大学院を修了(?)・株式会社レトリバを退職し,クックパッド株式会社に就職します

TL; DR

修士(シュレディンガー)の @himkt です.
本当に修了できるのかよくわかっていませんが,
予定としては今年の3月に筑波大学の大学院
(図書館情報メディア研究科)を修了し,
春からクックパッド株式会社でリサーチエンジニアをします.

就活エントリ

しゅーかつエントリというやつを記念に書きます.
もっと綺麗事だけではなくぶっちゃけた話を聞きたいぞ,みたいな人は直接会った時に聞いてください... 😏

就職活動にあたっては大変お世話になったレトリバ,勢いがめっちゃあって面白いことしてそうだったメルカリから内定をいただきました
(本当にありがとうございました),どうしようかな,
としばらく考え,結果的にクックパッドに行こうと決めました.
(ちなみに,緑色の会社とかSNSの会社とか外資コンサル企業を受けて落ちた話, メーカーと,ウェブ系および研究系の企業の選考を受けたけど途中で辞退した話なんかもあります,その辺は実際にお会いしたときに聞いていただければ)

クックパッドは「料理」のためにできることをやっていく企業です.
「え,なんかみんな技術力が高すぎじゃない?」ってなるすごい
スタッフがめっちゃいます.ほんとうにすごいです.
僕は自然言語処理一本で食っていく,というよりは,ソフトウェアを作っていくというのも好きな人間なので,研究開発とサービス開発の垣根があまりない企業に行きたいなとふんわり思っていて,そこにとてもマッチしていると思ってクックパッドの内定を承諾しました.
レトリバやメルカリの話もしましょう.フィードバック的な話は企業にとっても意義があるかと思いますので,一応書き残しておくことにします.
問題があるようでしたら消しますので,ご連絡いただけると幸いです.

株式会社レトリバ

レトリバは本当に大好きな会社です.
特に,実際の案件で関わりがあった岩田さん,西鳥羽さん,飯田さん,武井さんには研究・開発で大量に迷惑をかけ,また色々なことを教えていただきました.特に業務で関わりがあった方々の話をすると,岩田さんはソフトウェアエンジニアとしてのスキルと考え方,西鳥羽さんは研究開発をする上での強靭な実装力,飯田さんはめっちゃ頭の回転が早くて1を言うと10を返してくるような理解力,武井さんは「え,こんなに make とか C++に詳しい人いるんだ...」というレベルでの知識量の豊富さがすごくて,とにかく圧倒される毎日でした.
実際に内定をいただき,「どういう条件ならレトリバに入社してくれる?」という話について真剣に考えてくださった河原さん・西鳥羽さん,本当に感謝しています.結果的に内定は辞退する形となってしまったのですが,本当に本当にありがたかったです.
レトリバに行かないと決めたのは,僕はオープンなソフトウェアに関わりたいという気持ちと,膨大なトラフィックが流れるようなサービスの開発に関わりたいという気持ち,大きな開発基盤を動かすノウハウを学びたい気持ち,そして研究をサービス開発に生かしていきたい気持ちがあり,これは現状のレトリバでの業務とは少し離れている,と感じたためです.
レトリバの研究開発は比較的研究・開発が分離していて,研究部門は研究(というよりは最新の技術のキャッチアップかな)に集中している(もちろんそれはバイトから見てそう思ったというだけで,実際にはもっと多くの仕事をしているはず; そして最新の研究をキャッチアップすることに時間を使えることはとても素晴らしいことだと思う),今のモチベーションのままレトリバに入社すると会社にとっても私にとっても幸せにはなれないだろう,と思いました.そうして辞退を決めました.こう書くとサクッと決めた雰囲気が出ますが,実際にはかなり悩みました.

株式会社メルカリ

メルカリはとても勢いのある会社です.
なんかもう本当に勢いがあってすごい,有名人がメルカリにめっちゃ集まっていく様子は「すげぇ...」としか言いようがないなという感想です(小並感).機械学習チームの方々も大変楽しそうに仕事をしていて,楽しく仕事ができるのだろうと思いました.ただ,私が内定をいただいた段階ではまだ自然言語処理のタスクは多くが「これから集中して取り組むタスクを決めて」インパクトのある仕事をしていく」という段階にあり(と選考中に面接官の方々と話しているときに感じた),現状の私では成果を出せない(立ち上げ期の部署でどんどんリーダーシップを発揮していくスキルというものが今の私には多分全然ない)と感じたため,こちらも内定を辞退することにしました.最近は自然言語処理が専門な方もどんどん増えているようで,私が内定を辞退したときとは様子が多少変わっているかもしれません.

クックパッド株式会社

私は実は学部3〜4年生の頃にクックパッドに半年ほどお世話になっていて,研究開発部門の部長のことは比較的よく知っていました.クックパッドの研究開発部の部長である原島さんは,自分からすすんで雑用のようなタスクにも取り組み,部門に配属されているスタッフの市場評価を如何に上げるかを意識してくれるような人物で,私にとっては「こんな上司が存在するのか...!」と思うような人物です.また,京大の自然言語処理研究室の OB であり,自然言語処理の基礎的なタスクに理解があり,また自然言語処理について造詣が深いです.このような人は都内のウェブ系の企業を探してもそう多くはないと思っています(もちろん存在はしている).
また,あと2点私にとってクックパッドの内定を受けようと思った理由があります.1点はとてもスキルのある上司の存在です.現在は退職されて無職になった菊田さんは本当に頭がよくて,面白くて,アカデミアでの訓練を十分にうけた研究者としても十分に能力があるにも関わらずアプリケーションのこともちゃんと考えられる,10年後の私の理想のような人でした.退職されてしまったのは寂しいですが,菊田さんと議論ができたことは私の糧になっているし,そのような人が集まる環境であることがクックパッドの研究開発部の良さを表しているように感じました.他の上司・同期のみなさんもとても優しく優秀・かつ色々なバックグラウンドを持っている(いっぱいいるので列挙できませんが...笑)方々で,自分が身を置くならこういうところがいい!という気持ちにとても合っていました.
クックパッドの研究開発部は論文の執筆や対外発表にかなり理解のある(そもそもクックパッド全体にそういう風潮がある)ことも重要な判断材料でした.研究遂行の地盤としても,2nd/3rd tier の conference に論文を通す自力は十分にある組織だと思っています.私はこの組織をもう一段上に押し上げる(トップカンファレンスの本会議に論文を通して,研究の業界に貢献できる)組織にするお手伝い(お手伝い?)をしたいと思っています.このようなチャレンジができる文化・仲間がいる環境で研鑽を詰めたらいいな,と思って内定を承諾させていただきました.(こういうことをしながらも日々のサービス開発もするんです,めっちゃ難しそうで楽しそうでしょ!)

博士課程進学について

実は私は修士課程の大学院入試で東大のCS専攻に出願をしています.
私が所属していた大学は理論を学ぶとうよりは,実学に役に立つこと
にフォーカスを当てた教育がなされていたように思います.
普通にカリキュラム通りの履修をすると,
数学は「微分積分を高校の教科書レベルでやってみる」程度の
ことしかしません,
CS専攻の入試は受必要な科目数が非常に多く,また理学部情報科学科目
の鬼のような方々と同じ土俵で戦うことになります.
試験の2ヶ月程度前から少しずつ対策をしていたのですが,
やはり間に合わせることはできませんでした.
面接で大爆死したことも苦い思い出です.
ともあれ,CS専攻に落ちた段階で博士に進学する実力をこれからの2年間
でCS専攻以外で養うのは現実的ではないと判断して,
進学することはやめました.この判断には後悔はありません.

まとめ

というわけで,来年からクックパッド株式会社の研究開発部でリサーチエンジニアをします.ちなみに,選考は3社すべてストレスはありませんでした.相談にのってくださったみなさまにも感謝.

組織横断の研究などにも強く関心があります.おもしろい話があったら,いつでも himkt までご連絡ください.組織横断の研究コミュニティとして, nlpaper.challenge の運営にも参加しています.こちらもご興味ある方は上記の Twitter アカウントなり 公式Twitterアカウント にお気軽にご連絡いただければと思います.
それでは,今後ともどうかよろしくお願いします.

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