見出し画像

羊文学「soft soul, prickly eyes」に至るまでの2ヵ月

2024年9月6日。zepp nambaで羊文学のツアー「soft soul, prickly eyes」を観た。最高だった。

突然だが話は2ヶ月前に遡る。

このツイートが羊文学の音楽と正面から向き合った最初のタイミング。以前からバンド名だけは認識していた。なんならバンド名が入ったフェスTシャツを愛用したりすらしていた。(参加日が違ったのでライブは観ていない)

OTODAMA’23のフェスTシャツ

しかしバンド名から感じる雰囲気と添えられたアーティスト写真からふわふわした恋愛を歌うガールズポップバンドだと勝手に思い込み、興味の対象外になっていた。ドラムのフクダさんも個性的な女子だと思っていた。

そこにたまたまYouTubeで流れた「burning」のゴリゴリなイントロを聴いて180度見る目が変わり、今までの代表曲を聴き漁る。

シューゲイザーな轟音ギター、J-POP的な明快さとオルタナ的な混沌を両立させた音、大半を占める内省的な歌詞、主にタイアップ曲で垣間見えるすべてを包み込むような優しい歌詞。若いファンが多いと思うが、90年代に青春時代を過ごした40代にも直球で刺さった。ギター&ボーカルを務める塩塚さんの魅力も大きい。

90年代オルタナ、グランジのバンドの音を引き合いにして羊文学が評価されることがある。でも本人たちは特定のバンドに寄せようとしているわけではないと思うし、もっと時代もジャンルも幅広いものを吸収して表現しているように感じる。未来に向けて今を突き進んでいる人たちに昔の影を重ねるべきではない。だから自分はそういう表現をやめておく。

生で観たい。ライブを観たい。

すっかりハマった頃にはツアーのチケットなど残っておらず、横浜アリーナのチケットが数分で売り切れたなどという人気の度合いも知ることとなりいったん諦める。

こうなったらくるりの京都音博で観ようかどうかと考えていたところ、各会場で機材席開放という名目の当日券が出ていることを知る。これに賭け、当日は午後から予め休みをとって告知を待つ。そして告知された。

10分ほど出遅れたが、震える手でスマホを操作しチケットを確保。

会場に来てみれば、2階席の2列目ど真ん中という好位置。この位置が機材席だったということは撮影の予定があったものの流れてしまったのだろうか…その事情も勘案しつつ、聴き始めてわずか2ヶ月でここまで来たという感慨にふける。

肝心のライブについては、まだツアーの序盤だし多くを語るのは野暮だ。だから簡単にまとめるが、期待していた以上のものが観れたのは間違いない。

とにかく音がデカいのが最高だった。MCが下手で盛り上がらない様子にハラハラしたし、それはそれで緩くて良かった。過去の映像などを観てるうちに自分の中で危うく神格化されつつあった塩塚さんが普通の人間であり、「疲れた」などと言っていていて安心した。とはいえ疲れてるのは良くないし、このツアーが終わったらちょっと休んでほしいと思った。「祈り」と「OOPARTS」のアウトロが轟音で音の壁が見えた。アニメの平家物語を観ている途中だったから「光るとき」の荘厳さに涙が出た。

今はここまで。改めて書くが、聴き始めてから2ヶ月でここまでたどり着けたのはラッキーだった。

願わくば次回はフクダさんが復帰した本来の羊文学を生で聴いてみたい。

以降は蛇足


  • 開場直後にグッズを買ったがほとんど並ばずすぐ買えた。リフレクターのキーホルダーとガチャを回してステッカーゲット

  • 2階席でライブを観るのは初めてだったので、ライブ中は立てばいいのか座っておけばいいのか分からなかった。始まってみれば誰も立たなかったのでゆっくり座って観れた。これはこれでいい

  • 2階からなのでフロア全体が見渡せた。ライブが始まってもほとんど動かない羊文学ファンに少し心配したけど、徐々に各々動き出したり手を振ったりし始めたので安心した。良くも悪くも大人しい印象

  • エフェクターを多用したギターの音作りをしている都合上、切り替えが必要であまり動き回れないけど、ときにフロアを煽ったりする塩塚さんにギターヒーロー感があった

  • 中盤の一番長くてダラダラしたMCタイムに昼休みの空気を感じた。後で思えば後半に向けてのいいアクセントだった

  • 序盤にずっと降りていた素麺みたいな幕は心理的な距離みたいなものが取れて助かるというようなことを塩塚さんが言っていた

  • 最初のMCタイムは幕が降りたままだったけど「意外とこっちからお前らのこと見えてるんだからな!」的なことを言いながらガニ股で変な動きをしつつ煽る塩塚

  • ラスト2曲で「合図するので一緒に歌おう!」となった曲、シンガロングするには難易度高過ぎ

  • ドリンクコインを久々にペットボトル飲料に引き換えたらzeppお馴染みのドリンクホルダがついてきたけど、南港時代のzeppでは長いショルダーストラップ型だったのが10センチぐらいのベルト付きカラビナになっていた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?