅で、大きな認識ミスに気付きます。

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堅田駅は比叡山坂本どころかおごと温泉よりもさらに北。山科は想像以上に遠かったのです。

以降、JR沿いでの南下を開始。6:00にはおごと温泉駅の近くを通過、そしてこの看板を見つけます。

雄琴温泉は今年の春に友人たちと訪れたことがあり、宿泊した旅館に再来。

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ちなみに、この湯本館は部屋も料理も温泉も最高だったので、オススメです。それにしてもこんな形でまた見ることになるとは……。以下は以前訪れた時のツイート。

7:10には比叡山坂本駅に到着し、しばし休憩。ここで我々とほぼ同時にここを訪れたと思われる帰寮者のツイートを確認。この方を希望に前進します。

8:10には唐崎駅に到着。既に19km近く歩き、かなり疲労感があるのにも関わらず、まだここという事実に応えます。

この後はJRを離れ、京阪沿いに向かいました。8:40には滋賀里駅に。初めて見る車両でした。

次の南滋賀駅で路線図を確認。山科経由よりも山中越えが圧倒的に近く見えてきます。この地図がこの後、我々を誤らせることになります……。

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9時過ぎには近江神宮に到着。ここも以前友人と来た場所です。

近江神宮の敷地にある近江勧学館で長めの休憩を入れました。ソファとトイレがあってとてもありがたい……。ここは競技カルタで有名な場所で、上の階からは畳を叩く音が聞こえました。

ちなみに、比叡山坂本を先に出た方は、山中越えを選択し、10時前には峠を越えたようでした。

当初は山科経由の予定で、歩きやすさを考えるとそちらが良いかと思いましたが、限界に近い体力の元では山科まで行ける自信は消滅していました。距離的には山中越えの方が近いと見て、我々もここで決断を下し、多少不穏な天気でしたが、10時には帰寮を再開し、最後の短期決戦を開始しました。

4.地獄の山中越えへ

疲労感はMAXの中、山中越えスタート。同行者も明らかにペースが落ちているようでした。先人が見た看板を1時間以上遅れて確認しました。

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11:00、大津市街が眼下に広がり、別れを告げます。

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11:15、奥比叡ドライブウェイの起点に到達し、京都盆地へ下り始めます。

ほぼ限界に達していた私たちは、やむなく現金を使い、自販機の温かい飲み物に手を出しました。この形状の缶で初めて飲みましたが、たしかにちゃんと粒が全て出ました。物理演算もそうだと言ってます。(参照:粒がよく出る缶は本当なのか?物理エンジンとリアルで試してみた)

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おしるこで気力は多少復活し、確かに下り道にはなりましたが、「京都」までの距離は一向に減りません。

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そして山中越え開始から1時間半経過した11:40、唐突の雨による急激な気温低下と、断続的な雨の予報を見た我々は、完全に心が折れ、リタイアを決断しました。

スタートから9時間、約27km歩きましたが、ついぞ京都市には到達できませんでした。

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先人は山中越えを完走し、無事帰寮成功していました。おめでとうございます!

ちなみに、スタート地点の目の前ですれ違った方もはるか以前にゴールしていました。おめでとうございます!

5.憔悴の帰寮

地図アプリを確認したら、すぐ近くにコンビニがありました。比叡平の住宅街の入り口にほど近かったのです。雨が止んだ隙に駆け込み、軽食を摂りました。

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熊野寮はバスで一本でした。バスの中は紅葉シーズンに比叡山を楽しんだであろう観光客らしき人が大勢乗っていました。心が荒んでいたので「紅葉がすごいんじゃなくて、バスがすごいんだぞ……」と思うなどしました。私自身も肝に銘じます。

道中、何度も食べたい物の話題になり、パフェを食べにいく話も出ましたが、結局食事をする余裕はなく、帰宅しました。

6.反省会

翌日、同行者と反省会を行いました。パフェを食べながら。

ルート選択について

ルートの分かれ道は大きく二つ、初めに山を降りるか登るかの選択と、山中越えか山科経由かの選択がありました。

初めに山を登った場合は、途中(地名)に出て、ここから国道367号を下れば大原、そして八瀬から、市街地に出ることが出来ました。しかし山道の歩きにくさ、トイレや緊急時の救助要請を考えれば、選んだ滋賀ルートが間違いだとは思いません。

一方で、山中越えは道のりで考えると山科経由とほぼ変わらず、歩道がないという危険性などを考えると選択ミスと言わざるを得ません。以下は今回選択した山中越えルートと、山科経由ルートの比較です。

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(ちなみに、琵琶湖西岸の県道558号へ東進する国道477号の道中には雄琴温泉付近まで短縮できる県道47号がありましたが、それが分かる看板がなかった以上、この選択は不可能と判断しました。)

食料について

リタイア地点を考えれば、どのルートを選択していても、いずれにしても完走できていなかった可能性は高かったでしょう。同行者はチョコレート菓子を持っていましたが、それと二人で一袋のパンでは半日を戦うエネルギーは明らかに賄えず、我々の最大の敗因は食料不足だったと思います。

休憩について

そもそも午前中には帰寮できるという想像をしていたこともあり、序盤のペースが比較的速く、終盤にかけて段々とペースが落ちていってしまいました。適度な休憩を挟みながら一定のペースでの移動が理想的でしょう。

そして、この反省をもってリベンジを決心しました。

7.そして再走へ

約半月後、スタート地点である還来神社からエクストリーム帰寮の再走を決行しました。今回は事前にポカリスエットやゼリー飲料を準備し、(本番のルールには適合しませんが)道中十分な休憩とエネルギーを得るため、複数の飲食店に寄ることとしました。ちなみに還来神社には、土日(例外期間あり)に運行している京都バス10系統に出町柳から途中(地名)まで約40分乗り、そこから徒歩15分程度で行くことができました。

エクストリーム帰寮当日は入れなかったおごと温泉の足湯も利用できました。

ペース的には本番よりも早かったようですが、疲労が溜まる前に休憩を入れること、しっかりエネルギー補給をすることを心掛けたおかげか、思ったよりも体力を残したまま京都市に入りました。

流石に疲れましたが、無事完走することが出来ました。

エクストリーム帰寮のリベンジを達成し、これで満足して京大を去れることでしょう。

8.おわりに

改めて振り返ると、とても楽しい企画でした。企画・運営の方、ドライバーの方、ありがとうございました。

今後、初めてエクストリーム帰寮に参加してみたいという方へ。食べ物と飲み物はちゃんと用意してください。疲労度が全く違います。

また、普段運動していない方は、私たちの「直線20km」前後が適切かと思います。再走ルートでは結局34km歩きました。

来年の熊野寮祭でも「エクストリーム帰寮」が企画され、盛り上がったら嬉しいです。

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