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地域包括ケア病棟 2022年改定への道

お疲れ様です。さりゅの干物でございます。

前回、初のZOOMでの勉強会にて、地域包括ケア病棟の2022年改定予想(妄想)を語りました。

今回は、その時の話を書いてみたいと思います。初の長編ですが、お付き合いくださいm(__)m

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1 地域包括ケア病棟の今

改定予想2021(第1回)

改定予想2021(第1回)

2021年7月現在(全国厚生局施設基準届出一覧より)で、地域包括ケア病棟の病床数が約97,100床ともはや、10万床に迫る勢いで増加しています。

各県別では福岡県が全国1位で6,768床とトップ、次いで東京都5570床兵庫県5,096床となっており、政令指定都市が所在する都道府県で多い傾向であることがよくわかります。

2 2022年改定での地域包括ケア病棟はどうなる?

改定予想2021(第1回)

2022年の改定予想入る前にまずは2020年改定を振り返りたいと思います。

地域包括ケア病棟入院料関連の主な見直しは①~⑥だった。

①「院内転棟患者が6割以上」だと入院料を1割減算するペナルティーを新設(対象:許可病床400床以上の病院)
②地域包括ケア病棟1・3の実績に関する施設基準の適正化(対象:許可病床200床未満の病院)
③DPC対象病棟から早期に院内転棟した場合、期間Ⅱ終了日までDPC制度請求を継続するルールを新設(対象:DPC対象病院)
④「入退院支援および地域連携業務を担う部門」の院内設置を義務化(対象:全病院
⑤地域包括ケア病棟入棟時のADLスコア等によるリハビリテーション必要性判断と判断結果の患者説明を義務化(対象:全病院)
⑥地域包括ケア病棟の新規開設原則禁止(対象:許可病床400床以上病院)                 

 上記のうち①と③の見直しに関しては「急性期病床からの院内転棟先」として地域包括ケア病棟を使う病院に対する厚生労働省の問題意識を表しているものです。

そもそも地域包括ケア病棟とは▼ 緊急入院するサブアキュート患者▼ 転院するポストアキュート患者▼ 院内転棟するポストアキュート患者の3つの受け入れ機能を持つ病棟として広く認知されています。

その「利用適正比率」に関しては、正式な決まりないものの、緊急入院の受入(在宅からの緊急入院や外来患者の当日入院等)には1日300点×14日間のインセンティブがある(在宅患者支援病床初期加算)。        

厚生労働省の本音としては「急性期一般病棟に代わり、サブアキュート患者を受け入れる」地域包括ケア病棟を大歓迎していることが伺えます。

しかし、いざふたを開けてみれば、院内転棟の患者ばかりを受け入れる地域包括ケア病棟が目立つ現状があります。

急性期病床からの院内転棟は病院経営的にメリットが多いため、「利用適正比率」に正式な決まりが設定されていなので病院側に使用方法が一任されています。

最も大きなメリットの一つとしては、急性期病棟の平均在院日数や重症度、医療・看護必要度のコントロールが容易であることです。

長期入院患者の転棟により、急性期病棟の平均在院日数を短縮させることも可能で、重症度も高水準で維持が出来るのです。

改定予想2021(第1回)1

このような運用に対して、2020年度改定でメスが入りました。

減算(ペナルティー)対象は「許可病床400床以上」かつ「院内転棟患者が6割以上」の病院でした。

この結果、2020年10月時点でのデータでは「400床以上」の病院の一部は、厚労省の思惑通り、サブアキュート患者を受け入れて減算を回避した傾向が見られましたが、未だに院内転棟患者6割を超えている病院が400床未満の病院にも存在しているのが事実として突き付けてられています。

改定予想2021(第1回)

ここで、考察したいのが、ペナルティーの入院料1割減算ということ。

DPC対象病院に限れば、地域包括ケア病棟入院料1割減されても、点数は2,528点 / 1日(推測)である。

そこで全DPCコーディングから2,528点以上の点数がどれくらいあるのか調査してみると、全体の約15%程度しかなく、脳腫瘍(手術あり)や血友病、心疾患系など疾患が限定されていました。

これでは、経営的観点から見ても「1割減算されても大丈夫である!!」と考える経営幹部は少なくないと思います。(私もそう思います)

Microsoft PowerPoint - 改定予想2021(第1回)

あるベンチマーク専門会社のデータによると…

400床以上で約30%、200床~400床未満で約70%が院内転棟患者割合が6割を超えているという衝撃的データが示しているように、減算対象範囲が拡大されるのはあり得ないことではないように思えます。

ましてや、現在の入院医療分科会では点数の減算率及び病床範囲を拡大しようという動きがあります。今後の中医協議論には要注意が必要です。

ただし、10月1日の第8回入院医療分科会で、地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長は、コロナ禍でこうした方向での見直しが行われることに強い危機感を持っています。「平時であれば回復患者を他院に転院させ『自院のpost acute患者割合』を抑えられる病院が、コロナ禍で感染拡大を恐れた他病院が回復患者を受けてくれず、やむを得ず自院の地域包括ケア病棟で『自院のpost acute患者』を受け入れている」ような実態が少なからずあると考えられます。こうした中で、上述の「減額ルール拡大」を行えば、地域のコロナ感染症対応体制が崩壊してしまう可能性があると危惧しています。

今後の中医協議論で。「減額ルールは拡大するが、コロナ感染症が収束するまでは稼働させない」という見直しとなるのか?

それとも「減額ルール拡大」を断行するのか?今後の議論に注目が集まりそうです。

また、地ケア病棟1・3の要件である「診療実績」、基準値のクリア度合いは項目によってバラつきがあることから、実績評価の見直しも行われる公算が非常に強いです。

今回は地域包括ケア病棟の改定予想(妄想)について解説してみました。    

少しでもお役に立てれば幸いです。


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